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2008年10月28日 (火)

乱「聴」日記

ここのところ、電車中の時間を他のことに取られているので、なかなか本読みが進まない。
てなわけで、今回も「乱読日記」というわけに行かず、せめて乱「聴」した結果でも。

▽ ここのところ、iTunes Store に、村治佳織さんのギターのアルバムが出ている。購入したわけではないが、Bach をギターで演奏しているというのは興味深い音だった。

 iTunes Store(Japan)

■ クラシカルのアルバムの中で、さすがにこの村治さんのアルバムはトップに出ていたわけだが、それとは別に、また変わったコンピレーションがリストにあって、目をひかれた。
 それは、classic@comics というシリーズで、全部で6枚(って数えていいのかどうか、だが)ある。Vol.1 は、「のだめカンタービレ」という漫画からの曲らしい。もっとも、ちょっと調べたところ、その漫画をベースに作られたアニメーションもあって、オリジナルの曲もあるみたいだけど、このアニメーションは、 iTunes に楽曲を提供しない、SONY Music Entertainment が制作に噛んでいるらしいから、ここでは、そのまんがに現れた楽曲を他所のアルバムから適当にピックアップしたものみたいだ。
 Beethoven の7番とか著名どころがあるかと思いきや、リストの超絶技巧練習曲とか妙なものまで入ってる。それからこの種のアルバムの悪い点として、例えば第1楽章だけしか入ってなかったりする。

 iTunes Store(Japan)

■ Vol.2 は、映画「神童」から、らしい。こちらももとは漫画らしいが(classic@comics というタイトルだから当たり前か)。詳しいことを知らない。曲は、こちらもピアノ系が多くて、ショパンのエチュード Op.10-12 など有名どころがいっぱい。Vol.3 は、「ピアノの森」というものから。同じくショパンが中心らしいから、やっぱりピアノ曲中心。
 以下、Vol.4 から Vol.6 は、また「のだめ」に戻るらしい。
 特に私の興味を引いたのは Vol.4 で、何がといって、私の好きな Ravel がいっぱいだったからだ。

■ 1曲目から、組曲「鏡(Miroirs)」(もっともそのうち、有名どころの「道化師の朝の歌(Alborada del gracioso)」だけだが)。それから「亡き王女のためのパヴァーヌ」、そして最後が「ボレロ」である。
 「道化師の朝の歌」については、ピアノヴァージョンになっている。
 この曲、家にはたまたま、Boulez 指揮のオーケストラ版と、Pascal Rogé のピアノ版とがあるのだが、このうち、Rogé のピアノ版はどうも、本来よりも音が多いような気がして、気になっている(といって、本当にそうかどうか分かるほど私の耳は良くない)。個人的に Ravel は---その称の通り---オーケストレーションの良さだと思うので、ピアノ曲よりオーケストラの曲の方が好ましく感じられているだけかもしれない。

■ 「ボレロ(Bolero)」は、特徴的なリズムと、特徴的な構成の曲である。大学の教養のころ、音楽の授業で金澤正剛教授の授業を受けていたときに、ふと気になって、

「ボレロっていうのは、(ロンドとかフーガとかあるうちの)何形式という形に分類できるものなんですか」

と質問したら、金澤正剛教授は即座に

「あれは、変奏曲ということになるんですよ」

と教えてくれた。もっとも、ボレロの場合、第1主題と、第2主題とが単に交互に現れるだけで、最後の最後にちょっとした変奏部分があって終結という妙な曲だから、これを変奏曲に分類するのは、少し乱暴なのではと思った記憶がある。
 とにかく曲の最初から最後まで、一貫してクレッシェンド(だんだん音を強くする)になっていて、かつ、おそらくBeethoven の頃だったら邪道扱いされたのではないかとおもうのだが、基音(ベースになる音程)に対して2倍音から5倍音の各倍音(それぞれ基音から1,2,3,4オクターブだけ高い音)に別々の楽器を割り当てて、いわばシンセサイザーのような合成音を作り出している、など「奇妙」だらけの曲である。なお、あとから wikipedia を見たところだと、シンセサイザーのような音作りはパイプオルガンの音の作り方に近いというので少し納得したのだが、パイプオルガンという先例があったにしても、このような組み合わせをオーケストラの楽器を割り振って作り上げているところは「進歩性」というか「非自明性」を感じる

■ 件の、classic@comics の Vol.4 にあるボレロは、ロイヤル・フィルハーモニーの演奏、エイドリアン・リーバー指揮ということで(私はこの指揮者を知らないのだけど)、サンプルの部分を聞く限り、各音がレガート(っていうのかなぁ? 要するに音価いっぱいに一定の音)で演奏されているみたいで少し気になった。
 ワタクシ、ボレロの音は、ちょうどシンセサイザーで言えば、アタックはきつく、ディケイは早く、サステインレベルは低めにしてほしいのである。私は楽器は打楽器以外やらないのだが、ピアノでいえば、フォルテピアノみたいの? で演奏されているのに慣れてしまっているのだ。
 いま手元にあるボレロのCDは、サー・ネヴィル・マリナーというこれまたあまりよく知らない指揮者のもので、演奏はドレスデン・シュターツカベルレとある。ずいぶんマイナーな感じだが、これがそういう演奏になっていて、この演奏に聞き慣れてしまっているせいか、どうも耳慣れないと落ち着かない。
 そういうわけで、実を言えば、私は、この Vol.4 の購入には踏み切らなかったのである。そういえば、もう一つ iPod に入れてあるのがあって、こちらは Boulez の指揮のものである。ただ、こちらはスネアドラムの音が単調すぎて気にくわない。あのドラムはやっぱり拍ごとに強弱が欲しい気がするのだが。

■ じゃ、何が乱「聴」日記かって?
 それは、これがきっかけになって、iTunes Store にあるボレロのサンプルをたいがい聴き倒してしまったのだ。

 そもそもボレロは、バレエの曲で、踊り手がただ一人練習をしていたところ、だんだん盛り上がってきて、周囲の人物を巻き込んでの大舞踏に至るというようなもので、なんだか肩凝りにでも効きそうな踊りをしているのをどこかのビデオで見たことがある。
 そういう意味では、あんまり演奏が早いと、最初の練習シーンが妙な具合になってしまう気がする。
 検索で最初に引っかかるシドニー・シンフォニーのものはなんだかしっくりくる。指揮者が誰だかわからない。それにこれは5分ほどしかないところからみて、どうも「抜粋版」である。
 そういう意味で「まとも」なボレロの最初のものは Karajan 指揮のベルリン・フィルのもの。15分50秒。Karajan にしては、ゆっくり振ったものだが、音はすごくよさそうだ。ちょっとぐらっとくるが、iTunes ストアではアルバムごと買わないといけないことになっている。アルバム名称は、カラヤン・グレイテスト・ヒッツとかいう、ポピュラー音楽かと思うようなタイトルのアルバムで、全20曲、2100 円。安いんだか高いんだか、いずれにしろ、有名どころがいっぱい。欲しいのはラベルだけなので、この購入も断念。
 それから小澤征爾とボストン交響楽団のもの。14分59秒。これも演奏に違和感がないが、これまたアルバムごとの購入を求められている。こちらは「どこかで聴いたクラシック」というコンピレーションもの。花のワルツだの、美しく青きドナウだの、いいんだけど、もう好きなのを持ってるので、改めて購入したいとはあんまり思わず…。
 検索結果をずーっと下って、Jean Fournet & 東京都交響楽団というもの。15分50秒。これもどうしてかアルバム単位で買えという(もしかしてボレロは比較的長いからアルバムで買わせる気なのか?)。カップリングはビゼーのアルルの女とか、ラベルの「ダフニスとクロエ」(一部)。「ダフニスとクロエ」はCDを持ってないので、この機会にちょうどいいような気もするが、このボレロは、今度はスタッカート気味で、これも耳慣れない。買ってみてちゃんと聴いてから評価しろ、と言われそうだが、そもそも大して耳のいい訳でないワタクシ。単に耳に心地いいボレロが聴ければそれでいいんで…(「ダフニスとクロエ」が欲しけりゃまた別のを買ってもいいんだからねぇ)。

■ というわけで、聴き倒した割には「ボレロ」は購入せずにおしまい。
 ただ、何となく聞き回っているうちに、ふと、ドビュッシーの「アラベスク」を見つけてポチッと。ミーハーですか。そうですか。

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