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2010年2月 5日 (金)

条文を読んでみるはなし(5)

どこからメールアドレスを拾うのか知りませんが---あるいはこのサイト内のリンクを視ている可能性もありますけれども---、若干いかがわしい方面のメールが届くことがときどきあります。

▽ 外で、iPhone なんかで見ている場合、メールをザッピングして見ていくことが多いため、こういう種類のメール(特に画像付きのもの)を例えば電車内なんかで開いてしまうと、ぎょっとしてしまいます。周りの人から何かこう、人格を疑われるんじゃないかと…。

■ そういう意味での「人格」とは少し違いますが---、特許法の6,7条は、行為能力というか、手続能力というか、そういう方面のはなし。

□ 第6条 法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において次に掲げる手続をすることができる。
 1.出願審査の請求をすること。
 2.特許無効審判又は延長登録無効審判を請求すること。
 3.第171条第1項の規定により特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審を請求すること。
2 法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審を請求されることができる。

 法人とはなんぞや、という話をし出しますと、とたんに難しくなりまして、とてもこの blog に余ることになってしまうので、かなりの部分を棚上げしてしまいますと、普通の「人」(法人に対しては「自然人」などと言いますが)と同様に、法律上、権利能力が認められるようにしてある団体や組織等のこと、だとでも理解しておけばよいのではないかと思います。

■ 法人でない以上は、権利能力がなく、権利・義務の主体にならないのですが、場合によって社団として権利・義務の主体となるかに見えるときがあるので、一定の場合に手続を認めましょう、というような話を6条ではしています。ちなみに同様の話は民事訴訟法なんかにもありまして、この6条1項の最初の部分、

「法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるもの」

というのは、民事訴訟法29条の規定と同様です。

□ 民事訴訟法29条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。

ともかく、論文のテキストふうにいうと、

これらのもの(法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるもの)も、社会的活動を営み、取引界に登場する

から、6条を定めている、というわけです。

■ 特許法を超えて一般法的には、さっきも書きましたように論点が多いのですが、弁理士試験ではそんなことはどうでもいい話で、とにかく「法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるもの」ができることとして、

  1. 出願審査の請求をすること。
  2. 特許無効審判又は延長登録無効審判を請求すること。
  3. 第171条第1項の規定により特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審を請求すること。

が列挙されていますので、この内容をそっくり覚えてしまえばいいのです。
 覚えにくければ、結局、特許権の成立と消滅に関わらせているわけ(特許権が享有できないので、そっちかわの立場のものはありません)だと考えればいいのです。審査請求によって権利の存否を確定させ、また必要に応じて権利の無効に関する審判や、その確定審決に対する再審の請求をすることができるようになっています。また、その関係で、第2項のように、

「特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審を請求されることができる。」

としてあります。

■ なお、再審請求に関して、ですが、じつは再審の請求は171条1項だけではないのです。審判の当事者が共謀して第三者の権利や利益を害する目的をもって審決をさせた場合(こういうのを詐害(さがい)審決といいます)、その損害を受けた第三者が再審を請求することもできます。こちら詐害審決に対する再審は172条に規定されています。
 しかし、この「法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるもの」については詐害審決に対する再審は請求できるか、と言われるとできません。172条の再審請求については列挙されていませんからね。
 これは、社団や財団は、審決によって利益が害されるとは考えにくいからだ、と説明されています。

■ 次に第7条。第7条は、制限行為能力者の問題です。

□ 第7条 未成年者及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ、手続をすることができない。ただし、未成年者が独立して法律行為をすることができるときは、この限りでない。
2 被保佐人が手続をするには、保佐人の同意を得なければならない。
3 法定代理人が手続をするには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。
4 被保佐人又は法定代理人が、相手方が請求した審判又は再審について手続をするときは、前2項の規定は、適用しない。

 こういうものは表にしていきます。

本人 手続きする人 要同意者
未成年者※
成年被後見人
法定代理人(1項)
被保佐人 本  人 保佐人(2項)*
法定代理人 代理人自身 後見監督人(3項)*

※ 独立して法律行為をすることができるときを除く
* 相手方が請求した審判又は再審について手続をするときは、同意不要(4項)


 未成年者というのは、法律上満20才未満をいうわけです(民法4条)。ただ、未成年者でも結婚すると成年に達したものとみなされる(民法753条)わけです。そのほか、未成年者の法定代理人は未成年者に対して営業を許可できるのですが、この場合に当該営業を許可された未成年者は、その営業に関しては成年者と同一の行為能力を有するとされます(民法6条1項)。
 つまり、「独立して法律行為をすることができるとき」の法律行為は、営業許可された場合の当該営業に関する部分での法律行為や、婚姻している未成年者による法律行為、ということになりましょうか。

■ …概要だけ
見るぶんにはそんなに難しくはありません。
 次回は8条から、ですか。

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