夏の時間の ものがたり
小学校にエアコンを導入するかどうかでモメる、というのは私が子供のころは考えられなかった話だ。
それはエアコンの価格や導入工事の難しさ、みたいなものもさることながら、夏場がこんなに暑かった記憶がないからだ。
▽ もちろん夏は昔から暑いものだったんだけど、高々30度をすこし超えるくらいが一般的で、現代のように、日常的に体温ほどの気温になったことは記憶にない。
普段それなりに体調管理に気を使っているつもりの私ではあるが、さすがに先月末にはちょっとばかり熱中症気味に陥ってしまった。
■ そんな暑さの東京で、オリンピックを夏場にやろうというのだから、何らか対策が必要だというのは間違いはないだろう。場所によっては屋外エアコンなるものも登場していると聞くが、結局は一般的なエアコンの廃熱場所と方法とに工夫することで作られているらしい。
それはそれでいいんだけど、冷却方法自体は、従来知られている方法を超える方法が見つけられていないのだなあと改めて思う。
それは、それとして。
さらに別の対策として
「サマータイム」の導入
が検討されているらしい。
■ サマータイム。
要するに夏の間は時刻を一定の時間だけ繰り上げて、例えば実際の8時を9時だとして生活しましょう、という話である。
話としては実に単純なのだが、混乱することは目に見えていて、例えば約束の時間を「10時」とした場合、これが夏時間で「10時」(つまり実際は9時※)なのか、実際の10時で、夏時間で言えば11時※なのかを一々確認しなければあぶない。
※ ここでは夏時間として「1時間繰り上げる」場合を例としている。
デートの約束くらいの話であれば、一回くらい喧嘩の材料ができるだけかも知れないが、クリティカルな例、例えば手術の時間とかだと問題が生じる。そもそも我々は夏時間の扱いに慣れていないのである。
■ さらに法律の例でまずいことが起きるのでは、というブログ記事があった(https://srad.jp/~yasuoka/journal/623028/)。
今回の施策での話と思われるが、夏時間開始時には時間を「2時間進めて」開始。終了時には時間を「2時間もどして」終了とする、というのである。具体的な例でいえば、
夏時間開始日の午前2時に、その時刻を「午前4時とする」というわけである。この日、午前2時から午前4時までの時間は消失する。
そして終了時。夏時間終了日の午前4時になると、その時刻を「午前2時とする」ということになる。この日には、午前2時から午前4時までが二回存在する、ということになる。
■ 件の記事の著者は、戸籍法や刑訴などの条文を引いて、例えば死亡時刻がたまたま夏時間終了時の午前3時だったら、それは最初の(夏時間終了前の)午前3時なのか、二回目の(夏時間終了後の)午前3時なのかわからないではないか、というのである(あるいは期間計算においても問題が生じると指摘されている)。
仮に、夏時間がこの記事のように実施される場合には、一応、手当てとなる附則条項が設けられるのであろうが、今回は範囲が広い。対応は相当難しくなるであろう。
■ それでふと思ったのが、特許の拒絶査定審判請求における「同時」の話である。
夏時間終了日に審判を請求するとして(午前3時とかに請求手続をするもんかという話は置いておく)、
最初の(夏時間終了前の)午前3時0分0秒に審判請求書を提出する。
そして二回目の(夏時間終了後の)午前3時0分0秒に明細書の手続補正をする。
この場合、当日の午前3時0分0秒という「同時」に手続が行われているのだから、ちゃんと同時に手続した、と主張できるのか、どうか。
(やれるもんなら)やってみろ、という(無責任な)声が聞こえてきそうだが、もちろんこいつは単なる冗談ではある。しかしながら、ときにはこのくらい「時刻」について考えてみるのも悪くはないと思うのだ。
たぶん、今回のサマータイムの話にいいことがあるとすれば、こんな「考える機会」が与えられたくらいのものだろうから。
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