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2010年6月23日 (水)

who's first

本日はまた、発明対価に関する判決がありましてマスコミを賑わしていましたが、この判決については、技術的な内容とともに後日、全文がでた段階でご紹介したいと思ってます。

▽ さて、世間はワールドカップの話題で盛り上がっているようですが…

■ 弊所のパートナーの一人はワールドカップの大変熱心な観戦者ですが…

「うるさいんだよとにかく。おっきいハエがぶんぶん飛んでるみたいでさぁ」

と、いうのです。そこで私が

「でもテレビ局もいろいろ工夫してるみたいじゃない。バンドノッチフィルタみたいのかけてさ」

というと、

「いやそれでもうるさいって。現地じゃぁ選手は話もできないくらいなんだよ?」

とのこと。
 そりゃ文句もでそうだ。

■ 何の話
って、それはあれ。ブブゼラ(Vuvuzela)のことです。いかにも音から取って付けたみたいな名前です(命名の由来について諸説あるようです)。
 長さは区々ですが一般的なものは1メートルほどだそうで、私が想像していたより長かったです。wikipedia によると音程は一般的にはB♭(約466Hz)ぐらいの固定だそう(音程を変化させる機構はないので、単音しかでないのは当然でしょうけれども)なので、音速を 340 m/s として、340/466 = 0.73m ですから、まぁそのくらいの長さの空洞があるってことなんでしょう。

 んで、このブブゼラ、発明者兼命名者だという人物がインタビューされていまして(http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20100616_vuvuzela_rant/)、それによれば、発明したのは20年前だそうですが、最初期のラッパみたいな単純な形状をした楽器ですから、「発明」といわれてもピンときません。
 また、別のニュース記事では、南アフリカにある教会を創始した聖職者が100年ほどまえに動物のツノを使って作ったものだという説が紹介されており、なんだか分かりませんが、とにかくその由来には争いがあるようです。
 まぁこれを争っても、名誉権みたいなもので、特許が獲得できるというようなものでもないでしょうが…。

■ 日本の特許制度では、先願主義(First to file)というのが採用されていますから、発明の時点がどうあれ、先に出願した者に対して特許を受けるチャンスが巡ってきます。もちろん、ここで冒認出願(真の発明者から発明を見聞きするなどして盗み、出願すること)でもあれば、事態はたいへん複雑な方向へ進むのですが、それは今回は置いていきましょう。
 とにかく、なんといっても先願主義制度の利点は「先に出した人」というのが比較的簡単に特定でき、また、なるべく知的財産権を早期に公開させて技術促進につなげたいという特許制度の趣旨にも合っていて、都合がいいわけです。

■ この先願主義に対立する制度の一つが「先発明者主義(First to invent)」というやつで、米国で未だに採用されていていろいろブツギをカモしていたりするわけですが、こちらの制度では複数の出願間、あるいは出願と特許されちゃったケースの間、さらには特許されたもの同士の間で、

「実はオイラの方が先に発明したんだもんね」
「いや、私の方が先だ!」

などという争い(インターフェレンス:Interference)をする必要がでてくる場合もあります。
 日本出願を基礎とした米国出願の場合、いわゆる優先日までは発明日が遡及できるわけですが、記憶によれば、かれこれ 14,5 年前の規則改正で、発明者ノートなどが作成されている場合は、その発明者ノートにより当該発明がされた日付が確定できれば、さらに発明日を遡らせることもできるようになったんだったと思います。
 もっとも、事務所方としてはそれほどインターフェレンスの手続に巻き込まれることはなく(幸いなことに)、私も人がやってるのを

「大変だねェ」

などと見ていたことがあるくらい…だったと…思うけど…(あれ?手伝わされたっけ?? …まぁいいや)

■ ちなみに、その「発明者ノート」なるもの。
 当該規則改正の当時は、「発明者ノート」とはこうでないとダメなので、こうやって作成しておけ、みたいな話題が花盛りでしたが、最近はそういう話をとんと聞かないですね。
 すでに浸透したってことなんでしょうか。
 まぁ、一般的には加除不能な(バインダーみたいのではなくて、ちゃんと綴じてある)ノートをつかい、連番や日付を書き付け、さらにページごとに誰か witness のサインをしてもらい、余白は作らず…といったようなものなわけです。結構大変ですが、競合者の多い研究分野では、こういう作業も必要、という話であります。

■ ブブゼラのばあい、発明からの経過時間やいかにも公知例的なその姿態を考えると、さっきも書きましたように知的財産権云々の話はどうも眉唾な印象ですが、件の教会は

「ウチのものだ」

といろいろ言っているみたいですね。こういうときには、適当な額で折り合って「ライセンスとりつけました」的な話にするのも一つの解決策ではあろうかと思います。しかし、仮に日本で吹き鳴らしたいならば、あまり知的財産権を気にするほどのものでもないでしょう。ええ。それ以前に、近隣の迷惑というのを考えた方がいいかも知れないです。あの音は比較的簡単に受忍限度を越えているという判断がされそうですから。

Amazon で手に入るんだよね。何でも売ってるなぁ、Amazon。願わくば愛すべき隣人が買わないことを祈るよ。

ちなみに…
カズーも売ってる。

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