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2008年9月11日 (木)

エコの時代

キヤノンが、ディスプレイ関係の特許ライセンスの件で逆転勝訴したというニュースがあって、これでまた、新しいディスプレイデバイスに対する期待感がでてきたような感じだ。件のディスプレイは、要するに微小なブラウン管を並べたようなデバイスだったんじゃないかと思うが、そうとすると制動放射が起きるはずで、スペクトルによってはやっぱり鉛ガラスが使われたりするわけだろうか。ガラス屋さんもCRT用途から液晶用途に主力が移ったと思えば、またCRT時代と同じガラス技術が求められたりするとすれば、難儀な話である。

▽ 特許を技術実施の独占のために使うことがあるとすれば、またライセンスによって広く利用させて稼ぐ方法もある。そして稀なことながら、開放して宣伝用に使うということもまた、あり得るわけである。

■ そうした「宣伝用」特許の一つとして、Volvo のシートベルトの件をいつか書いた気がするが、

今の潮流はエコ

なんであって、消費者も対象製品のエコロジー感によって消費行動を異ならせるところまで来ているから、だいたいどの企業もエコロジーを意識していないと、つらいことになりつつある。
 で、そうしたエコロジー運動と特許権とのコラボレーションがこれ。

■ Eco-Patent Commons
 エコ・パテント・コモンズというのであるが、今年の1月に、IBMやノキア、ソニーといった企業によって始められた運動ということになっている。要するに環境保護に貢献する特許を開放させる、というような話であるが、営利を目的とする企業としては、これは一種の広告として捉えなければいけないだろう。
 このたび、ニュースになったのは、ゼロックス、デュポン、ボッシュ、そして当のソニーが新たに開放特許を供出したという話であって、ゼロックスが11件、デュポンが4件。ボッシュは件数は書かれていないものの、自動車関連技術についての特許権を開放したらしい。

■ なんだ、開放なんて言わないで、特許権を放棄すればいいじゃん、というのは考えようで、誰もが勝手に当該技術を使える、という感じではなく、例えば環境に貢献する技術に利用される場合に限って無償ライセンスを出す、というやり方が可能であったりするわけで、そこいらへんが単純に特許権を放棄するのとは異なるんじゃないだろうか。いや、Eco-Patent Commons のライセンスがどういうものなのかはわからないが。

■ なお、この Eco-Patent、直接的にエコロジーに貢献するものでなくても、今回のデュポンの数件の特許のように、有害物質の存在を検出するための技術のように、間接的にエコロジーに貢献するタイプのものでもかまわないらしい。メンバーになるには、個人でも企業でもかまわないというから、使われずに溜め込まれている特許権のうち、そういう系統の技術が存在するのであれば、一つ、広告用に供出してみるというのも手かも知れない。

■ あ、そうそう。Eco-Patent のウェブサイトにも記載があるが、供出した特許権についての維持費用が低減される国もあるというので、一応、ご紹介まで。死蔵特許権の維持費用ってのも、規模が大きくなるにつれて莫迦にならないものねぇ…。

... For example, there is a provision (Section 46) in the UK Patents Act 1977 which allows a patentee to have its patent endorsed "licenses of right" and this reduces the annual renewal fees by 50%...(Eco-Patent Commons の Q&A より)

日本も、やりゃいいのに。というか、前回の料金改定で、そもそも維持費用はかなり減額になったから、あまり意味はないということなのかなぁ。

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