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2010年4月16日 (金)

条文を読んでみるはなし(15)

4月18日は、発明の日です。
今年は産業財産権制度125周年ということで、そっちのイベントがメインになるようで、発明の日イベントはあまり宣伝がなかったみたいです。

▽ wikipedia によると、この日は、

1885年のこの日に現在の「特許法」の元となる「専売特許条例」が公布されたことに由来し、発明協会が1954年に制定。

ということです。

■ 今回は18条からですか(私としては「18」つながりなつもり)。
 まず条文をみましょう。

□ 第18条 特許庁長官は、第17条第3項の規定により手続の補正をすべきことを命じた者が同項の規定により指定した期間内にその補正をしないとき、又は特許権の設定の登録を受ける者が第108条第1項に規定する期間内に特許料を納付しないときは、その手続を却下することができる。
2 特許庁長官は、第17条第3項の規定により第195条第3項の規定による手数料の納付をすべきことを命じた特許出願人が第17条第3項の規定により指定した期間内にその手数料の納付をしないときは、当該特許出願を却下することができる。

 条文としては比較的簡単なもので、補正命令を無視したり登録料の不払いがあった場合に、長官は手続を却下できるという話です(1項)。2項は195条3項の料金補正命令の違反(なお、195条3項の話については青本(逐条解説)を参照)。こちらも長官が「出願を却下」できる、という話。
 条文のうち、「…できる」と表現されているところが本条の骨です。却下は長官の裁量の問題というわけですね。と、いいますか、条文が単純なので出題ポイントはその部分くらいです。「…しなければならない」ではないわけです。

■ 18条の2もまた却下の話です。

□ 第18条の2 特許庁長官は、不適法な手続であつて、その補正をすることができないものについては、その手続を却下するものとする。
2 前項の規定により却下しようとするときは、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を提出する機会を与えなければならない。

 こちらは紛らわしいことに、「却下するものとする」になっています。その理由については青本を参照のこと(ま、結局は「却下する意外に裁量の働く余地がない」というだけのことですけどネ)。

■ この18条の2については、そもそも一つの判決があります。昭和45年(行ウ)106号事件というものです。この事件、別名を「トイレットペーパー事件」といいます。
 実用新案の事件ですが、大凡の経過については http://ntakei.cocolog-nifty.com/pam/2006/03/post_f086.html を参照してください。従前はそもそも申請としての本質的要件を欠く場合は不受理処分であるとしていた(法定せず、取り扱いとして)のですが、この判決以降では変わりました。
 判示の概要を書き出しますと、

いかなる態様の瑕疵がある場合に、申請が申請としての本質的要件を欠き、またその追完が許されないものとすべきかについては、当該申請がいかなる法令によつて認められたものであるか、また当該申請によつて達せられるべき目的、その申請行為の性質等によつて異なり、一概に決めることはできず、各法令を検討解釈して決定すべき問題

であって、

実用新案登録の出願にあつては、いかなる場合にも図面を添付することが不可欠であり、図面の添付のない出願は、出願としての本質的要件を缺き、後に図面の添付を追完することの瑕疵を治癒することができないものであるとするのは妥当ではない。

となっています。
 実用新案の出願で、明細書がない、請求項がない、というような出願としての本質的要件を欠く場合に、その取り扱いが法定されていないならば、他の法令などとの比較検討の上でどうするかを決めるべきで、実用新案の出願の場合、「後に図面の添付を追完することの瑕疵を治癒することができないものであるとするのは妥当ではない」というように締めくくっているわけです。

■ そういう背景を含みつつ、平成5年制定の行政手続法と同様の要請(と、いいますか、行政一般の法律が改正されますと、特許法等も少し遅れて影響が出る場合が結構あるのです)により、「当然に不受理」という話から、平成8年一部改正で、

  • 必ず受理する
  • その後に却下する

という手続に代えたわけです。出願人側から見れば「何が違うんだ」という感じですが、行政のほうの対応の問題としては違いがあるわけです。
 ちなみに、具体的な却下の取り扱いについては、方式審査便覧の 15.20 を見ると、いろいろ書いてあります。ここ(http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/binran/015-20.pdf)で見られますが、受験勉強用としては、重要度のやや低いテキストかと思いますので、念のため。

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