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2011年4月22日 (金)

条文を読んでみるはなし(59)

車を走らせていると、ときどき、

「XXまでXX分」

というような、所要時間予想を目にします。

あれって、どうやって測定しているんだか知りませんが、わりとリアルタイムに更新されるようなので、それなりに頼りになるときがあります。

■ 特許法46条の2は、私が受験生だった頃にはなかった条文です。
 試験合格後は、こうした新規の条文をつっこんで研究する機会を敢えて作る必要があります。いま、受験をされている方々のうちには、たとえば事務所で先に合格している弁理士に

「ちゃんと勉強してない」

と思われる人がいるかも知れません。けれども、その姿は、一つ間違えば自分自身の将来の姿でもあるわけです。
 士業をやってる限り、生涯勉強ですねぇ。

■ さて
。条文を見ます。

□ 第46条の2 実用新案権者は、次に掲げる場合を除き、経済産業省令で定めるところにより、自己の実用新案登録に基づいて特許出願をすることができる。この場合においては、その実用新案権を放棄しなければならない。
1.その実用新案登録に係る実用新案登録出願の日から3年を経過したとき。
2.その実用新案登録に係る実用新案登録出願又はその実用新案登録について、実用新案登録出願人又は実用新案権者から実用新案法第12条第1項に規定する実用新案技術評価(次号において単に「実用新案技術評価」という。)の請求があつたとき。
3.その実用新案登録に係る実用新案登録出願又はその実用新案登録について、実用新案登録出願人又は実用新案権者でない者がした実用新案技術評価の請求に係る実用新案法第13条第2項の規定による最初の通知を受けた日から30日を経過したとき。
4.その実用新案登録について請求された実用新案法第37条第1項の実用新案登録無効審判について、同法第39条第1項の規定により最初に指定された期間を経過したとき。

2 前項の規定による特許出願は、その願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が当該特許出願の基礎とされた実用新案登録の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内にあるものに限り、その実用新案登録に係る実用新案登録出願の時にしたものとみなす。ただし、その特許出願が第29条の2に規定する他の特許出願又は実用新案法第3条の2に規定する特許出願に該当する場合におけるこれらの規定の適用並びに第30条第4項、第36条の2第2項ただし書、第41条第4項、第43条第1項(第43条の2第3項において準用する場合を含む。)及び第48条の3第2項の規定の適用については、この限りでない。

3 第1項の規定による特許出願をする者がその責めに帰することができない理由により同項第3号に規定する期間を経過するまでにその特許出願をすることができないときは、同号の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその特許出願をすることができる。

4 実用新案権者は、専用実施権者、質権者又は実用新案法第11条第3項において準用するこの法律第35条第1項、実用新案法第18条第3項において準用するこの法律第77条第4項若しくは実用新案法第19条第1項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、第1項の規定による特許出願をすることができる。

5 第44条第3項及び第4項の規定は、第1項の規定による特許出願をする場合に準用する。

長い条文ですが、内容は(さいわい)簡単です。
 実用新案権が発生してしまってから、「特許出願」への変更を許そう、というようなものです。つまりは、実用新案登録出願から特許出願への変更が可能な期間が短すぎたわけです。
 実用新案登録出願は、現行の無審査主義になった直後は(記憶によると)、約6月でした。それがいまはわずか1,2月というところのようです。このへん、道路の状況じゃないですが、リアルタイムに、いまどれくらいで登録していますよ、というような情報があると参考になりそうです(特許庁のサイトにあったかしら?)。

■ さて、それはともかく。とにかく登録までに日数がありませんので、実案出願をしてから

「あッ、しまった。特許にしておけばよかった」

という後悔をする間もない。というわけで、権利になったあとで、「特許出願」へ変更させてあげましょう、というわけです。
 1項の要件はじゃっかん複雑です。1号の3年以内はいいとまして(審査請求期間を超えたら変更の意味ないですからね)、2号、3号は、誰が技術評価を請求したかがキーになります。権利者自らした場合はその時点で変更は不能になり、権利者でない者がした場合は、通知があってから30日以内に変更しないと、あとはダメになるというわけです(趣旨は二重審査の防止)。4号は無効審判があってから最初の答弁書提出期間の経過時に変更ができなくなる、というものです(審判請求した相手のことを考えて変更させないことにしています)。なお、青本に注意があることですから、いまさら書くまでもないかもですが、2−4号では、クレイムの一部について評価書や無効審判の対象となった場合でも、全クレイムに及ぶというのが特許庁の立場です。立法的になんとなくそうなってますが、裁判例の潮流からすると、今後どういう話になるかは未知数のようにも思います。

■ 2項以下は「読めばわかる」規定ばかりかと思いますが…。
 あぁ。あと一つ、施行規則27条の6というのがあります。これは、

□ 特許法施行規則 第二十七条の六  実用新案権者は、特許法第四十六条の二第一項 の規定による実用新案登録に基づく特許出願の際に、実用新案登録令施行規則第二条の三 の規定によりその実用新案権の放棄による登録の抹消を申請しなければならない。

というわけで、一項柱書きの規定に従い、特許出願時に、基礎となった実用新案権の放棄申請をする必要があります(どうも一項からは「出願の時に」とは読めない気がするのですが、施行規則からは「の際に」なので、放棄の時点は出願の時となりそうです)。

■ それと、実案権→特許出願→実用新案出願→実用新案権 という経路が採れるかどうかについては、検討してみて下さい。できないとすれば、根拠条文はどこでしょうか。
 比較的簡単な問題かと思いますが、初学者の方々のためにヒントを一つ。出願変更に関する規定は、変更先の法律にあるのでしたよね?

■ えっ。2項の「第29条の2に規定する他の特許出願」とかが読みにくい、ですって?
 それは… まぁ、またの機会に。

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