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2010年9月 1日 (水)

台風の風と表示と

ある研究所公開で、実験用の風洞に入れてもらったことがある。風速20メートルまでを体験させてもらったのだが、20メートルの風は連続して吹き付けられるともう、立っていられない状態だった。

「瞬間風速」

だからまだしも耐えられるんだ、とそのとき思った。

▽ 台風の強風域は風速15メートル以上、暴風域は25メートル以上の風が吹く範囲を基本的にいうが、地上では地形や建物の影響があるから、必ずしも25メートルの風がまともにぶち当たるわけではない。それでも台風の中は歩きにくいけれど…。

■ いま、この記事を書いている時点で、日本の南西側の海上には3つの台風がある。このうち特に台風7号は、中心付近の最大風速が40メートルと強い。名称は「コンパス」。星座のコンパス座に由来する。
 ちなみにこの名称は、いつかも書いた気がするけど、カンボジア、中国、北朝鮮、香港、日本、ラオス、マカオ、マレーシア、ミクロネシア、フィリピン、韓国、タイ、米国、ベトナムがそれぞれいくつかの候補を順列して出し、先の国順に、順列の先頭から一つずつ選択したものである。何故か日本は星座の名前を次々列挙している。他の国に比べると、今ひとつオリジナリティに欠ける気がする。まぁいいけど。

■ 台風の風
には、いくつか面白い研究があって、ウィンド・プロファイラという測定器を使い、その風向風速の立体構造を解析することが行われている。
 北半球の低気圧では、その周方向反時計回りに風が吹く(低気圧性回転)。一方、高気圧ではその逆になる(高気圧性回転)。台風は、低気圧の発達したものだから、低気圧性回転が生じると思われるが、実は台風中心付近は高気圧性回転をしているという観測結果がある(http://www.kurasc.kyoto-u.ac.jp/radar-group/members/teshiba/T0221/20040515meso.swf)。
 ということは、台風の中心部が近くに到来すると、どこかで風向きがふっと変わるはずであるが、そんな経験をした記憶があまりない。もとより強風の吹きすさぶ状況で、風向がどうとか、まったく気にかける余裕がないのかも知れない。いずれにしても、中心付近で高気圧性回転が生じているとは知らなかった。

■ また、台風といえば、台風情報の表示を見やすくするために、平成17年12月と、平成18年2月とに懇談会が開かれたことがある。その経緯は、気象庁の台風のページ(http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/conf/index.html)に詳しいが、図示表示において、

  • 暴風に対して警戒が必要な範囲を示す
  • 進路予報について誤差範囲を示す
  • 予測対象時刻を明示する

の三点を基本要件として、これら基本要件を満足しつつ、誤解の少ない情報提供のありかたを子細に検討している(http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/conf/tyc180202-11ref1.pdf)。
 個人的には、あの「予報円」方式に慣れてしまっているので、この資料の最後にある、「確率の面的情報」の表示例はあまりピンとこない。しかしながら、いろいろな表現方法を模索して、理解されやすくするための努力をされていることには頭が下がる。

■ とはいえ、弁理士だって---懇談会などを開くのではなくて個別にしていることが多いと思うけど---表現がなるべく分かりやすくなるように工夫はしているのである。
 以前は、

明細書は分かりにくく書かれなければいけない

という頑固一徹なセンセイもお出でだったが、いまどき、こういう方は流行らない。と、いうか、こういう方の書かれる明細書は今時、いろいろ問題を起こすことになる。
 いまは、明細書は分かりやすく表現されていなければならないのである。

■ しかしながらここでいう「わかりやすさ」とは、小説風に物語が分かりやすい、というのとは異なる。だからそこには自ずと、明細書で使用されるべき表現技法という独特のものがあってもいい、と思う。
 一般的な説明文書の記載方法については、それこそ古くは本多勝一(いい本だと私も思うけれども、途中までで十分な気もする)などがあるし、今でも次々、各種文章術の本は出ているから、それに任せればいいとして、明細書における発明表現として、ある程度、表現技法として固まってきたものは、一度ちゃんとまとめて、一種の基準として打ち立てたほうが、書く方も読む方(評価する方)もラクなのではないかとも実は思っている。
 かといって、なんだか数式的な方法(というか記号論理的な書き方)をしろというのはどうかとも思う。言語的な「幅」が欲しいときもあるからだ(外延が不明瞭になるというのとは違う。外延を区画する線の幅の問題である)。
 ようは、数ある分かりにくい「特許用語」は、実は過去にいろいろな人がそういう表現を模索した結果であって、徒に唯々、国語辞書にないとの理由で排除すべきではなかったのではないかと、時々思うことがあるのである(いや、もう使うことはないけどね。「摺動」とか以外はね)。

■ 今日は9月1日。防災の日である。
 皆様、日々の備えは、万全ですか?

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