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2008年11月14日 (金)

[弁理士試験]吉藤を読む(32)

なんでも首相が日中の交流を「はんざつ」だと述べたらしいと話題になっていました。外交問題か?と思いましたら、そうではなく、タネをあかせば「頻繁」を「はんざつ」と誤読したということらしく、ツイ本音がでた、という話ではないようです。

▽ それにしても、この首相、過去にも、「有無」を「ゆうむ」、「措置」を「しょち」、「踏襲」を「ふしゅう」、「詳細」を「ようさい」など、誤読多数。それ以外にも、時価会計の話題にからんで、「株を満期まで持つ」という不思議な発言もあったらしく、一気に

「大丈夫か論」

が浮上してきた感じです。

■ さて今回からは、吉藤先生の「特許法概説」より、出願の「変更」、そして「分割」の部分を読んでいきたいと思います。
 まずは出願の変更です。出願変更については、「その定義は?」と問われたら、ちゃんと答えられますでしょうか。吉藤先生の本から定義を拾いますと、

出願の変更とは、出願の日時をそのままにしてもとの出願形式を他の出願形式に変更することをいう。

と、このようになります。
 吉藤先生の本は特許法に関する本ですから、この本で紹介される出願の変更は、主に

 特許出願と実用新案登録出願との間
 特許出願と意匠登録出願との間

になります。
 特許法にいう発明と、実用新案法にいう考案とは、ともに技術的思想の創作ですから、出願の変更ができるのは当然として、意匠登録出願との間でも出願の変更が認められるということについてはなぜなのか、というと、
 意匠は、

 技術的思想の創作としてそのまま実用新案登録出願又は特許出願の対象となり得るものがある

うえ、(出願の変更の対象から)

 意匠出願を特に除外する理論的根拠に乏しい

ために、出願の変更規定が設けられている、と吉藤先生は仰います。

■ 具体的に出願の変更に係る規定は、特許法では46条にあります。

□ 特許法46条1項、2項
実用新案登録出願人は、その実用新案登録出願を特許出願に変更することができる。ただし、その実用新案登録出願の日から3年を経過した後は、この限りでない。
2 意匠登録出願人は、その意匠登録出願を特許出願に変更することができる。ただし、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から30日を経過した後又はその意匠登録出願の日から3年を経過した後(その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から30日以内の期間を除く。)は、この限りでない。

特許法に規定されているのは、実用新案から特許への変更(1項)、そして意匠から特許への変更(2項)になります。どの法律にも、変更先となることが記載されているわけですが、これは変更後の出願を、その法律の定める法域の出願として移し替えるための立法上の都合なんだろうと思います。

■ ここで、多少初学者向けのことを書きます。
 それは、ここでの出願変更は、「出願」の変更であるということです。何を当たり前のことを、と仰るかもしれません。しかし、「出願」の変更であるからには、この「出願」は、特許庁に係属している状態になければならない。つまり、出願後、未登録、ないしは拒絶の査定が確定していない状態に、少なくともなければなりません(時期的な制限はさらに他にもありますが少なくともこの期間であることが必要だと申し上げています)。
 さて、最近の特許法では、46条の2、ということで、「実用新案登録に基づく特許出願」というのがあります。これは、「登録」に基づく出願なので、既に権利になっているものに基づいて、新たな出願をするという構造を規定したものです。ですから、この46条の2は、出願の変更とは言えません。
 試験問題に現れたものが「出願」なのか「権利化されたもの」なのか、これについては言葉の問題からすぐに察知できるようにしておくと、よいと思います。例えば出願が変更された、と言われたらそれは未だ登録はされていない状態にあるわけですから、登録後の規定について言及することは題意把握のミスに繋がっていくことになるのです。

■ 話を少し戻します。
 出願変更については、出願内容の同一性がなければ、「出願日をそのままに」するわけにはいきません。変更後の発明が、変更前の原出願の明細書や図面に開示がなければならないわけです。この点、意匠からの出願変更は同一性の主張が困難になりがちなことはおわかり頂けるかと思います。あまり利用されないのも、そういう理由があるから、ですね。
 知り合いの弁理士さんは、このことを憂慮して、意匠の説明欄に、請求の範囲や詳細な説明を記載していましたが、変更の際に、それが使えたのかどうか、実績があるのかどうかを知りません。

■ あ、それと、出願変更については、割と短問式で出題されそうな項目が多いので要注意です。46条5項で準用する44条2項以下の部分です。これらの点を含め、次回は、出願の分割についてに歩を進めていきたいと思います。

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