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2008年10月30日 (木)

受験と裁判と

パイオニアがサムスンSDI社に対する特許侵害訴訟で、勝利の陪審評決を得たとかいう話である。賠償額は59ミリオン・ドルだそうで、現在のレートで換算した場合、59億には少し満たない値くらいだろう。プラズマディスプレイパネルの発明だそうだが、もっともこれは米国の話だから、日本国内の特許権や実施には関係がない。

▽ 米国ではこういう事件でも陪審がでてくるわけだが、日本では裁判員制度が始まったとしても、対象事件が限られているから(http://www.saibanin.courts.go.jp/introduction/index.html)、こんな知財事件(特に民事)に一般人が参加することはない。
 「知的財産権、殺人事件!」とでもあれば別だろうけど、それはもう知財事件じゃない気がする。

ベルメゾンネット

■ そろそろスタートが半年後に迫ってきて、話題に上るようになってきたこの制度(裁判員制度)、司法参加を是とする意見と、量刑にまで介入することの非とする意見とが交々にネットに公開されている。
 個人的には人々の司法参加による、司法への理解はいい傾向だと思う。テレビなどでタレントが無責任に述べている意見がどれだけのものかが評価できるはずだ。何にせよ、耳目を養うのはいいことだ
 その意味では、裁判員に選ばれてみたい気もするが、残念ながら弁理士は、以前も述べたように選ばれない。
 そういえば受験生はどうなんだろう。当然に選ばれるはずであるが、

「受験期間である」

ことを理由に、裁判員を拒否できるんだろうか。

■ 受験と裁判といえば、弁理士試験の受験時代に、審決取消訴訟の案件を事務所弁理士とともに共同担当したことがある。
 与えられた仕事が一段落して、翻訳待ちの案件ばかりがたまり、やることがないか、と考えて当時の所長さんのところへ相談に行ったところ、この所長さん一流のイタズラっぽい笑いとともに、

「これ、手伝ってくれる?」

と言われたのがきっかけである。
 おかげで(当時は専属管轄だった)高等裁判所へ出かける羽目になった。
 準備書面の提出に行くわけであるが、事前に裁判所へ電話をして

「事務所技術者(非弁理士)が一緒に行ってもよいか」

と聴いたところ、

独立して発言しない

ことなどを条件に、準備書面提出の場にいることを許された、という感じである。

■ 詳しいことは省くが、その裁判には勝訴した。
 判決の言渡には、のっぴきならぬ事情(ようするに受験関係)で出席できなかったのであるが、当日は特許庁側の代理人もやってきていて、

「怖かった。ものすごい表情で睨まれたよ」

と、共同担当した弁理士に言われた(別に悪いことしてないのに…)。
 勝訴の後、怒りに震えたような拒絶理由が再度やってきたので、こちらも意地になってコテンパンに反論したものである。

■ 再三の拒絶理由
は、本心をいえば辛いものがある。

「中間対応で稼げるじゃない」

といわれるのだけど、中間対応をするくらいなら新件を一件でもやりたいのが本心である。
 あ、いや。再三の拒絶理由が辛いという、その本心は、また別で、一つには先の拒絶理由への応答を踏まえて反論しなければならないことがあげられる。
 第二に、再三の拒絶理由がある場合は、同じポイントを堂々巡りする場合がほとんどであるからで、

いっそ電話で説明するか

と思っても、29条2項の話では最近、審査官は取り合ってくれないことが多いのである。

■ そこで、少し趣向を変えて、

「拒絶理由は29条2項なんですが、もしかしたら、こちらの記載が悪かったかなぁと…。36条っぽいかなぁと、思いましてー」

などと絡んでみたりする。あまり効を奏するとは言い難い、のであるが。
 一番よいのは「技術説明をする」として面接を依頼する方法である、と思う。
 拒絶理由通知への対応は、審査官の真意が分かるまで拒絶理由通知自体を何度も読むことがその第一歩だが、真意が仮に誤解しているところにあると分かった場合、誤解を解く一番の方法は実際に面接で会うことなのである。そこはやはり人間同士、というところであろうか。

■ 裁判員がどのように選ばれるのか知らないが、(コンピュータではなく)人が選んでいるのであれば、

「受験なんですぅ。今回が勝負なんですぅ」

などと、嘆願すれば何とかなったり…、しないものだろうか。そこは人間同士なんだし…。

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