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2010年6月24日 (木)

乱読日記[163]

きたか? きたのか?

…キターーーー!! … iPhone4 が(いえ。ウチにではなく)。
 いや、来てないよ Bilski v. Kappos。いつなんだろう、ほんとに。

▽ そういうわけで、本日は「乱読日記。」

□ 竹内敬人,「人物で語る化学入門」

人物で語る化学入門 (岩波新書)
竹内 敬人
岩波書店
売り上げランキング: 50576
おすすめ度の平均: 5.0
5 「必要は発明の母」と「発明は必要の母」の両方の事例が詰まっている
5 タレスから下村まで
5 化学の実験は危険だったんだなぁ…
4 世界の仕組みを解明しようとする先人たちの苦闘

■ 岩波新書の「赤本」で、縦書きの書籍ではあるが、こんな本が私の高校時代にあったならば、大学ではもう少し化学寄りの勉強を志したかも知れない。
 この本では、化学で現れる種々の化合物や研究の方法など、化学をめぐる諸問題を、それらの解決に寄与した人物にスポットを当てながら、次々に展開していくというスタイルが採られている。もっとも、本書の最初の数章は---著者自身書いていることながら---化学者よりも物理学者による現代的な「原子」の発見に至る物語が展開されており、化学というよりもやや現代物理の入門に近しい。

■ 紹介される事象は広範に及び、周期表の誕生から、炭素をつなげる話、高分子のはなし、原子の重さを量るはなし、鏡像対称、そして最後には超分子(分子間相互作用により、他の分子やイオンを内に保持する化合物---クラウンエーテルなど---)にまで至る。
 化合物をつくるという観点では、反応がいかに進行するか、また、それをどうやって予測できるようになったかを化学熱力学の考え方をさらりと、分かりやすく説明してくれている。
 この説明は、大学で熱力学に苦労した私としては、正直にもう少し早く読みたかったと言いたい。

■ また、本書の特徴のひとつとして、「人物で語る」のタイトルどおり、各登場人物の紹介文がところどころに挿入されてい、これがまた一つの読み物として楽しめる点がある。
 第一次大戦に参戦して命を落としたモーズリー(モーズリーの法則の発見者)の物語や、ケクレ(ベンゼン環の構造の解明)が当初は建築学を志していたこと、十分な功績をあげながら、ナチスによって国を追われたハーバー(ハーバー・ボッシュ法)の話など、「隠れた逸話」も満載で、こちらもまた楽しめる。

■ そういう具合で、なかなか読みでのある本書であるが、個人的には、冒頭にもちょっと書いたが、高校生くらいの人たちに是非読んで貰えたら、化学へ、そして広く科学研究へ興味を持って貰える一助になるんではないかと思われた。教育的な観点からも優れた本であると思うのである。

■ あ、そうそう。この本の熱力学の話でふっと思い出したことがある。それは熱力学で出てくる諸公式の覚え方、という話だ。どっかの教科書で読んだのだったが、どれだったかいま書棚をひっくり返してみたが、見つけられなかった。それは、こういうものである。まず、地図でいえば、北から時計回りに、北、東、南、西にあたる各方向にそれぞれ、E,F,G,Hと書く。

     E  
  H     F
     G

つぎに、「Lucky SEVen」と唱えながら、「E」を、SとVで囲む。

  S  E  V
  H     F
     G

Vに対し、対角線上にある位置にPを書き、Sから対角線上にある位置にTを書く。これらは熱力学では「組」になるものだから、これくらいは予め覚えておく。

  S  E  V
  H     F
  P  G  T

最後に、VとTとにマルをつけておく

  S  E (V)
  H     F
  P  G (T)

※ここでは()で代用。

このマルは、微分(dVやdT)になるときに、マイナスをつける、という意味になる。
 さて、いま、dEの式を作りたいとする。Eの隣にあるSとVを微分で書く。係数を書くスペースはあけておく

dE=  dS−  dV

Vにはマルがついているので、dVの項にマイナスが付く。
さて、各微分にかける係数として、対角線上の文字を書く。

dE=TdS−PdV

これでエネルギーに関する式ができあがる。同様に、自由エネルギーFについて、

dF=−PdV−SdT

ギブスの自由エネルギーについて、

dG=VdP−SdT

エンタルピーHについて、

dH=VdP+TdS

と書ける。もちろん、ここからT一定などとすれば、種々の公式がまた導かれるというわけで、公式を覚えるのが大分ラクになったものである。この方式は、ほんとうにどこに書いてあったんだったか、なぁ。

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