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2009年3月 5日 (木)

方針ばなし

iPod touch にデフォルトで入っている地図アプリケーション(Google Map)では、現在地を表示する機能がある。

▽ iPhone には GPS が入っているらしいが、iPod touch には GPS も入っていないのに、どうやって現在地を確認しているか、というと…

■ wifi network
 外出中に自分の居場所を知る技術としては、

  • GPS(Global Positioning System)衛星からの信号
  • 携帯電話基地局からの信号
  • wifi アクセスポイントの信号

のそれぞれを使うものがある。GPS は言わずと知れた技術で、人工衛星からの時刻信号を比較して現在位置を演算するものだ。携帯電話基地局からの信号を使うというのは、特に CDMA(Code Divisional Multiple Access) で通信を多重化している携帯電話網であれば近隣の複数基地局までのだいたいの距離が得られるから、その情報からおおよその現在位置を演算できるというわけだ。
 wifi アクセスポイントの信号利用型は、最近でてきたものだが、精度としては携帯基地局を使うものと大差ないみたいだ。日本でも、PlaceEngine  などが知られているが(iPod touch にも対応しつつあるようだが)、現在 iPod touch が使っているのは SKYHOOK Wireless というサービスだ。米国の会社なのだが、日本でも一応使える。ただ、そのサービスエリアはそれほど広くない(http://www.skyhookwireless.com/howitworks/coverage.php)。

■ とにかく、iPod touch がインターネットに繋がる環境(要するに internet に出られる無線LAN に繋がるのなら)、都内の多くの場所で現在位置の取得が可能だ。
 でもって、google マップ上にちゃんと現在位置(に近いところ)が表示される。

■ 頭が重くなってしまったが、その google について、

根拠のない訴訟を提起されることを阻止する戦略として、和解ではなく徹底的に戦うことで攻勢をかけ始めている。

というニュースがフジサンケイのビジネスアイというところに出ていた。ブルームバーグの記事の翻訳らしい。
 特許の侵害訴訟当事者になった場合、攻めに出るか、和解の方向へ持ち込む方向へ出るか、大まかにいって二つの選択肢があるわけだが、google としてはもともと和解方向の方針を採用していたところ、ここ数年で戦う方針へ方向転換をした、というニュースである。

■ むろん、それぞれに得失はあって、必ずしもどちらが妥当だというものではない。
 事案ごとの事情に応じると考えるべきだと思うが、基本的なスタンスとしてどちらかを明確に定めているというよりは、記事の内容からすると、全件に対して強攻策を採用することにしているかの書きぶりで、各所の弁護士が「攻撃的な戦略はリスクが高い」とか、「いや奏功している」とか、いろいろコメントしている。
 そんなコメントの一つが、これ。

「ソフトウエア特許関連の申し立てには疑いの余地があるものが多く、特許訴訟で争うという戦略にも一理ある。だが一切の和解を避けるという方法には危険性も伴う」(米ワシントンのジェームズ・ウォリス弁護士)

「ソフトウエア特許関連の申し立てには疑いの余地があるものが多く…」って。

■ どういう意味だろう。ソフトウエア関係は特許性に問題があるものが多いといいたいのか、それともソフトウエア関連企業は訴訟対応に問題があるといいたいのか。
 一時期は取れた権利を拡大解釈して、

基本特許が取れました!

みたいなIT企業もあったが(「ビジネスモデル」とかいうのが一人歩きしてたころ)、米国版それっぽい話があるってことだろうか。
 参考になるか分からないが、いつぞや、Skyline Software Systems Inc. が、Keyhole Inc.(後に google が買収し、この会社の技術を使って google earth などのサービスを開始)を訴えた(そして負けた)ときのクレイムを見てみよう。

 1. A method of providing data blocks describing three-dimensional terrain to a renderer, the data blocks belonging to a hierarchical structure which includes blocks at a plurality of different resolution levels, the method comprising:
receiving from the renderer one or more coordinates in the terrain along with indication of a respective resolution level;
providing the renderer with a first data block which includes data corresponding to the one or more coordinates, from a local memory;
downloading from a remote server one or more additional data blocks at a resolution level higher than the resolution level of the first block which include data corresponding to the one or more coordinates if the provided block from the local memory is not at the indicated resolution level.

解像度の違う画像情報を蓄積しておいて、粗いものから細かいものへと順に転送することで、先に概略の画像を与えて徐々に精細にする、という話だ。いわゆるプログレッシブ JPEG みたいなやつ。ありそうな話なので、無効主張が奏功したのかな(google 側は無効主張もしているようだ)、と思ってみると、さにあらず、地裁では renderer に相当する構成が明らかでないという点や、「one or more coordinates in the terrain along with indication of a respective resolution level」の構成を google earth が充足しているかについて論じてる。
 構成対比の主張がうまくいっていないんだろうか。

■ ソフトウエア関連の発明の場合、その特許性もさることながら、顕現性(侵害していることが少なくとも外見上推認されること)の充足も難しい。被告製品が、その中で何をしているんだかわからないブラックボックスであることが多いからだ。リバースエンジニアリングといっても、ガードの堅いものも多い。
 その点、この Skyline 社のクレイムは、各構成の間でのデータの授受を基本にクレイムしていて、一応の顕現性はありそうだ。その割には構成要素の充足性がうまく主張できなかったらしいのは、例えば renderer みたいな抽象的な構成が問題だったんだろうか。あるいは、renderer を利用者のクライアントに対比させておいたとき、そこから「one or more coordinates in the terrain along with indication of a respective resolution level」を receive するという構成に対応するものがなかったんだろうか。

■ 技術の捉え方を誤って、妙な構成がクレイムに含まれてしまい、当該構成の充足性が主張できずに「負けました」というのならばともかく、発明が違うのに攻めに行って負け、「オマエがここまで考えてクレイムしておれば負けなかったものを」と言われるのはツライものがある。本件がそうだったかどうか、調べていけばわかりそうだが。
 いや、それはそれとして、そんなに大差で勝ってないみたいじゃん> google。やっぱり時には柔軟な対応も求められてるんじゃないのかなぁ(なんか中途半端になっちゃった…)。

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コメント

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投稿: STEINALISA34 | 2012年7月25日 (水) 17時51分

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