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2009年6月 8日 (月)

Alpha のはなし

最初は yahoo しか、なかった気がする。
検索結果が50音順に並ぶものだから、ある時期在籍していた事務所で事務所名変更の議題が上がったとき、

「yahoo で上位にくるには、『あ』から始まる事務所が…」

という意見が出た。

▼ 結局、そのとき既に「あい」という特許事務所があったので、これより前にでるには、

「ああ」特許事務所

とか、

「あ」特許事務所

とか、しかない。
所員の中からは、

「あーあ特許事務所」

という諦めムードな事務所名はどうかという冗談も出たが、結局、yahoo での先頭レースは諦めた。

■ 新しい検索エンジンだという噂だったから、いまさら感はあったものの、使えるものなら使ってみたいと、試用してみた。

Wolfram | alpha

のことである。

■ Wolfram
と聞いて、S. Wolfram と、SMP を思い出す人も多かろうと思う。この検索エンジンは、Mathematica で著名な、Wolfram Research 製である。
 結論からいうと、google のような検索エンジンとはまるで違うものである。目的も、検索結果も。
 alpha では、検索語は前処理される。前処理といってもストップ語を除去するとかそういう簡単な話ではなく、自然言語処理のような処理である。
 前処理された検索語に基づいて、情報収集が行われる。この情報収集は、おそらく、事前に収集されたデータベースを参照して行われるもので、ウェブサイトをめぐるものではないようだ。
 検索結果はデータ形式毎に予め定められているフォーマットに当てはめられ、そして表示、という流れみたいだ。結果は基本的に PDF で保存できる

■ 一例として

weather Tokyo June 8

としてみると、今日の平均気温や、天気、平均湿度、平均風速、昨日から今日にかけての気温変化グラフ、雲量グラフ、降水状況、1945 年頃以来の毎年6月8日の気温変化、その他が表示される。
 1945 年頃以来の毎年6月8日の気温変化というのはまぁまぁ面白い。平年の気温が21度、今日の気温が19度だから、平均よりやや低い程度か。ちなみに最低気温は 1963年の11度、最高が 1987年の31度である。温暖化、とはいわれているが、グラフを見る限り、ここ30年程度のスパンでは大きな変動があるようには見えない。もっともこれは本日のデータだけ見て結論すべきものではあるまい。

■ 化学物質を調べると(英語だけだけど)、化学式のほか、三次元的なモデルが表示されたりする。

 earthquake Tokyo

とすれば、最近の東京近郊での震源と強度とが表示される。
 面白い結果もあるんだが、百科事典的な使い方以外に思いつかない。

■ 多少、面白いと感じられるのは Mathematica じみた使い方ができる点である。
 実際、ちょっとした積分や微分方程式を解かせると、

Computed by: Wolfram Mathematica

という表示がでる。この場合、PDF だけでなく、Mathematica のノートブック形式で保存できる
 試みに、手近にある Calculus のテキストから、簡単な微分方程式、

y'[x] = -x/y[x]

を解かせてみる。結果は図の通り。

09060801

 この結果をちょっといじくると、
x^2 + y^2[x] = 2 C[1]
となり、テキストの解答通りになる。

■ もっとも、この程度のことであれば、近頃は、iPod touch に入れてあるシンボリック・マニピュレータ、SpaceTime 3.0 でもできる。こちらの方で、y[1]=2 という初期条件の下で上記微分方程式を解かせてみれば、

y(x) = Sqrt(-x^2+5) or y(x)= -Sqrt(x^2+5)

と正解が得られる。

iPhone / iPod touch で使えるシンボリック・マニピュレータ、SpaceTime は、こちら:
 SpaceTime - Graphing, Calculator, and Mathematics Software

■ Alpha は、関数プロットにも使えるらしいし、多角形の描画もできるようだ。
 こちらも試みに、球対称ポテンシャルでの Schrödinger Equationを解くときにでてくる Spherical Harmonics Y 関数が描けるかどうかやってみた。この場合、三次元の極座標で方程式を記述しておき、波動関数を、動径方向は Associated Laguerre 、角度方向は Spherical Harmonics Y として、これらの積で表しておき、変数分離するのが一般的な解法である。Spherical Harmonics Y は、高校化学で見るようなS軌道、P軌道…を表しているので、見ていて楽しめると思うわけである。

■ 結果からすると、3次元のプロットは得られなかった。どうも、プロット命令の発行の仕方に問題があるのか、あるいは、3次元のプロットを行わせると、計算がタイムアウトするかのどちらかであるようだ。
 ん? 命令? 発行??
 …やっぱり、これは検索エンジンとは言い難いよぅ。

■ 特許文献はどうかと思って、Patent などの語を入れてみたが、特許出願件数などの統計情報は得られなかった。
 データベースの拡充が今後の課題だと思われるが、個人的には Mathematica 的機能の拡充にも期待したいなぁ。

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コメント

mathematicaで漂着しました ので;
http://www.wolframalpha.com/input/?i=SphericalHarmonicY%5B1%2C+0%2C+%ce%b8%2C+%cf%86%5D&t=ietb01

投稿: . | 2010年3月12日 (金) 11時45分

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