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2009年8月28日 (金)

転々の過程のはなし

ここしばらくの間、断続的に遠方への出張が入り込みまして、外出先でのメールチェックの必要性が増してきたので、それを口実に iPhone を契約しました。パケット定額の契約(これが必須)なので、外出先で何度メールを授受しても気にはならないのですが、移動中にメール受信を表すバイブレータの振動があるのは、かなり辟易するべきところかも知れません。

▽ そういえば、明日8月28日には、MacOS X のアップグレード版、通称 Snow Leopard が発売になります。

※ 昨日分の更新です。遅くなってます…済みません。

■ 広く知られているのか、いないのか、よく分かりませんが、誤解を恐れずにやや不正確かと思われる表現のまま書けば、MacOS X は、BSD 系の unix です(unix と書くか UNIX と書くか---商標はたぶん後者ですが、表現上、個人的に小文字が好きなので…)。
 1969 年、AT&T の Ken Thompson が Space Travel で遊ぶために実装したこのOSは、いまや各種の亜種を含む(MacOS X もその一つだ)「unix 系」OS群ができるまでに「成長」しています。
 基本的には主流の System V 系と、カリフォルニア大学の bsd 系とがあると言っていいかと思いますが、MacOS X は、bsd 系に属しています。

■ unix は、
出自が出自だけに、当初はあまり商品として扱われていなかったものの、やがて商品として売れることが認められ、AT&T はライセンスを始めました。その後、AT&T から子会社の USLへ、そしてさらに novell へと転売されることとなります。

■ さらに 1995年、The Santa Cruz Operation, Inc. (以下、The SCO と書きます)は、Novell から unix に関する権利と、UnixWare の業務の譲渡を受けました。後に見る判決文によると、このとき、Novell は、「unix 事業全体」の譲渡をしたいと考えていたようですが、The SCO の方に十分な資力がなく、部分譲渡の形になったようです。
 その後の 2001年、同社の unix に関する権利は、ユタ州にある Caldera Inc.、後の The SCO Group. Inc. に売却されました。
 そして 2003年、この The SCO Group. Inc. は、IBM に対し、IBM が、unix のソースコードを利用して linux を不正に改良したという主張---オープンソース関係者によれば、トチ狂った主張---をして IBM に対する unix に係るライセンス契約を破棄すると言い出しのです。さらに、こともあろうに、SCO は、他の linux 頒布者は個人にまでライセンス料の支払い要求を行ったのです。
 ここに至って SCO は、オープンソース支持者から総スカンを喰らうこととなりました。

■ unix に関わる権利の譲渡経緯はつまり、

AT&T → USL → Novell → The SCO → The SCO Group

という段階を踏んでいるわけです。この転売に次ぐ転売が混乱を招いているわけです。
 例えばUSL に権利があった頃、USL が unix のソースコードについて、開発者が「自由に複製、再配布できる」旨の合意をカリフォルニア大学(当時、ソースコードのことで USL と争っていた)との間で交わしていたことも、2004 年末になって判明したのでした。この合意内容が、その後、当該権利を譲り受けた SCO を拘束するかどうかについては疑念もあると言われましたが、おそらく拘束されるだろう、というのが主勢だったわけで、これで bsd 系については The SCO Group の魔の手(?)は及ばないぞ、というのが当時の反応でした。

■ 一方の System V 系についてはこの合意事項の範囲外ではあるわけですが、The SCO への譲渡が不完全だったことなどが The SCO Group にとっては災いとなり(オープンソース支持者には歓迎すべきこととなり)、2007 年、Novell から SCO への権利譲渡に瑕疵があり、The SCO Group は、unix のソースコードの著作権を有していない、との判決がでたのでした。unix の著作権は Novell にあり、というワケです。これで一応、The SCO Group の IBM に対する主張が根拠のないものとなり、事態は一段落…となったのでした。
 過去の権利者のそれぞれがした合意やら、転売時の事情やらが累積的に影響する事態が生じたということで、転々流通が繰り返されている権利の売買には慎重にならなければいけません。

■ ところが。この8月24日に出た控訴審判決において 2007 年の判決の一部がひっくり返されました(http://www.groklaw.net/pdf/AppealRuling.pdf)。
 結論部分を抜粋して引用しますと、

we AFFIRM the district court’s judgment with regards to the royalties due Novell under the 2003 Sun-SCO Agreement, but REVERSE the district court’s entry of summary judgment on (1) the ownership of the UNIX and UnixWare copyrights; (2) SCO’s claim seeking specific performance; (3) the scope of Novell’s rights under Section 4.16 of the APA; (4) the application of the covenant of good faith and fair dealing to Novell’s rights under Section 4.16 of the APA.  On these issues, we REMAND for trial.

ロイヤリティについては地裁判決どおりだが、UNIX と UnixWare の著作権等についての判断は覆す、ということです。
 まだ判決文全体を読むことができていないのですが、これで IBM に対する訴訟も復活する見込みになったわけで、またいろいろありそうな、当事者にとってはヤレヤレといった感じではないかと思います。

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