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2010年10月22日 (金)

条文を読んでみるはなし(40)

35の次は36でして、職務発明(35条)の次の条文は36条なんであります。

▽ そして36条は記載要件の条文でして、ご紹介は結構大変なんであります。

■ なにが大変と言ってとにかくまずは条文が多いんですよね。まぁ、まずは読むだけ読んでみますか。

□ 第36条第1項から第3項 特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
1.特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
2.発明者の氏名及び住所又は居所

2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。

3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
1.発明の名称
2.図面の簡単な説明
3.発明の詳細な説明

まずは3項まで。ここまでは書くべき項目だとか、出すべき書面が列挙されているだけです。

■ 特許出願で最も重要な書面は「特許願」、つまり願書ですが、この願書には、出願人を特定する情報、そして発明者を特定する情報を記載する必要があります。法律上決められているのはここまでで、もうちょっと詳しい記載要件は特許法施行規則にあります。具体的には施行規則の23条。そして23条では、基本的には様式26に従って記載するべき旨が書いてあります(分割、変更出願などはまた違う様式)。
 まぁ、様式26についてはここでは省略しますけれども。

■ 第2項は、必要的添付書面と、任意的添付書面とが列挙されています。
 必要になるのは、明細書、特許請求の範囲、要約書。
 任意なのは図面。実用新案では、図面が必須の添付書面になります(実5条2項)。
 特許と違って実案で図面が必要であるという理由は青本などで適当にお調べください。それにしても磁性を帯びたカミソリの刃、というのでも考案に相当するといいつつ、図面が必須というのも…なのですが、これをエイヤーで無視してしまうと、「トイレットペーパー事件」的流れになるわけで、誰もハッピーな結果にはなりそうにありません。

■ 3項は、明細書に書くべき項目。
 名称、図面の簡単な説明、そして発明の詳細な説明。
 こちらの明細書もまた、詳しい様式は特許法施行規則24条で、様式29により作成せよ、とあります。さらに、3号の「発明の詳細な説明」については、4項である程度規定があって、

□ 第36条第4項
4 前項第3号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
1.経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。
2.その発明に関連する文献公知発明(第29条第1項第3号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知つているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。

 そして「経済産業省令で定めるところ」というのが、特許法施行規則24条の2に対応していて、
特許法施行規則第二十四条の二  特許法第三十六条第四項第一号 の経済産業省令で定めるところによる記載は、発明が解決しようとする課題及びその解決手段その他のその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することによりしなければならない。
となっているわけです。
 4項については、もう一度来週あたり戻って来ようと思います。

■ 5項はこんどはクレイムの問題(対応する規則は、施行規則24条の2、様式29の2)。

□ 第36条第5項
5 第2項の特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない。この場合において、一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である記載となることを妨げない。

ときどき話題になるのですが、

「特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべて」

というのは、後になって、

「この発明、実は他にも要件がありまして」

とか、

「この要件は、この発明には要らないものでして」

などとゆー言い訳は許さない、というような話です。多少、誤解を招く表現だとはまぁ、ときどき思います。
 それと、

請求項1と請求項4とは同じ発明なんじゃねーの?

というようなことは拒絶理由にならない、というのは、この5項後段から出てくるわけです。同じ発明を別のクレイムに書くことは(意味があるかどうかは別として)、許容されているわけですね。

■ では次週は6項あたりから。少し『本題』に入りたいんです。

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