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2016年4月18日 (月)

「私(マイ)」ばなし

4月である(もう4週目に入ってるけど)。 某研究所の副所長も無事(?)退任し、ヒラに戻ったので、そろそろ blog も再開できる気がする(ああいう役がついてると、なかなかいろいろ書けないのである)。と、思いつつ、すでに4週目なんだけど。

▽ 4月からは特許出願の費用もわずかばかり安くなったりと、いろいろなところですこしずつ変化がある。

■ マイナンバー制度は、実は4月より前にすでに始っているので、そういう「変化」とは違う。
 違うけれども、そろそろ話題になり始めてもいいような気がするのに、誰からも声が出てこないから、ちょっと書いてみようと思う。
 ただし私、税務は専門ではなく(当然)、税理士任せにしているところがあるので(あまりよくないことだが)、以下の話は私の理解に基づくもので、誤りがある可能性があることは、念のために、予め申し上げておく

■ 特許事務所を経営する弁理士は、個人事業主ということになる。もちろん、特許業務法人の社員は、法人の社員だから個人事業主ではない。あまり知られていないかもしれないが、弁理士などの個人事業主に対して支払われる費用は、支払う側に、予め源泉税という形で1割(ないし、額によっては一部2割)だけ預っておいてもらう。具体的に支払う側からみると、弁理士に1万円の報酬を支払う場合、源泉税10%を除く9千円を支払うことになる。そして残り千円は手元においておいて、後で(弁理士の代わりに)納税するのである。

■ マイナンバー制度
がはじまると、源泉税は、どのマイナンバーの弁理士にいくら支払ったときの源泉税、という形で記録される。例えば弁理士A(マイナンバー:xxxx)、弁理士B(マイナンバー:yyyy)に仕事を依頼している場合に、弁理士Aには年間100万円支払い、弁理士Bには年間50万円支払った、というときには、

  • xxxx:源泉税10万円
  • yyyy:源泉税5万円

という形で記録しておく必要がでてくる、というわけだ。

■ この記録は、例えば支払調書の作成に使われる。支払調書というのは、源泉税を預っている側で、源泉税のもとになった費用の支払先に対して発行する、支払の記録のようなものである。実は発行する義務はない。義務はないが、これが発行されると、弁理士等、支払を受けた側としては助かる。極端なはなし、帳簿がなかったとしても支払うべき税額がそれによって計算できるからだ。

■ さて、マイナンバーに話を戻す。
 弁理士ひとりが事務所を経営している場合、話は簡単である。

 自分がした仕事に対する報酬が、自分のマイナンバーに対応する報酬そのものだからだ。

 問題なのは複数の場合、とくに合同事務所のケースである。
 複数の弁理士が合同で経営している事務所を、合同事務所、という。
 この合同事務所の場合、例えば弁理士二名のみの事務所で、他に従業員がいない場合を考える。この場合、個々の弁理士が、自分のした仕事の報酬をそのまま自分で受けていれば、弁理士ひとりの事務所と概ね同じで、各人がした仕事に対する報酬が、各人のマイナンバーに対応する報酬となる。
 ただし、請求書ごとにどのマイナンバーに関連するものかを明示しないと、支払う側では、どのマイナンバーにいくらの報酬として記録してよいかが分らなくなる。いずれにしても支払う側としては、同じ事務所に依頼しているのに、担当弁理士が違うというだけで、記録の内容を変えなければならない。これだけでもすでに面倒ではある。

■ さらに問題
がある。
 経営弁理士A,B二名の事務所で、従業員たる弁理士X一名を雇用している場合。このとき、経営弁理士A,Bが、従業員弁理士Xに対する報酬を、a:bの比で受けているとする。
 この場合、弁理士Xがした仕事に対する報酬Qについては、弁理士Aの取り分a×Q、弁理士Bの取り分b×Q(ただしa+b=1とする)となり、支払側では、この事情を把握して、弁理士Aのマイナンバーに対しa×Q、Bのマイナンバーに対しb×Qを払ったと記録していかなければならない。これは相当面倒である。関係する人数が増大すれば、さらに面倒になっていく。
 つまり、従業員弁理士のいる合同事務所の場合、報酬分担等の内部的情報を支払元に開示しなければならず、また、支払元に対し、(極端なはなし)請求書ごとに、どれだけの分の報酬がどの弁理士(マイナンバー)につきました、と明示しなければならないことになる。
 これは支払元にもそれなりのご迷惑をおかけする、ということになるわけではないか。

■  税理士に聞いてみたところ、そこまで複雑にしなくても実はやり方がいろいろあります、という話ではあった。
 もっとも、基本的には、

弁理士全体としての方針を、弁理士会のようなところで決定しているというのが普通かと…。

という話であった。

聞いていない!


■ そこで
弁理士会に問い合せてみたところ(問い合せたのは昨年の話である)、

「そんな問題があるんですか」

というような返事だった。
 そしていまだに何らの話も聞えてこないところからすると、会全体としての方針が出してもらえるのかどうか、はなはだ不安な状況である。

■ 「どうしますか?」
 税理士に、弁理士会としての方針が現状はないと伝えたところ、彼は気楽な感じで聞いてきた。
 税理士だって同じ問題を抱えているでしょう、そちらはどうしてるんですか、と聞いてみたら、税理士は常に、自分の名前で仕事をするんだそうである。つまり、上記弁理士二名のみの事務所の場合とかわらない。私の仕事です。私のマイナンバーに関する報酬です、と言えば済む。
 なんだか弁護士会は方針があるようですが、と彼は伝聞として教えてくれたが、それがどのようなものかまでは把握していないようだった。

■ 私個人としては、マイナンバー制度の導入が拙速すぎて、細かい取引実態に配慮されていないことに憤りを感じているのであるが、ただ憤っていても何も解決しないのである。どうしたもんだろうか。

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