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2010年5月14日 (金)

条文を読んでみるはなし(19)

近頃街中で外国の方を見かける機会が多くなったように感じます。
町田は東京都の中にあるものの、郊外的なところで、あまり外国人が来訪して面白いところもあるまいと思うのですが、意外に多いなァと思っていましたら、つまりは住んでらっしゃる方が多いようなのです。

▽ 外見が一見日本人でも携帯をとって話し出したら外国人だったのか、ということもあります。そういうとき、一瞬、アタマ混乱しませんか?

■ 今回は25条。外国人の権利享有に関する規定です。

□ 第25条 日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有しない外国人は、次の各号の一に該当する場合を除き、特許権その他特許に関する権利を享有することができない。
1.その者の属する国において、日本国民に対しその国民と同一の条件により特許権その他特許に関する権利の享有を認めているとき。
2.その者の属する国において、日本国がその国民に対し特許権その他特許に関する権利の享有を認める場合には日本国民に対しその国民と同一の条件により特許権その他特許に関する権利の享有を認めることとしているとき。
3.条約に別段の定があるとき。

 特許権者等になれない場合を挙げているんですね。
 「日本国内に住所又は居所(法人にあつては、営業所)を有しない」場合であって、上記1,2,3に該当しない場合ということです。
 当該外国人の属する国をA国と言い換えておきますと、この規定は、

  • 1号:A国では日本人に対して、A国民と同じ条件で特許権等の享有を認めている場合
  • 2号:日本がA国民に対して特許権等の享有を認める場合には、A国も日本人に対して、A国民と同じ条件で特許権等の享有を認めますよ、という場合、
  • 3号:そのほか条約に定めがある場合

ということになります。
 ほとんどの場合、パリ条約の締約国くらいからしか日本への出願なんてないので、この規定が生きてくるケースはかなり稀かと思います。

■ 25条に関しては、まぁ、あんまり書くこともないので、次に行きましょう。

□ 第26条 特許に関し条約に別段の定があるときは、その規定による。

条約と国内法の関係をどう捉えるか、とかいうことが青本あたりに書いてあったような気がしますが、そんな理論的なことはともかくとして、条約の遵守は憲法に定められておりまして…

□ 日本国憲法98条第2項
日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

という通りです。もっともこれによって条約が国内法として受け入れられ、国内法より優位に立つというような結論は当然にはでてこないかと思いますが、一般的な解釈としては、そのようになっているわけです。
 従ってこの憲法98条2項があれば、26条は必要か、というようにも思えるのですが、まぁ、念のため、ということかなぁ。
 一般的に国内の特許関係法と、現在日本が批准ないし加入している条約についてはあまり矛盾が生じないようにできていますから、この規定はむしろ、条約の自己執行性(self execution)を認めていることに意義があるのかな、と私なんかは理解しています。

■ そうそう、批准と加入との違いについては、いつだったかも書いた気がしますが、

  • 条約に「署名をして」拘束される意思を示すことが批准
  • 条約に「署名をせずに」拘束される意思を示すことが加入

という程度の理解でよかったかと思います。
 特に、条約が署名のために開かれている状態でなくなってしまうと、加入しかできません。もっとも、加入と批准との間には、その効力上の差はないものと考えます。ちなみに条約発効前に、署名だけしておく、という段階では、「批准」とは言わないで「署名」というのが普通みたいです。
 最近の条約では、もう少し簡便な方法で拘束される意思が示されるようですが、パリ条約等では、いまも「批准」、「加入」の語がありますので、念のために書いておきました。

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