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2009年10月30日 (金)

10月統計値

統計量でウソをつくのは容易なものですが、統計量自体がウソになる場合というのもありまして、要するに母集団が少なすぎる場合は統計量それ自体が怪しくなります。そういうことは分かった上で、今回はちょっとした統計を。

▽ twitter で流している判例情報ですが、裁判所のウェブサイトから採ってますけど、流している情報以外にもいろいろと記録はとってありまして…。

■ 10月度の知財関係の判決は、いまのところ公開されているのは全体で25件。うち、特許が18件、商標が5件、著作権が2件。裁判所別でいえば知財高裁が24件、最高裁が1件。
 重要そうな判決はあまりない月でしたが、地味ながら意味のある判決はいくつか見られました。

■ なお、知財高裁は4部で構成されており、
 第一部には、所長で裁判長の塚原朋一判事ほか、東海林保判事、矢口俊哉判事が所属しています。
 第二部には、中野哲弘裁判長を筆頭に、森義之判事、今井弘晃判事、真辺朋子判事、澁谷勝海判事が所属しています。
 第三部には、飯村敏明裁判長を筆頭に、大須賀滋判事、齊木教朗判事、中平健判事、上田洋幸判事が所属しています。そして、
 第四部には、滝澤孝臣裁判長、髙部眞規子判事、本多知成判事、浅井憲判事、杜下弘記判事が所属しています。

■ 今回作成している統計の興味の一つは、各部で判断の甘辛さに相違があるかどうかです。また、もう少し細かく判断の内容にどういう相違があるかも検討してみたい気もします。今回の場合、まだ1月分の統計値だけですから傾向もなにもないですが、どうでしょうか。

0910301_3 ■ まず、全体統計から。今月は第四部が大活躍で15件、第三部が4件、第二部が3件、第一部が2件となっています。これを次に「権利者に有利」、「権利者に不利」という切り口で見てみましょう。
 例えば特許の審判の場合、拒絶査定不服審判で敗訴なら「権利者に不利」、勝訴なら「権利者に有利」と分類します。すこし複雑なのが無効審判の取消訴訟の場合で、無効でないとの結論があった後の取消訴訟に勝訴すると、「権利者に不利」というような分類になります。
 また侵害訴訟でいえば、侵害が認められた場合などに「権利者有利」という分類になります。一部勝訴などの場合は難しいですが、部分的にでも有利な結論があれば、いちおう「権利者に有利」だったと分類しておきます。こういう分類のついた判決集ってなかなかないんですよね。どっかのビール会社の少し前の宣伝ではありませんが、「ないものは作るしか」ありません。

■ 全体統計の中で、権利者有利の結論となったケースは10件。うちわけによれば、最高裁の1件を除き、知財高裁第四部で7件、第三部と第二部とが1件ずつ。第一部が0件となります。

0910302 0910303

 一方、権利者不利の結論となったケースは15件。うちわけは、知財高裁第四部で8件、第三部で3件、第二部と第一部が2件ずつです。
 なお、特許だけのうちわけでは、権利者有利が3件(すべて知財高裁第四部)。権利者不利は15件
 要するに権利者有利で終わっているケースの7割は特許ではありません。著作権が2件、商標が5件です。

■ 今回の場合、特許に限れば約17%が権利者有利という結論ですから、全体件数が少ない第一部から第三部までに権利者有利の結論がないのはある程度頷けるのですが、それにしても第四部に偏って権利者有利の結論が出ているのは、有意なのか、そうでもないのか。
 それと、内容のほうで、例えば「反論ばなし」に使えそうなネタは、今回はなさそうな感じです。創作容易性に関するもので権利者有利の結論がでているものでも、要するに引用文献の認定誤りという典型的な例ばかりですので。また来月以降も引き続き裁判所の判断を watch してみて、結果が面白くなってきましたら、ご報告致します。

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