« 台風むだばなし | トップページ | 反論ばなし(その21) »

2009年10月 8日 (木)

その次のはなし

un*x でよく利用されるウィンドウシステムに、「X」というのがあります。なぜに「X」か、といいますと、最初にスクリーンに現れるカーソルの形状がXだからで…というのはウソでして、実はこのウィンドウシステムの前身でMIT(だったかな)で開発されたものに、Window System の頭文字をとった、「W」というものがあったのでした。
 そして、その後の Window System なので、alphabetical order に、「X」となったわけです。
 さしずめ、次の Window System の名称は「Y」となるんでしょう。

▽ 似たような命名規則で命名されたソフトウエアはきっと、多いことでしょうが、いま、話題に上ってるソレもまた、

WinMX

の後を狙って、「MX」の次ということで「NY」、つまり

Winny

ということらしいですね。

■ ウィニーの作者に対して、大阪高裁が無罪判決を言い渡したそうです。
 判決文はまだ入手できないようですが、新聞で書き立てられているところをまとめると、控訴審判決は、

  • ウィニーは有用な情報交換ソフトであると同時に、著作権侵害にも使える価値中立なもの
  • 被告人はウィニーを利用した著作権侵害者が出る可能性を認識し、認容していたが、それ以上に違法行為を勧めたとはいえない
  • 幇助犯であるというためには、ウィニーを違法行為の用途のみ、または主要な用途として使用させるように勧めて提供したときというべき

というような趣旨(判決文が手元にありませんので、内容は推測ですあくまで。ちなみに、たぶん、読売のサイトが一番判決文に近いんじゃないかなという認識を持ってます)だったようです。

■ 「著作権」
という語がでてくるので、おっと、ここで採り上げてネタになるかな、と思ったのですが、争点は全然あさってで、要するに幇助犯が成立するかどうかというところに係ってるようなわけです。
 あーあ。ネタになんなかった…
 というだけでもつまんないんで、「弁理士風情が刑法を云々しやがって」と言われそうですが、敢えてちょこっとだけ進んでみます(でも、特許法なんかにも刑事法部分は一応存在するんで、勉強くらいはしたんですよ。これでも)。
 もし、間違ってるよ、というところがあったら教えてください。

■ 幇助犯、というのは「共犯」の一態様で、刑法でいえば、62条1項に規定があります。

□ 刑法第62条1項 正犯を幇助した者は、従犯とする。

というのがそれです。
 「正犯の幇助」というのは正犯が犯罪を実行するとき、その実行を容易ならしめること、というような話です。もっとも、この「実行を容易ならしめる」こと自体が犯罪になる場合(法定された犯罪行為類型の構成要件に該当する場合)は、それ自体が犯罪になってしまいますから、そうでない行為によって、正犯の実行を容易にする、というほどのことと思っておけばいいでしょうか。

■ もっとも、この幇助犯については論点がそれだけでてんこ盛りなわけです。
 例えば、幇助者の故意は、

こうすれば犯罪行為の実行が促進されるだろう、という認識で十分

という説と、

こうすれば犯罪行為が行われてこんなことになるだろう、という認識と、その認容とが必要

という説とがあったりするわけです。そのほかにもいろいろですが、これ以上書くとぼろが出る…いや、もうぼろを出しているかも知れないんで、もっとぼろを出す可能性があるので、ここいらでやめましょう。

■ 今回の winny 問題では不特定多数の利用者に頒布しておいて、

そのうちの誰かはもしかしたら著作権違反をするかも知れないが、仕方ないな、

という程度の認識・認容があった、ということだと思うわけです。それを幇助犯として評価するかどうか。
 そんな難しい問題、ということです。
 そりゃ、明確な基準をくれっていったって、いままで何人も議論してきて出てないんですから、個別事案で判断するしかないんではないでしょか。

■ 法律上の問題点はちょっと置いて、一歩引いて見るならば、「犯罪にも使われるかも知れないが、便利にも使い得る物」ができたときに、それを無防備に(犯罪抑止の手段を特にとることなく)配る行為が犯罪を助長する行為になったかどうか、だと思うわけです。
 こういう観点であれば、個人的には、犯罪の社会的インパクトの程度にもよるとは思いますが、人に直接の危害が加わる等の事情でもない限りは、

当該行為は許容できるんじゃないか

と思います。
 実はなんだか昔の特許のビンゴ事件(東京高裁昭和31年12月15日判決)みたいだな、とか思ってました。ビンゴゲーム自体は公序良俗違反じゃない。異常な使い方をしたら公序良俗違反になったって、そんなことで特許法32条に該当して拒絶するべきじゃない、というような話。
 そういう程度の意味で、私としては今回の判決にはすこしポジティブな印象を持っています。別に原判決があったから、新技術の開発に二の足が踏まれるようになった、とは思いませんけど、よかったですね。
 ※なお、ACCSあたりは今回の判決を「不当」と感じているようです。理解できなくはないですが。別のコピー防止技術を考えたほうが有効なんじゃないですか?

■ あぁ、それから。利用者に使い方をちゃんと指導するなり、利用者の法遵守意識を向上させるとか、まぁ、技術的に防護策を採るでもいいですけど、「異常な使い方」 がされないような対策よりも、「異常な使い方がある」というだけで利便性の高い物や方法が安易に禁止されている昨今、そういう風潮に一つ、刺激になればいいかな、とも思ったりしました。

■ そんななか新たな事件が。

 「Winny」で、かんぽ生命保険契約者1万3千人余りの個人情報流出

おいっ!

|

« 台風むだばなし | トップページ | 反論ばなし(その21) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: その次のはなし:

» 9日間で6.8キロやせるのは簡単です! [9日間で6.8キロやせるスーパーダイエット法!]
ぽっちゃりしている人。 下半身のぜい肉が落ちない人。 産後に体形が変わったまま戻らなくなってしまった人。 むくみやすく、太りやすい人。 流行のダイエットを試して、何度もリバウンドしてしまう人。 私は数え切れないほどの体型の悩みを解決し、 ダイエットを成功させてきたスーパーダイエット法を発見しました!... [続きを読む]

受信: 2009年10月11日 (日) 07時30分

» 生命保険 見直し [生命保険 見直し]
生命保険 見直し [続きを読む]

受信: 2009年11月 5日 (木) 12時29分

« 台風むだばなし | トップページ | 反論ばなし(その21) »