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2009年2月18日 (水)

カイロばなし

三寒四温とはよくも言ったもので、数日暖かだったなとおもったら昨日、今日の東京都内は凍えるような寒さだった。しかしながら厚いコートにマフラーで混雑した列車に乗っていると、車内の熱気で発汗し、これがまた駅で降りたときに体を冷やす方向に働くので困る。

▽ 例年、あまりに寒いときには使い捨てのカイロを使ってきたが、今年の冬は何だか懐かしくて白金触媒のカイロを手に入れて使っている。といっても、それこそ昔懐かしい「ハクキンカイロ」ではなく、米国のライターのメーカー、Zippo のハンディウオーマーという洒落た名称の品物である。

■ 構成も外観も大した相違はないのだが、Zippo 製のメリットは、準正の燃料がコンビニでも手に入ることにある(若干割高ではあるのだが)。一方、ハクキンカイロ用のベンジン(ベンゼン)は我が家の近くのコンビニには置いてないので、

「いざというときに、困るかもだ」

と考えて、わざわざ Zippo 製にしたわけだ。

■ 触媒というのは、所望の化学反応を行わせるために化学反応の場に置くもので、しかしながらそれ自体は化学反応の前後で何らの化学的変化を起こさないようなものをいう。今回の Zippo 製カイロの場合、燃料は合成イソパラフィン(炭化水素)で、これを白金触媒の下で酸化させる。この酸化の際に発生する熱がカイロとして役に立つわけだ。この触媒の作用っていうのはよくわかってないんだと思っていたが、実際にはプラチナ触媒の周りでラジカルができてるみたいだ。
 ちなみに以前かも書いたかも知れないんだけど、使い捨てカイロの場合は鉄粉の酸化熱を使う。大ざっぱには、鉄粉に、触媒となる木炭と塩水とを加えると発熱が始まる。この場合、木炭の周りでラジカルができるとは思いにくいんだが、作用機序が異なるんだろうか。

■ Zippo のカイロは、説明書によると付属の計量カップに燃料2杯分で24時間発熱するというが、実際に使っている感じとしてはカップ1杯分で20時間くらい発熱しているような気がする。発熱温度はかなり高い。カイロに付属のフリース袋に入れておかなければ熱くてかなわない。
 私は普段、これをベルトクリップで腰のあたりに固定している。ズボンの外側から温めている形になるが、これで十分暖かい。
 ハクキンカイロの場合、電池で点火するようだが(現実に火がつくわけではないが、反応が始まることを「点火」と言っている)、Zippo は、ライターで火口を炙って点火する方式だ。やり方さえ間違わなければたぶん電池でも点火できるんじゃないかとも思うので、そのうち試してみようか。
 まぁ、Zippo が火で炙る方式なのは、やっぱり同社がライターのメーカーだということと関係があるのかなぁ。

■ なお私はそもそも喫煙をしないので、Zippo 製品には縁がない。で今回、ちょっとばかり調べてみたら、Zippo のライターには、次のような誕生秘話(?)があるのだった。

開発者の名前はジョージ・グランド・ブレイズデル。パーティー会場で友人がオーストリア製の扱いづらいオイルライターを使っているのを見たのがきっかけだった。ブレイズデルのひやかしに、友人が「Is Works(火がつけばいいんだ)」と返した。その言葉に、ブレイズデルは強い衝撃を受ける。そして「安いうえに性能がよく、丈夫で長持ちするライターは商売になる」と考え、すぐさまライター会社の独占販売権を獲得する。(Zippo社のウェブサイトより)

ブレイズデル氏の「使いやすいライター」は、米国特許にUSP 2,032,695 として登録されている。そのクレイムは次のようになっている。

A pocket lighter comprising a hollow member having closed bottom and an open top,
a second hollow member telescoped therein, and having an open bottom,
a plate permanently closing the top of the inner member whereby a reservoir for inflammable fuel is formed,
the side walls of the inner member projecting above said plate and being formed to provide a wind screen and front and rear pairs of lugs,
a cover disposed over the top of said telescoping members and hinged at its rear wall to the outer of said members, a cross member secured in the cover transversely thereof adjacent said rear wall,
a lever pivotally mounted at one end between said rear pair of lugs with its opposite end projecting up between said rear wall and cross member and engaging the latter,
a spring biased plunger slidably disposed in said top plate for biasing the lever against the cross member, whereby movement of the cover from its closed position is restrained, and a flint-engaging toothed wheel pivotally mounted between said front pair of lugs,
the lighter being free of external latch-manipilating means.

ジッポーライターの構造をほとんどそのまま述べたピクトリカルなクレイムだが、最後の一行が発明者の本当に言いたいことなんだろう。

the lighter being free of external latch-manipilating means.
(外部のラッチ操作手段がないライター)

ラッチが外側に露出していると、服に引っかかって取れなかったり、汚れたり…というような例を先行例の課題にしているようなのだ。お友達のライターはその種のものだったのだろう。で、この発明ではラッチ部が収納されているというわけなのだが、それにしてはクレイムがずいぶんとくどい。

■ 今となってはこの特許権も切れているし、類似品も多い Zippo ライターだが、あの蓋の開閉時の音は独特なんじゃないだろうか。音響的な商標とか導入されるみたいだし、なんかそういう方向で保護とかできないのかなぁ。まぁ開閉音だと、ちょっと商標的態様というのとも違うかなぁ。
 えーと、何の話? あ、そうか。カイロの話だったんだ。
 暖かいですよ、Zippo の白金触媒カイロ(って要するに今回はこれだけ)。

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