« 錯綜 | トップページ | 問い合わせ ばなし »

2010年4月14日 (水)

音 ばなし

先日は高校時代の友人らと久しぶりに会う機会がありました。
卒業からは既に20余年を経過しているんですが、いまだに集まれば当時の雰囲気に戻るんですから、面白いものですね。

▽ 高校時代の記憶といえば、私自身、天文気象部というところで部長をしてました(その関係で、文化部の部長の連絡会議的な委員会、文化委員会にも出席してい ました)から、その部活のことが結構大きい位置を占めています。しかし、その上でもう一つ、バンド活動なんかもしていたんでした。

■ いちおう、形だけは鍵盤もギターも弾けなくはないのですが(今となっては、かんっぜんに錆び付きましたが)、やっていたパートは専らdsでした。あまり叩ける人がいないので、複数バンドをかけもちしていたりしたものです。たいして上手くもないのにねぇ。

■ 高校のあった吉祥寺駅近辺には、いくつかの練習スタジオもあり、ドラムのセットも、シンセなんかも貸し出されていました。私たちはそれらの機材を時間で借りて練習したものです。そうした当時の機材の中で、ひときわ目立っていたのがヤマハの DX-7 でした。FM音源という画期的な音源から繰り出される音色は、それまでのアナログシンセサイザからは考えられないほど艶やかで透明感がありました。もっとも、個人的には KORG なんかも好きでしたが(こちらの要求に素直な音がでるので)。

■ サインカーブ、というのは皆さんだいたいアタマに浮かぶのではないかと思います。が、ここでは念のため、Wolfram の alpha (http://www.wolframalpha.com/)を使って作図してみましょう。こんなふうなものです。

10041401

この図は、sin[x] を図示したものです。大ざっぱにいえば、x=0の点からほとんど45度の方向に直線的に飛び出し、やがて放物線的な(放物線ではありませんが)カーブを描いて頂点に達すると、こんどは下向きにおりてきて谷に達し、また昇り始めて…というのを繰り返すカーブです。
 この周期を1秒あたり440回繰り返して(つまり440Hzの)音にすると、フルートのような澄んだ音色で「ラ」の音が聞こえます。ここで、試みに、

sin[x]+1/2 sin[2x]+1/3 sin[3x]+1/4 sin[4x]+1/5 sin[5x]

というのの図を作ってみましょう。こんなふうになります。

10041402_2

 これは、例えば 440Hz の音(基音)に対して、2x=880Hz の音(2倍音)を基音の1/2の音量で足し、3x=1320Hz の音(3倍音)を基音の1/3の音量で足し…としたものです。徐々にギザギザののこぎり形状になってきます。鋸歯状波などといいます。こうなると、ストリングスみたいな音色になってきます。なお、音程は基音の「ラ」の音に聞こえるはずです。

 じつは、音色は倍音の含まれ具合で決まってくるのです。アナログシンセサイザでは、この倍音の含まれ具合を主にカットオフ周波数調整機構と、レゾナンス調整機構とで決めていました。この方法は、比較的効果的ではあるのですが、現実の楽器のもつ複雑な倍音構成にはとても届かず、若干不自然な音にならざるを得ないのです。

■ 一方、FM音源のアプローチは違います。FM音源では、大ざっぱに書けば

sin[x+sin[a x]]

という数式で音の波形が作られます。例えば、

sin[x+sin[5 x]]

で得られる音波の波形はこんなふう。

10041403

 この程度でもかなり複雑なものですが、さらにこの波形を入れ子状にサイン関数の中に入れたりすると…

10041404_2

といったようにさらに複雑な波形が得られるようになります。こうして、複雑な倍音構成をもつ音を得てしまう。こんなのがFM音源だったわけです。もとがこんな音の創り方なので、FM音源から繰り出される音色を希望通りにコントロールすることはなかなか難しい(近似的に調整することはナントカなるとしても)のですが、たとえ偶然にできた音色であっても、先にも書いたように、中々魅力的なものが多かったりしたのです。

■ …いやぁ。何を長々書いているのか。
 それはですね。今日、ヤマハがサウンドLSI(音声合成用らしいが)の特許権をめぐって、アクセル(AXELL)という企業を訴えた、というニュースがあったのです。既にヤマハのニュースリリースとしてウェブサイトに掲示がありますが(http://www.yamaha.co.jp/news/2010/10041401.html)、訴訟は2件あるようで、それぞれ対象になっている特許番号なんかも出ているわけです。で、それを記事にしようと思っていたんでした。
 しかしながら、クレイムを参照すると、結構広く取られてるみたいだし、当の AXELL 製品のほうは、構成図しか公表がないので態様が明らかでないし(こういう顕現性のうすい対象をよく見つけたな、という感があり、そういう意味では侵害態様の立証手段がちょっと興味ぶかい)、あまり書けることがねぇな、という感じで、記事を薄め始めたらちょっと突っ走っちゃったというような次第でして…。
 そのうちもうちょっと掘ってみようかなぁ。

|

« 錯綜 | トップページ | 問い合わせ ばなし »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/165428/48089939

この記事へのトラックバック一覧です: 音 ばなし:

« 錯綜 | トップページ | 問い合わせ ばなし »