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2011年3月31日 (木)

線量計 ばなし

いいかげん、原発のことから離れた話題を書こうと思っていたわけなんですが、遅々として進まない冷却の問題とか、海へ漏洩しているとか、炉心の何倍の線量だとか毎日聞いていると、やっぱりやや鬱な気分になるわけでして、そうするとやれ政府が嘘を言っているとか、情報を隠しているとか、チェルノブイリと比較して云々とかいう話題が聞こえてくると、もうひとつ我々理系が頑張って情報発信しないといけないんじゃないかとか。

そんな変な義務感に駆られたりして…。

■ まぁ、いい加減、チェルノブイリと比較するのが誤りだというのは、

(1)チェルノブイリで汚染を拡大した火災は黒鉛(減速材)が一つの原因。
(2)日本の原子炉では黒鉛は使われておらず、大規模火災は発生しにくい。
(3)各地のデータ(民間・個人で測られているものも含める)を総合して考えても、15日以降、大規模な放射性物質の大気中への漏洩は生じていない

というような話で、チェルノブイリ以外の点について、

(4)残るは放射性物質を含んだ水の処理だけど、こちらは確かに、海水への漏洩を早期に食い止める必要がある。
(5)ドイツやいろんなところで行われている大気中の拡散シミュレーションは、あくまでシミュレーションであり、あれがそれほど正確なら、いまごろ気象庁の天気予報はいらない(天気予報は百発百中だろう)。
(5′)というか、流体計算というのは、カオティックな振る舞いをするものなので、初期条件がちょっと違うだけでも計算結果が全然違う
(6)燃料棒が水に浸からずに露出しているから再臨界がどうとか言う人があるが、そもそも水(減速材)で中性子を減速しないと臨界にならない(水などの減速材のないところで臨界は発生しない)。
(7)だったら注水は危険だろう、という人があろうが、冷却しないほうが却って危険(燃料自体の漏洩が発生する危険性がある)なので、それはだめ。

それにしても、東電はちゃんとした核子別のデータを出すべきであろうとは思う。

■ 風評を防ぐためには、まぁ例えば線量計を希望家庭に貸し出すとか---という話をしていたら、既に文部科学省がやっていた(http://hakarukun.go.jp/)。
 この「はかるくん」、そもそも教育用(例えば小学校の自由研究用?)らしいけれども、名前のわりにブコツな代物で、あんまり可愛くない。
 …あ、いや。それはいいのだが、例えばスーパーの野菜売り場のコーナーなんかに置いておき、客が試せるようにしておけば、別段危なくないことがわかるんじゃないだろうか、とか。
※これについては自然放射線を検出している時点で、怖がる人が多いだろうからダメだろう、という意見もあり。それもそうかなぁ。

■ まぁ、とりあえず、世界征服の基礎はまず練馬から…じゃなかった、拙宅からこの測定をやってみようじゃないか、ということで、昔作った秋月電子のガイガーカウンタキット(http://akizukidenshi.com/download/kairo/データ/計測器関係/J015_ポケットガイガー.pdf)を、ガラクタの山から発掘。
 …してみたら、一部断線していたりして、修理が必要な状態だった。
 そもそもケースが破損していたので、回路に被害もあろうと想像していたのであるが、案に相違して回路側の被害はそれほど大きくなかった。それでも回路中、高圧電源部の抵抗R1は断線しているし、検知部の3300pFのコンデンサも断線しているしで、多少の修理は必要。
 このうちR1はもっとも損傷が激しかった。このR1は、タイマIC555が作り出すパルスの幅を決めているもので、100Ω程度の抵抗のはずなのであるが、どうやら基板裏面側に若干導通性のある何かが付着したようで、両端の抵抗値が80Ω程度になっていた。これについてはやや乱暴だが、基板裏側をすこしばかり削り取るようにして基板裏面側の絶縁性を確保、もとの抵抗値に戻した。

■ …等々、いくつかの---乱暴な---修理を経て動かしてみると(3300pFのコンデンサについてはいろいろあって取り外した)、カチカチというクリック音が聞こえるようになった。

 線量計の復活である。

 線量を測るためには、1分間あたりのクリック音の数を数えなければならない。この秋月の回路では、検出信号が取り出せるようになっているのだが(4093側のEXout)、ここへPICでも繋いで…ということをするには少し時間が足らない。
 とりあえず5分ほど様子をみて、カウントしてみる。
 すると、部屋の中(注・東京都西部)の空間線量は平均で毎分15カウントほど。平常時がわからないのがもどかしいが、とりあえず自然の放射線量とみてもおかしくはなく、騒ぐレベルでは全然、ない。

■ つぎに冷蔵庫にあったキャベツ(30日頃、スーパーの外売り場で購入・産地忘れた)を測ってみる。外側の葉にセンサを近づけたときのカウント数は毎分20カウントほど。若干多い気もするが…と思いつつ、これを洗ってからもう一度測ると、心なしか減った気がする毎分15カウントほど。なお、ふつうは食べない、一番外側の葉をはぎ取って、一枚中の葉で測定してみると、毎分10–15カウントほどになり、これは目の前のキャベツから出てる線量というよりは、自然放射線のほうだと考えて良い程度ではないかと思う。要するに、何ら問題はない。

■ さらに、風呂場にためた水にセンサを近づけてみる。ここでのカウント数は高々毎分20カウント程度。やや高いか?とも思ったが、よく聞いてみれば、既に家族が入った後であり、ひょっとすると、彼らが外出して付着した放射性物質が、ここで落ちたという可能性も否定できないことがわかった。いずれにしろ、毎分20カウントでは、やっぱり自然放射線量と大差なく、何ら問題はなさそうだね、という結論に。
 …どうだろう。個人的にはかなり安心できると思うけど。一家に一台、線量計。

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