第4のはなし(1)
ふだんあまりテレビは見ないのだけど、たまたま目にした番組で、とある現場で発せられた発言を分析して、その現場の指揮系統の状況だとか、その現場にいた人の疲労度とかを推定してみたらしいことを言っていた。
▽ 具体的にどうやって分析したかも紹介され、分析をした企業の担当者は、いわゆる人工知能の開発チームの人らしかった。もっとも、人工知能を使用して分析した、とは言っていなかった、ような、気が、する…。
■ 第4次産業革命というのだそうである。
第1次が蒸気機関、第2次が電力の利用、第3次がコンピュータやネットワーク、そして第4次がIoTによる大規模データ収集(ビッグデータ、などというようだが)や、それを利用した機械処理(学習等)をいうようだ。なんだか第2次と第3次との間の開きに比べると、第3次と第4次の間の開きは分かりにくいような気がするが、それはここでは措く。
■ とにかく、第4次産業革命では、いままでとは違うタイプの「情報財産」が出現しそうなので、何か経済施策的に行っておくことはないか、という意識から(だと思うが)、知的財産戦略本部の委員会の一つ「新たな情報財検討委員会」が定期的に開かれていた。そして、その報告書がつい先月、公開された(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/2017/johozai/houkokusho.pdf)。
■ 書かれている内容は多岐に亘るので、ここで全般的な説明をするとかいう気は毛頭ない。これと関連して個人的に興味が、というか、身近で話題になったことがらをちょっと取り上げてやろう、ということである。
■ その興味というのは、機械学習された成果物、つまりいわゆる「学習済みモデル」について特許権が成立する余地があるのか、という話である。
この点について先の報告書では、
「機械学習の方法については、現行知財制度上、特許法の要件を満たせば、『方法の発明』等として、…(中略)…保護される。」
と記載されている。そして、『方法の発明』等に対する注釈として、
学習済みモデルを生産する方法が「生産方法の発明」として保護される余地があるとの指摘もある。
と書かれている(報告書30ページ)。
■ もちろん、機械学習の方法自体が新しければ、その方法が特許権で保護されることは現状通りなのだけれど、それを「生産方法の発明」として記載しておいても、生産方法さえ新しければ特許権を付与するというのであれば、それによって生産された物(要するに学習済みモデルそのもの)の譲渡等の行為まで差止可能となる点で注目していい。
しかしながら、生産方法の発明として記載した場合、生産方法が要件となるわけで、被疑侵害者が現れたとして、その被疑侵害者が、
違う方法で同じものができただけだよ。
という主張をしてきたら、どうしたものか。
■ この危険(というべきかどうかはともかく)は、比較的具体的なものであって、まず第1に、学習方法が同じであっても、学習に用いるデータが異なれば学習済みモデルのパラメータは変化してしまうので、ネットワーク構造が同じであっても、同じ方法で生産されたかどうかなんてわかりようがない。
これが化学分野であれば、残存不純物等の情報から生産方法が推定できる可能性がまだあるかも知れないが、データのパラメータに残存不純物に相当するもの(生産方法の痕跡)が残るというならともかく、そうでないと、せっかくの権利が画餅におわるかも知れない。
■ 第2に
「蒸留」
問題がある。(つづく)
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