« 欠 | トップページ | IDS を巡る ささいな?問題 »

2010年11月 5日 (金)

条文を読んでみるはなし(41)

その昔、当時の Apple Computer が行っていた、BENTO というプロジェクトをご存知、あるいは覚えてお出ででしょうか。
…失敗しちゃったプロジェクトなんだけど…。

▽ いや、失敗したのは、ベースになってる OpenDoc のほうか。覚えているかぎりだと、BENTO は OpenDoc のコンテナパートだったと記憶しているんだけど違ったかしら。
 とにかく、いろんなパートエディタはできてたんだけど、どれもこれも中途半端な印象しかなくて、それらを詰め込んだ「弁当」も、あまり美味しく見えなかった、のが、エンドユーザの期待感を引き出せず、ひいてはプロジェクトの失敗にも繋がったんじゃないかなぁ、などと部外者はノンキに考えるわけですが。

■ そう。詰め込み過ぎはダメだよな。
 と、思いながら36条は書くことが、いえ、書きたくなることがいっぱいあって書ききれないのであります。しかしながら、そう言っていてはいつまでも先に進まないので、とりあえず、前回お約束の6項の概要くらいは。

□ 第36条第6項 第2項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
1.特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。
2.特許を受けようとする発明が明確であること。
3.請求項ごとの記載が簡潔であること。
4.その他経済産業省令で定めるところにより記載されていること。

■ 第6項は「特許請求の範囲」の記載要件を定めます。
 ちなみに4号の「経済産業省令で定めるところ」は、施行規則24条の3に規定がありまして…

□ 特許法施行規則第二十四条の三  特許法第三十六条第六項第四号の経済産業省令で定めるところによる特許請求の範囲の記載は、次の各号に定めるとおりとする。
一  請求項ごとに行を改め、一の番号を付して記載しなければならない。
二  請求項に付す番号は、記載する順序により連続番号としなければならない。
三  請求項の記載における他の請求項の引用は、その請求項に付した番号によりしなければならない。
四  他の請求項を引用して請求項を記載するときは、その請求項は、引用する請求項より前に記載してはならない。

…となっております。かなり形式的な事柄を定めているのですね。
 簡単に言えば、クレイムごとに改行し、記載した通りの順序で連番をつけること。そして引用するときは、後に書いたクレイムを引用してはいけないこと。引用は、第何番のクレイムを引用したかを記載すること、です。様式から[請求項1],[請求項2]…のように記載することが定められていますので、連番というのは、この1,2…の番号のことをいうわけです。

■ さて、36条6項に戻りまして、1号は最近話題の、いわゆるサポート要件、つまりクレイムは明細書に記載された内容でなければいけない、というはなし。2号は、明確性の要件。これら1号、2号の要件については、若干の裁判例を介して後でもう少し説明しないといけないかと思うんです。できるかどうかは別として。

■ 3号は、記載の簡潔性。
 クレイムの書き方なんてのは別にシバリはないので、自由に発明を表現すればいいわけですが、それでもしつこく同じ内容を繰り返してみたり、イタズラに複雑なものにするとダメだしを喰らうわけです。
 4号は先に書いたとおり。

■ で、1号、2号のあたりの話なんですが、とりあえず一足飛んで今後の動向的なところを見てみますと、こんなことに。
 産構審の特許制度小委員会の第六回(平成22年10月14日)における配布資料、「記載要件の審査基準の点検ポイント」(http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/pdf/shinsakijyun06_shiryou/05.pdf)を見てみます。
 これによると1号については現行審査基準における「拡張ないし一般化できる範囲」について、「明確でないとの指摘がある」との認識があるようです。そこで各技術分野についてもう少し具体的な説明をしてはどうか、という案がでています。
 要するに化学系と電気・機械系とでは明細書の記載から「拡張ないし一般化できる範囲」に自ずと差があり、電気・機械についてまで明細書記載の例だけの権利にされては困るよ、という話かと思います。これについては随分前から指摘があったんですが、5年ほどを経てようやく動き出しましたかねぇ。

■ また1号違反に対し、出願人が例えば実験成績証明書を提出するような場合、どのようなケースで許されて、どのようなケースでは許されないかという考え方の基準が、必ずしもちゃんと定まっていないね、というような指摘もあるようですね。
 いい方向で決着付いて欲しいところですが(実験成績証明書については若干幅広に受け取って欲しいところがないではない)、事務局側もそれほど具体的提案をしていないみたいだし、難しいということなのかなぁ。

■ さらに当該資料には2号の関係の話もあるようですが、長くなってきましたし、当該資料そのものにあたって頂いても大した量の資料ではない(14ページほど)ので、まぁこの辺で。あとはちょっとその、裁判例あたりを数件引用したいと思います。それから36条の2へ移動かな。

………

■ …おっと! 7号を忘れてた!

□ 36条第7号 第2項の要約書には、明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した発明の概要その他経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。

 こちらは要約書の記載要件ですね。要約書は日本語では400字以内に。理想的には250字以上で、というような話になっています。件のアメリカのヘンな判決があって以来、外国出願を気にされるお客様ですと、メインクレイムをそのまま要約書に記載する例が多いかと思います。ま、要約書については、そのうちまた。

|

« 欠 | トップページ | IDS を巡る ささいな?問題 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 条文を読んでみるはなし(41):

« 欠 | トップページ | IDS を巡る ささいな?問題 »