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2009年2月27日 (金)

[弁理士試験]用語使い(8)

今日(金曜日)の夕方ごろのことです。警視庁のメールサービスで、「不審者情報」というのが届きました。どこかで、「小学生が写真に撮られた」というのです。

えー、それってただ風景として撮ってたとかじゃないのか

と思っておりましたら、後から訂正情報が。

先ほどの不審者の件は、不審者でないことが明らかとなりました

▽ 撮られた方としてみれば、こんなご時世なんで疑いたくなるんでしょうし、趣味で写真でもやっている人からすれば、なんだか風景も撮りにくくなったなぁ、というような感じなんでしょか。

■ さて、お題を頂戴しておりまして。「移転」と「承継」というお話です(sat さま、ありがとうございます)。
 とっかかりとして、広辞苑を引いてみます。

「移転」(3)
権利や財産が一方から他方へうつること。また、うつすこと。

で、一方の承継ですが、

「承継」(2)
〔法〕権利または義務をそのまま引き継ぐこと。

「移転」の方は、〔法〕マークがありませんから、法律用語ではないのですが、承継の方は広辞苑が説明しているのは、まんま法律用語です。

■ 所有権の取得の方法としては、一般に承継取得と原始取得の二種類がありますが、原始取得というのは民法上ではあまり数がなく、239条から247条あたりまでにその原因が4つばかり挙げられているだけです。特許法でいえば、発明者は発明完成と同時に「特許を受ける権利」を原始取得する、という話になりますが、これは裏返せば当該「特許を受ける権利」を、誰かから移転され、承継取得したものではないことを意味しているわけです。
 さて、一方の承継取得ですが、これは誰かから所有権を移転された、ということになります。

■ で、お題でいただいていた特許法の33条1項の

特許を受ける権利は、移転することができる。

の移転と、同34条1項等の、

特許を受ける権利の承継

とは、『「移転」により「承継」された』という関係で、一つの事象を、見る角度を変えて見てみた、という感じかな、と思います。当事者間で「移転」が行われることで、もらい受ける側が「承継」取得する、という関係ってことですかね。

■ ちなみに。話は変わりますが特許法には「一般承継」という言葉は出てくるんですが、これのツイになる概念である「特定承継」という語がでてきません。
 特定承継というのは、権利や義務のうち特定された部分を承継することをいいます。一般的な売買なんかはそれで、持ち物のうち特定のモノを売ることができる、というような話です。
 一方、一般承継というのはそれに対する概念で権利や義務の一切を、包括的に承継します。一般承継を別の言い方で「包括承継」とも言いますが、そういう意味です。一般承継の代表例は相続ですが、相続では、

遺産は貰うが、借金は知らネェ

ということはできず、財産も債務も含めて一切合切まとめて相続するか、しないか、という話になるわけです。こういう意味で「包括的」。で、こういう包括的な承継の形態を一般承継、という言い方をするわけです。
 あ、それで特許法上、「相続その他の」と書いてあって、代表例が相続だとここで書いたら、一般承継には他にどんなものがあるんだ、という話になりそうですね。
 もしご存じなければ想像してみてください。自然人が相続、という話になるのなら、法人はどうでしょうか。
 ハイ。法人の場合、合併や会社分割(吸収合併、新設合併、吸収分割、新設分割(会社法2条27号から30号))が相当するんです。こんなのが、「一般承継」です。

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コメント

蛇足ながら。

> 原始取得というのは民法上ではあまり数がなく、239条から247条あたりまでにその原因が4つばかり挙げられているだけです。

もっとメジャーどころで、時効取得と即時取得をお忘れですよ。

あと、手元の有斐閣法律用語辞典によると、承継取得には移転的承継(売買、相続等)と設定的承継(所有者から抵当権や地上権の設定を受ける場合等)があるそうです。とすると、こと権利の取得に関する限り、移転より承継の方が広い概念と言えそうです。まあ、少なくとも特許法34条で後者の意味の承継が問題になるとは思えないので、ここではご指摘のとおり、単に視点の問題で使い分けられているんだろうとは思いますが。

投稿: Kaz | 2009年3月 1日 (日) 18時50分

Kaz さん、コメント有り難う。

書き始めるとキリがないので…と思ったのですが。そうね。時効取得の方がメジャーで重要ですかね。内田先生の民法でも時効取得が説明された後で、「その他の」として上記4つが挙げられますからねぇ。
承継取得の種類分けについては、そう分けるのが通説なんでしょか。設定的であっても移転の効果を得るために設定する話のような気もするのですが。

投稿: ntakei | 2009年3月 3日 (火) 17時55分

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