« ペース配分ばなし | トップページ | シャネル事件 »

2009年1月20日 (火)

乱読日記[114]

マーティン・ガードナー,「ルイス・キャロル 遊びの宇宙」

ルイス・キャロル 遊びの宇宙
マーティン ガードナー
白揚社
売り上げランキング: 259926

ルイス・キャロル研究本の一冊。
数学的な話題から、言葉のパズル、種々のゲームに至るまで、まるで博物館の展示物のように、点々と収録してある。いささか断片的にすぎると感じられる部分もあるが、これはまさしく「宇宙。」

▽ もっとも、翻訳のほうでいうと、いつぞやの乱読日記(乱読日記[59])でご紹介した、「不思議の国の論理学」の翻訳の方がいい。例えば、

    Dreaming of apples on a wall,
    And dreaming often, dear,
    I dreamed that, if I counted all,
    --- How many would appear?

という詩の訳などは、「不思議の国の−」の柳瀬氏の翻訳の方が、見事である。

■ ルイス・キャロルに倣って、ひとつ、言葉遊びを考えてみよう。いわば、「ダブレット日本語版」だ。
 ダブレットとは、ルイス・キャロルが、

1877年のクリスマスの日に、「何もすることがなかった」2人の女の子のために考え出した(本書P.99)

ゲームである。どうも、このルイス・キャロルという人は、小さい女の子好きだったようで、いまでいう、なんとかコンプレックスだったのだろうかと疑いたくもなるが、そういう話は、この記事の射程を超えるので、控える。

■ とにかく
ダブレットのことである。
 ダブレットとは、と、ある規則に従って、ある単語を別の単語に変換する遊びである。
 ここで規則は、

  • 一回につき、単語の中の一文字を異なる一文字に変えること
  • 文字を変えた後の単語も、ちゃんと意味をもつ単語となっていること

というものだ。ゲームのゴールはなるべく短手数で「変換」を完了させることである。本書にある例でいえば、例えば APE(猿)を MAN(人)に変換するのに、

APE
ARE
ERE(…の前に、という意味の単語)
ERR(エラー(ERROR)のこと)
EAR
MAR(台無しにする、という意味の単語)
MAN

とすることもできる。が、より短手数では、

APE
APT(…しがちな、という意味の単語。be apt to... とかいう成句を受験英語で覚えた人もいるのでは?)
OPT(選ぶ、という意味の単語。option のことかな)
OAT
MAT
MAN

というのがある(本書のP.102参照)。
 前者が6手であるのに対して、後者は5手なので、「後者の勝ち」というワケになる。
 何人もで一斉に競って、より短手数の変換手順を得た者が勝ち、というのが一番簡単なルールだ(ほかにも採点規則や、変換規則の変形例があるが、ここでは一番簡単な例だけを紹介する)。

■ で。(たぶんもう誰かがやっている気はするが)この日本語版、というのを考えてみたい。
 簡単には、ひらがなで表記した単語を、別のひらがな表記の単語に変換する、というものだろう。たとえば、
「ほん」を「よむ」に変換するにあたり、

ほん
よん
よむ

という具合(これじゃぁ、あまりに簡単かな)。
 ただし日本語の場合、やってみると意外に難しい場合があることに気がついた。例えば濁・半濁点や拗音などがあると、単語の選択幅が狭すぎる場合があるのだ。一例として、「てぜま」を「いてん」に変えることを考えると、「てぜま」からの第1手で、真ん中の「ぜ」を変換しないと、「Xぜま」や、「てぜY」という単語がみつけにくいのだ。かといって、「てZま」という単語も見つけにくい(あ、「てんま」というのはあるか?)。同じように、「やきゅう」を、「さっかー」に変えたいときに、ちいさい「ゆ」がネックになって、変換に著しい制限がついてしまう。
 というわけなので、

  • 濁点・半濁点は自由に追加、除去できる
  • 拗音となるちいさい「ゆ」や「よ」等は、大きい文字として使ってもよい。

というルールを追加したい。これならば、「てぜま」は、「てせま」でもよいことになって、

てせま
いせま(伊勢間)
いせき
かせき
かじき
かじん
いじん
いてん

のような変換が可能になる。
 さらに、

  • 変換とともに、または変換に代えて文字順の入れ替えを許可する

ことにすると、かなり楽になる。ただ、入れ替えを可能にすると、あんまり簡単になってしまうので、

通常変換(文字の1字入れ替え)を1点、
順番の入れ替えを5点

として、最終的に点数の少ない方が勝ち、というルールとでもするほうがいいかも知れない。

■ いかがだろう。こんなゲームは。これで目についたものを変換することを考えてみると、意外に難しい。では、例題をば。

[例題1]
  「とけい」→「じかん」
[例題2]
  「あるかり」→「さんせい」
[例題3]
  「あめふり」→「かいせい」

[例題1の解答例]
とけい
とかい
じかい
じかん :計3点

[例題2の解答例]
あるかり
あかるい(変換+順番入れ替え):1点+5点
かんるい(変換+順番入れ替え):1点+5点
さんるい(「三塁」、変換):1点
さんせい(変換):1点
 合計13点

[例題3の解答例]
あめふり
あめりか(変換+順番入れ替え):1点+5点
あかいめ(赤い目、変換+順番入れ替え):1点+5点
かいめん(海面、変換+順番入れ替え):1点+5点
かいせん(改選、変換):1点
かいせい(変換):1点
 合計20点

■ いや、私別に暇じゃないですよ?
 仕事は募集中(営業中)だけれども。

|

« ペース配分ばなし | トップページ | シャネル事件 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 乱読日記[114]:

« ペース配分ばなし | トップページ | シャネル事件 »