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2008年10月 8日 (水)

首から下のはなし

複数の日本人が一斉にノーベル物理学賞を受賞したというのは、初の快挙であるらしい。当の受賞論文は、はるか昔のものであったという話だが、受賞者の論文は理論の論文であって、実験的に、どうやら正しいらしいと確かめられたのが、今世紀に入ってからなので、ことし受賞でもまぁ、おかしいわけではない。

▽ 私は物理を専門にしていたといっても素粒子論には手を出さなかったので、それほど詳しくないのであるが、CP対称性の破れ、というSFマニアが好きそうな範疇の問題なんである。ともあれ、こちらは、「首から上」のおめでたい話題。

■ 首から下
 あ、いや、この「首から下」というのは、私の学部時代に電磁気の授業などでお世話になった、東晃(ひがし あきら)先生の言葉、

頭ばかりでなく、首から下も鍛えろ

というところから拝借させていただいた。要は大学生活ではただ勉強だけでなく、体力もつけておけ、という話だと思う。確かに体力は大事である。先生のお言葉通りには鍛えられなかったのであるが。

 …いやいや、話がそれている。少し前にテレビで、「首から下」の体育会系な番組、「筋肉番付」というのが流行ったのは知っている。その後、それが SASUKE などという横文字な番組になっていたとは知らなかった。どうやらTBSは、この種の体育会系番組をいくつか持っているらしく、このほど、アメリカはABCが放送した「Wipeout」という番組に対して、

設定、様式、イベントの流れ、ナレーションの調子などが酷似している

というわけで、訴訟を提起した、らしい。

■ 当の Wipeout については、米国在住でもない我々が見ることはできないわけであるが --- といいたいところだが、便利な(?)世の中で、当の ABC がビデオを提供してくれている(http://abc.go.com/primetime/wipeout/index?pn=index)。
 そのビデオを見てみると、挑戦者が、泥水の上に点在するステップを歩いてみたり、壁からランダムに繰り出されるグローブのパンチに耐えてみたりしている。うっかりして落ちると、泥沼にどっぷり---というわけだ。
 たしかにどっかで見たような体育会系番組のようなものみたいだが、この安っぽい(失礼!)しかけが、TBSの番組のそれとどこまで似ているのかは分からない。加えて出場者の多少下世話なインタビューだの、放送禁止用語の「ピー」音が満載みたいで、画の調子もどちらかというと、下ねたというか、出演者のそれっぽい姿態や服装を狙ってる気がする。
 まぁ要するに、なんだかなぁ的な番組だが、これがまた人気番組らしいところが(以下ry

■ さて、それはそれとして、TBS側は、どうやら類似のコンセプトの番組が制作されるにあたっては、海外のテレビ局等に対して、ライセンス取得を要求しているらしいのである。このライセンスが果たしていかなる権利に基づくものであるのか、ニュースサイトの記事からは今ひとつ分かりにくいのだが、今回の訴訟ではTBS側、酷似した番組の制作・放送は、著作権侵害ないし不正競争行為であるとの主張をしているらしい

■ 米国であっても、著作権はアイディアやコンセプトには及ばないはずで、表現が酷似しているとの指摘で著作権侵害などと主張しているものと思われるが、果たして「設定、様式、イベントの流れ、ナレーションの調子」は表現に該当するものか。いや、まず、過去にテレビ番組の酷似を訴えて勝ったケースがあるのだろうか。
 NBCのニュースサイトによると、過去に ABCと同じ米国内のテレビ局、CBSが訴訟を起こしたことがあるという。そのときの訴訟相手もABC。しかしながら裁判所はABC側を勝訴させたという。

■ 私個人としては、番組サイトでビデオを見る限り、確かに似てなくはないとは思うけど、やっぱりコンセプトベースでまねられているように思われるので、著作権での訴えは難しいと思うのだけど、TBS側の戦略はどうなっているのだろう。ちょっと興味深い。なお、このケースの弁護士 Larry Stein は、ほかにも類似の訴訟を行っているようなので、何らかの勝算があるんだろうとは期待したいところだが…。

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