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2009年1月 7日 (水)

わからん記事 ばなし

なんだか、情報セキュリティの専門家である、情報処理推進機構の職員が、私物のパーソナルコンピュータから情報を流出させたとかいうので話題になっている。基本的に、機構が機密扱いにしていた情報の流出はなかったようだが(プレス発表による)、それにしてもファイル交換ソフトというのは、怖いものである。

▽ さて、三極特許庁による共通様式の採用というニュースの熱も冷めやらぬ昨今、早くも次なる法改正のニュースが一昨日の日経のサイトに出ていた。

■ 件の日経の記事によると、特許法を大幅見直しするという話で、

「モノ」が対象だった特許の保護対象にソフトウエアなどの無形資産を追加

するのだそうで、今年は特許庁内の私的研究会で検討、来年は産業構造審議会で審議し、11年の通常国会に改正案か新法(!)を提出して、12年の施行をめざすらしい(記事より)。
 ん??

■ 現状の特許権
の対象は、実施に関する規定ぶりからすると、次のようになっている。

  • 物(プログラム等を含む)
  • 方法
  • 物の製造方法

「方法」というのは、「物の製造方法」以外を指したもので、区別のために「単純方法」などと言ったりする。
 そしてプログラムの実施行為としては、電気通信回線を通じた提供を含む、という話になっているので(特許法2条3項1号)、「モノ」が対象だった特許の保護対象にソフトウエアなどの無形資産を追加すると言われても、あまりピンとこないのだが。
 そもそも特許の対象である発明というのからして、「技術思想の創作」だから、有形な資産とは言い難いと思うんだけどねぇ。

■ この記事だけでは、何を言いたいのか分からなかったので、各所のネタをあたってみた。
 産業構造審議会のページでは、当然のことながら(だって、この記事からして来年の審議と書いているからねぇ)この「新法」に関するネタは見あたらなかった。現状動いているのは、どうやら商標の保護対象の拡大と、不正競争におけるノウハウ等の保護の話らしい。後者がいくらか、アイディアやノウハウの具体的保護を謳っている点で共通した性格があるような気もするが、直接の関係はないだろう。

■ そのほかとしては日経のこの記事を受けて、どこかのサイトで、

「オープンソース団体の関係者も審議に参加させろ」

というようなことが書かれているものはあった。
 ソフトウエア特許に対して反対を唱えたいというのだろうが、具体的に産業製品のほとんどがソフトウエアで動作している昨今、ソフトウエアに関して何らの特許的保護を与えないというのは時代錯誤的だし、一方で、埋め込み型ならばいいかというと、実装形態や運搬の形態(ディスクに格納した状態で装置のところへ持って行って装置へダウンロードするなど)も様々だから、オープンソース団体が対象にしているようなソフトウエアと、そうでないものとを外形的に区別することはかなり難しかろう。といって、中身に踏み込めば明確に線引きできるかというとそうでもないのである。ま、この話は長くなりがちなので、ここではこれ以上は踏み込まない。

■ 話を戻して、この件に関する別の記事は、韓国系の「中央日報」という新聞社のサイトにあったもので、それによると、

コンピュータソフトウエア構築に必要な専門知識を特許の対象に含むことにした

という。ははん。なにかもっと抽象的な段階から(アイディア的なレベルから)特許を付与しようという話なのかなぁ。
 仮にそうだとすると、

発明の概念を拡張して、技術思想の創作に限らず、単なるアイディアをも含めることとした、

という意味なんだろうか。
 いずれにしろ、公式のサイト(特許庁など)からは情報を確認できなかったので、迂闊なことは言えないが、特許権保護の対象を拡張しようという方向であるのは確かな模様だ。
 やれやれ、これでまた、いつかのビジネス・メソッド・ブームみたいなのが起きるのだろうか。それはわからないが、一つ言えることはこうだ。今は09年。特許庁が目指すという施行時期が12年。その差は3年だ。
 いま、出願して審査を請求しても、登録されるまでに約2年ほどを要すること、また審査請求期間が3年であることなどを考えると、現在出願している内容と、新法施行後の新しい保護対象による権利とは十分競合することになる。さぁ、これをどのように考えるか。とにかく保護対象の範囲についてだけでも、早めに内容を明確にして欲しいなぁ、と思ったりする。

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コメント

竹居先生、はじめまして。 受験生の、おっとせいと申します。
この記事、ちょっと気になってたので、ここまで調べてくださって、
とてもうれしいです。

実は、この正月に、このブログの記事で勉強させていただきました。
特許法案内(23講)、吉藤を読む(34講+2)、
商標法案内(15講)、条約案内(17講)、
論文作成術、論文作成法、
論文作成キーワード法、論文の理由づけ
などなど読ませていただき、とても勉強になりました。
まだまだ身についたと言えるまで遠いので、
繰り返し読ませていただきます。

また、[弁理士試験]以外の記事も、
分かれ ばなしとか、分かれない話とか、分けるにも頭を使うはなしとか、
立体的な商標とか、具体的なイメージをもつことができ、
知識がアタマになじんだ感じになりました。

今年も楽しみにしています。
よろしくお願いいたします。

投稿: おっとせい | 2009年1月 9日 (金) 01時14分

おっとせい様

コメントありがとうございます。

受験時代から数年経過してしまっておりますと、
「いい加減、試験関係の話を書くのはやめたら」
というご意見も(特に身近な方々より)頂くことがあります。

ところが、最近になって、私の古い友達が弁理士試験を受験したい、という話を聞き、近頃の試験関係の記事は、初学者である彼に話しかけるようなつもりで、書いてみています。
そういう意味では、近頃はあまり、かみしめ甲斐のある話(濃い話題)を書いているとは思えませんが、ご要望やご意見がございましたら、お聞かせ頂ければ、できるだけ反映していきたいと思います。

投稿: ntakei | 2009年1月10日 (土) 03時23分

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