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2009年11月16日 (月)

定額ばなし

iPhone を導入して2月ほどが過ぎた。この間、外出先でのメールチェックはもちろんのこと、外で safari(web ブラウザ)が使えることで、いろいろな役に立ってくれている。唯一気になるのは Softbank mobile 社によるパケット帯域制限の問題だが、既に実験に入っているというわりに、個人的にはその影響を受けているようには思えない。

▽ ところで、そのパケット代、MySoftBank というサイトで確認できるのだが、割引前の料金も見ることができる。それによると…10万円を大幅に超えている!
 もちろん、パケット料については定額パックに入っているので実請求額はもっとずっと少ない。
 それにしても、携帯電話キャリア各社とも(私がプライベートで使っている docomo の機種もパケット定額に入っている)このパケット定額というのを実施中だけど、ちゃんと稼げているんだろうかね。
 SMAP の誰かじゃないけど、トップの方々は

「何考えてるんですか」

と言いたくなる気持ちも分からないではない。

■ ところで、携帯電話キャリアばかりではないかも知れない。この定額料金制の件。
 フジサンケイの記事によると、野村総研の関連である NRI サイバーパテントが、「米国特許出願パッケージサービス」とかいうのを始めたらしく、

「1案件ごとの定額制」

で出願サービスをするんだそうだ(http://www.business-i.jp/news/for-page/chizai/200911160001o.nwc)。

■ 「1案件ごと」というのは分かりにくいが、要するにパケット定額みたいに、常に同額なんじゃなくて、「追加料金一切無し」という説明らしい
 料金は、基礎となる日本語の出願明細書の文字数によって事前に決定するのだそうだ。例えば1万5千文字の場合の価格が提示されているが、それによると74万円だという。

■ 通常、外国出願の場合は、日本側の代理人(つまり私らだ)による和文明細書の調製料、翻訳チェック代のほか、現地代理人費用と、翻訳代とが主な請求項目になる。ちなみに、現地代理人の費用は(事務所にもよるが)約40万程度、翻訳代は、英語への翻訳の場合英文のワード数で一ワードあたり30〜40円ほど。我々の手元に入る分はだいたい数万円程度である。
 ここで注意されたいのは翻訳代の部分で、英文ワード数で数えるのが普通で、NRI サイバーパテントみたいに日本語の文字数で数えるのは珍しい。もっとも、中国語への翻訳だとか、ワード単位の計算がうまくできない相手に対しては、現地語の文字数の従量制ということはあり得る。

■ 主要なコストドライバーは、翻訳の費用だが、有能な翻訳者を立てるとワードあたり30円程度はかかる。これについて、例えば依頼者側からワード30円未満で頼む、と言われると例えば現地人によるプルーフリード(通常、ワードあたり5ないし7円程度)を入れることが難しくなる(赤字になるからね)。つまり、翻訳料というのはその精度の評価がなかなか難しいわりに、手を抜いてコストカットを図るのが容易な部分であるのである。

■ ところで NRI サイバーパテントでは、1万5千文字なら74万円で追加料金なしだ、といっている。この料金体系を実現しつつ、翻訳の質をある程度担保しようとすると、内部に翻訳者を入れてそれなりの件数を回さないとならない。それに、案件によってはもしかすると赤字が出る。どういうつもりなんだろう。赤字がでるぶんについては、回転寿司のウニと同じような考え方なんだろうか。

■ ちなみに、特許事務所からみると、彼らのような「外国専門」の人たちは、要するにこちらが苦労して書いた日本語明細書を貶しつつ翻訳し、翻訳の結果が低質であれば日本語明細書の責任にするというロクデモナイ連中、と評価する人たちがある。
 私は必ずしもこの意見には与しないけれども(確かにヒドイケースはあるけど)、日本語明細書を担当した事務所がそのまま外国出願も担当する、というほうが嬉しいことが多いとは思う。例えば、事務所側のメリットとしては、翻訳時に明細書を翻訳しやすいものにするためのフィードバックが得られること、また、外国代理人との風通しをよくしておくことができる。これが実は結構大事なことなのである。
 また、おそらく出願人側のメリットとしては、外国出願時に日本語明細書の充実を図ることができる、という点がある。これは翻訳時に気がついた誤記を補正するとかいうレベルから、追加発明の検討を事務所とともに行うことができるなど幅広い意味合いももつ。
 予算削減から案件数の少なくなっている昨今、このような中間的段階での質向上策は意味のあるはなしじゃないかと思うんだけどねぇ。

■ え、じゃぁ事務所でも「定額制」をやればいいじゃないかって?
 私のところじゃムリかもですね。というか外国出願のコストカットで一番効果があるのはたぶん、現地代理人の選定部分。たぶん NRI はそういう点でも有利な現地代理人を捕まえてるのではないかなぁ。
 しかし、現地代理人のほうが、我々国内代理人よりもコストカットに対する手数の引き具合はシビアだと思うけど…。どうなんだろう。

■ それと、最後に気になったのは記事の中で、

「…成功報酬や追加料金…もない」

のところ。「成功報酬」って。外国出願では頂いておりませんがな。
 あ、あと、「追加料金」がどこまでの追加料金なのか明確にしておかないと…、と、敵(?)に塩を送ることもないか。
 は。今日の記事はなんか意地悪い感じがする、ですか?
 いや、そうだとすればそれは単に私が、こういうサービスを展開できる NRI を僻んでいるだけです。

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