バイバイ ばなし
全国的にクリスマスである。ある意味では誰もが Gift を受け取る日々とも言える。
例の、ブッシュ大統領を攻撃した靴と同じ型の靴の注文が殺到しているそうである。メーカーはトルコだったそうで、思わぬ Gift であろうか。あ、いや、トルコは基本的にイスラムだったか…。
▽ 件のメーカーは、この靴に
「バイバイ・ブッシュ」
という商標を付すことにしたそうで、登録手続も進めているとか、そんな話らしい。
すごい商標だけど、日本だと登録されるかなぁ(4条1項7号あたりがキツそうだが…)。
■ 先頃、拒絶理由対応を経て、めでたく登録された商標の登録権利者から、問い合わせが来た。
登録を示すマーク(?)みたいなものって、どう書くか決められているのか
という話である。
■ 商標登録表示の問題であれば、実をいうと、商標法に規定がある。
□ 73 条 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は、経済産業省令で定めるところにより、指定商品若しくは指定商品の包装若しくは指定役務の提供の用に供する物に登録商標を付するとき、又は指定役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該指定役務の提供に係る物に登録商標を付するときは、その商標にその商標が登録商標である旨の表示(以下「商標登録表示」という。)を付するように努めなければならない。
「経済産業省令」で定めるところ、というのは、商標法施行規則なんかに規定がありますよ、という意味で、実際、
□ 商標法施行規則17条 商標法第七十三条 の商標登録表示は、「登録商標」の文字及びその登録番号又は国際登録の番号とする。
と、規定されている。これらの規定からすると、登録商標にはそれぞれ、
「登録商標第XXXXXXX号」
なる表示を付すことになる。
■ 尤も、73条にあるように「努めなければならない」だから、
努力義務
なんであって、必ずしも表示を要するわけではない。ただ、表示をしておけば、他社が同一の商標を使用することへの牽制効果は期待できる。まぁ、法律としても、無益な争いを避ける意味からも、牽制しておきなさい、という趣旨が入っているとも言える。
■ といって、周りにある製品を見回してみても、あまりでかでかと、「登録商標第XXXXXX号」という表示があるものは少ない。わずかに、老舗の菓子屋の商標にでかでかと表示があるのが見られるくらいだ。
今回のお客さんの場合、周到にデザインされたパッケージの上にある商標に付けるというので、
「注意書きみたいなところに登録商標第何号、とか書く手はありますけど…」
と前置きしてみると、向こうから、
「よく、あの、Rマークってついてますよね」
と来た。登録商標の脇に小さく表示されたマル囲みの「R」字である。「Rマーク」、「丸アール」、いろんな表現をされるが、あれは
Registered Trademark
の略号である、と言われる。
一方で、TM というのは、単に
Trademark
の略称で、あまり見かけないが、SM というのが、
Service Mark
の略称である。後者は、日本の場合、役務(サービス)に係る商標に相当する。
■ 商標法等からすると、あの「マル・アール」には商標登録表示としての意味合いはないことになるが、登録されていることを示す牽制効果だけは期待できなくもないだろう。
なお、登録もされていない商標に、「マル・アール」をくっつけると、「登録商標以外の商標の使用をする場合において、その商標に商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為」の「紛らわしい表示」(74条1号)と認定される可能性が否定できない。そうと認定されると、一応、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(80条)という話になっている。
ところで一方の、TM (や SM) は、単に Trade Mark(商標)というだけの話なので、登録されていることは表されていないように感じられ、そうすると、
「登録されていない商標にも TM とか付けていいんですかね。」
という話が聞かれたりする。
こちらとしては、
「うーん…紛らわしくないですかねぇ…」
と答えに窮する。できれば少なくとも自分のお客様にはやめておいて頂きたい行為である。
さらに変わった誤解として、
「出願したら TM って付けてもいいんですかね」
というものがある。この場合、出願によって何かが変わるわけではない。いいえ。登録されるまでお待ちください、と言いたいわけである。
■ さて、件の「バイバイ・ブッシュ」の商標登録を紹介した新聞社の記事からすると、既に登録されているかのような書きぶりだったが、トルコだからか?? そんなに迅速に登録されるものなのか?? 出願と間違ってやいないだろうか。
相変わらず、この手の新聞記事はよく分からない。
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