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2008年11月 6日 (木)

弁理士登録ばなし

電車中でふと目をあげたら、週刊誌の広告で、
「10年後には司法書士という資格がなくなる」
とかいう見出しが目に入った。まぁ、司法人口増で弁護士があぶれる時代だから、こんな話も信憑性を帯びてくるんだろうけど、いくらなんでも、弁護士が細かいサービスまで含めて全部執り行うというものではないわけで、適切な線引きで棲み分けができていくのが自然な展開だろう、とは思う。

▽ 翻って、私ら弁理士の業界はどうかというと、さすがに明細書作成などの手続部分では、弁護士さんといえども、そう簡単ではありませんよ、と、そう言えるだけの専門性の向上が欠かせないことになってきていると感じる。まぁ、そういう「感じ」が継続研修という形になっているんだろうとは思う。
 というような状況下、今年の最終合格者が発表になった。受験志願者数は昨年比1.1%増に対し、合格者数は前年比0.9%減、合格率は約6%ということになったようだ。これで合格者数は3年連続の減となって、久しぶりに600人を切った。
 ま、何はともあれ、

合格された方は、おめでとうございます。

■ 期限
 さて、昨年までは合格したら、即、弁理士登録をすることができた。
 おっと。確認までに申し上げておくと、弁理士試験への合格は、日本弁理士会への登録資格の獲得要件である。弁理士として業務を行うためには、日本弁理士会への登録を行わなければならない。
 で、今年からは、合格したら即、登録可能となるわけではなくなった。登録前の実務研修が必須となったためである。
 そしてその受講申し込みは、この11月28日に締め切りになる。申し込み方法は配達証明郵便にて送る一手なのだが、要注意ポイントが一つ。

 到達主義なんである。

 発信主義は適用されない。言い換えれば、「当日消印有効」ではない。「当日必着」である。

■ 料金
 そして受講料は 118,000 円であるという。実務研修の修了後(来年3月末ごろ)に配布される登録書類を見ないとはっきりしたことは言えないが、たぶん、この他に登録料、登録免許税その他約17,8万円がかかるのではないかと思うので、初期費用負担はかなり増大したんじゃないかなぁ。それとも過去にあった新人研修の費用が前倒しで請求されるようになっただけかなぁ(それにしても以前より高額だと思うけど)。
 あ、なお、一部研修は e-learning なので、仮に Windows PC をお持ちでないならば、どこかからか調達しなければならない。日本弁理士会も、「e-learning 受講端末」とかそんなものを置いたらいいように思うのに(もう、あったりして。私が知らないだけで)。

■ 免除等
 そうそう。課程の一部免除の条件もあるので、書類を確認していただきたい(http://www.jpaa.or.jp/goukakuinfo/jitsumushushu/oshirase.pdf)。

■ 指定社員制度
 ここで話はまったく変わるが、先日、日本弁理士会からきた資料の中に、「指定社員制度の解説」というものがあった。士業法人である特許業務法人は、社員がすべて無限責任を負う、いわば準・合名会社ということになっている。
 欧米では、パートナー全員が無限責任を負うことによるリスク(パートナーの一人がドジをしたときに全員が無限責任をひっかぶるリスク)を軽減するためか、LLP(Limited Liability Partnership)が広く採用されている。日本でも、「日本版LLP」というものがあるのだが、士業法人はこのLLPにすることができない。

 すこし話がずれてきたが、日本ではパートナーか、あるいは使用人がドジを踏んだ場合に、出資額の範囲でカバーできない損害賠償責任が生じると、不足分は無限責任社員である「法人の社員」が、連帯して無限責任を負うことになっている。
 この制度は、債権者保護の観点からは高く評価できるわけであるが、パートナーに参加しようとする側からすると、例えば他所の事業拠点で活動しているパートナーのドジまで面倒はみたくないわけだし、あるいは、業務の範囲が違う(特許と商標とか、同じ特許でも技術分野が全く違う)パートナーの仕事がちゃんとしているかなんか分かるわけがないというわけで、パートナーへの参加には多少の躊躇があったわけだ。

 これに対して、仕事の範囲を区分して、

この仕事はあんたがやるんだよ

というように「指定社員」を指定することで、当該範囲の仕事に関しては、指定社員だけが無限責任を負うようにできるようになったというわけである。誤解を恐れずにいえば、仕事の内容別に合資会社ができたようなものかなぁ。

■ そして指定社員は、たとえ法人を退職した後も、在職中に指定社員としてした仕事については無限責任を負うということなので、事業承継があったような場合に責任が明確になってよい、という考え方はあるかもしれない。
 さぁ、これによって特許業務法人が魅力的な制度になるかどうか。

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コメント

以前コメントしましたものです。合格しておりました。
いつも勉強にさせていただいておりました。
本当にありがとうございます。

某祝賀会では、祝辞で、弁理士は多すぎるし、出願は減るしで、
この業界大変です!と話して(怒鳴って?)ました。
会長の選挙の争点もそうですが、業界も大きく変動する時期に
来ているのだなあと思いながら、酒を飲んでおりました。

今後もブログ楽しみに読ませていただきます。失礼いたします。

投稿: yos | 2008年11月 8日 (土) 23時12分

yos 様

コメントありがとうございます。そして、最終合格おめでとうございます。

祝辞は大概暗いモノが多いですが、あれは何とかならないんでしょうか

何もあの場でいきなり言わなくても、研修とかでやりゃいいのに、「祝辞」なのに、と思うのですが。

投稿: ntakei | 2008年11月10日 (月) 00時41分

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