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2019年7月15日 (月)

【弁理士の日企画 2019】知財業界での初体験

都内の小中学校は間もなく夏休みに入ろうというのに、すっきりとした天気にはなっていないから、いつまでも水無月のような気がしていたが、既に七月に入って半月が経過している。つまり、「弁理士の日」から半月も経過しているじゃないか!

 

▽ 毎年、なんとなく参加している「弁理士の日企画」のネタだが、今回は「知財業界での初体験」だという。

 業界? 業界かあ。

■ ネタを誤解していて、知財の初体験だと思っていたので、予め想定していた話が書けなくなってしまった。

 「業界」に限定されると、たぶん仕事として関係するようになって以降の話だろうから、そうするとかれこれ25年ほど前の話になり、

「そんな昔のことは覚えちゃいない」

と言いたくなるところだが、記憶をたぐればたぶん、鮮烈な初体験はあったはずで…。

 

■ まあ、初体験かどうか、いまイチ自信はないが、分担して翻訳をした経験はあのときが初めてだったのではなかろうか。

 まだPCT(特許協力条約)出願の国内移行期限に翻訳文の提出が必須だったころの話である。

 その日、某国の某大手企業では困ったことが起きていた(たぶん)。

 優先日から29月と28日ほど経過したその日、その国際出願の日本国移行が完了していない(担当する日本の事務所すら見つかっていない)状況だったのである(たぶん)。

 担当者は、心当たりに片っ端からFAXを送ったが、そんな短期間に手続はできないという回答ばかりであった(たぶん)。

 そんななか、(おそらく)一通だけ、日本円でXX円(わりあい高額)のラッシュフィーを払えばやる、という事務所があった。これしかない。担当者の一縷の望みをかけた交渉がはじまる(何かちがう)。

 

■ …というわけだったかどうか、そんなことは知らないけれども、とにかくその日、ふつーに出所した私は、自席に向かう途中で、副所長席に外国事務が集まって何やら相談しているのを見かけた。見て見ぬふり(どうせ面倒なことが起きているに違いないのだ)をしつつ通過しようとしたそのとき、

「あっ。ちょうどいいところに!」

…何が? えっ?

 

■ 全体で何ページあったのかは知らないが、割り当てられた数十ページの、PCT国内移行用の英文和訳をいきなり振り渡されたのであった。期限は当日。

 翻訳室を抱えている事務所ではあったが、翻訳室をフル稼働させても間に合わないページの和訳を、私と、副所長(当時)を含む数人で担当することになったわけだ。PCTなので、どうしても問題であれば誤訳訂正という方法を採用するが、可能な限りちゃんと訳しましょう、という話になった(と、記憶している)。他のページを訳している人と適宜、訳語について連絡を取り合いつつ、なんとか翻訳を仕上げたのは、期限から4時間前くらいだったと思う。

 取りまとめを担当している副所長に原稿を託して事務所を後にしたときには、嵐の後のような達成感が…あったかなあ。そこは忘れちゃった!

 

■ いや英文和訳なら初体験でも何でもないわけなのだけれども、ラッシュでやる、というのが初体験だったのだった。

 何が違うか。

 そりゃもう訳文を見直している暇はないわけだから、少なくとも訳抜けのないようにすること(この目的を確実に達成するため、ピリオド一個と句点一つとを何が何でも1:1にする、というやり方を通した。そうすると、段落ごとの句点の数とピリオドの数が一致していないところがあれば、訳抜けがあることが一目瞭然だからだ)くらいに目標を下げないといけない。落とすと面倒になる要件は必ず充足させるが、そうでない要件については致命的でない限り、ベストエフォートで済ませる、という割り切りが大事になってくる。この点が、いつもの仕事と違うといえば違うわけだ。

 だからまあ、敢えて業界の洗礼、的な話にするとすれば、法律の要件を弁えているという点をどう使うかという話になり、例えば必須的・優先的要件と、ベストエフォートで充足させるべき要件と…というように区別して、業務の報酬や期限など、種々の考慮事項のバランスで、割り切るところは割り切り、そうでないところにはちゃんと拘りなさいというメリハリの話になるんでしょうかね。

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