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2008年9月 3日 (水)

アワード ばなし

力学・場の理論―ランダウ=リフシッツ物理学小教程 (ちくま学芸文庫 ラ 5-1)   ノーベル賞を獲得する方法というのがあって、主に2箇条からなるのであるが、その第1条はというと、
「死ぬな」
ということである。 死者にはノーベル賞は与えられないのである。かのランダウが 1962 年に交通事故で瀕死の状態となったとき、ノーベル財団が慌ててランダウへその年のノーベル物理学賞を贈ったのはそういうワケだと言われている。

▽ そして第2条は、ノーベル財団の審査担当者の分野と同じ分野の研究をせよ、というのである。研究の重要性が理解されるには、審査担当者と同じ土俵にいなければならない、ということだ。

■ 今日は久しぶりに猛暑という感じだった。ただ、日陰に回れば風が涼しく、秋の予感も感じさせるような天候だった。事務所までの道のりには日差しが避けようもないところがあり、じりじりと照りつける残暑の太陽に焼かれながら、事務所へたどり着くと、机のうえに JPAA ジャーナルが届いていた。
 さっそくパラパラと眺めてみると、あれ、あの人がこんなところへ。あぁ、あの人は事務所を引っ越したんだっけな、と知り合いの名前が目に付く。そして今回のジャーナルには、2件ほど、発明に関する賞の記事があった。どちらも、発明の応募を受け付けている旨の「広告」である。一つは発明大賞。

■ 発明大賞

 発明大賞は、日本発明振興協会というところが主催しているのだが、主だった広告は日刊工業新聞社の方で行われていて、じっさい、応募書類のダウンロード等も日刊工業新聞社のサイトの方が見栄えがよい(http://www.nikkan.co.jp/html/hatsumei/index.html)。
 この発明大賞は、第1回が昭和51年ということで、かなり長きにわたって開催されている伝統ある賞である。第1回受賞者は、「日本自動制御株式会社」というところの「顕微鏡の自動焦点装置」であるらしい。
 応募対象者は、中堅・中小企業(資本金10億以下)や個人・グループということであるが、過去の受賞者は、いずれも法人在籍の発明者によるもので、個人が受賞したことはないようだ。本賞は、副賞として100万円が贈呈される。
 なお審査担当者は、「学識経験者」とのみ書かれていて、こちらからノーベル賞的な受賞対策を探る道はないようだ。
 また、係争中の発明、未公開の発明については応募できず、成年被後見人や被補佐人、そして著しく人格的に欠陥があり、表彰するにふさわしくないと認められた人(どんな人?)には賞は与えられない。さらに、主たる発明や研究について他の団体の顕著な表彰を受けている場合は、ダメだ、ともある。
 基本的に特許出願済のものを念頭に置いているらしく、まぁ、そりゃ未出願のものがやってきたら、取り扱いに困る(新規性を喪失するんじゃないだろうか。守秘義務契約があるとも思えないのだが…)だろうから、それでいいのだろう。
 この案件は9月30日の締め切り。付き合いのある個人出願人の方々に勧めてみようかともちょっと考えたが、折角応募しても、個人発明者の受賞の芽が怪しいようでは…。

■ 安藤百福賞
 そして JPAA ジャーナルにあった、もう一つの賞は、安藤百福賞である。安藤百福は、よく知られている通り、「チキンラーメン」、つまりインスタントラーメンの発明者である。この「安藤百福賞」は、新しい食品の開発に貢献する研究者、開発者、及びベンチャー起業家を受賞対象者とする、ということである。詳しくは、http://www.ando-zaidan.jp/html/syoku_02_01.html を参照していただきたい。
 こちらは大賞の副賞が1000万円。優秀賞で200万円、発明発見奨励賞として100万円ということになっている。審査の基準が公開されていて、それによると、

・驚きの気持ちを引き起こすような斬新で独創的なもの。
・特許申請、論文著書等、知的財産としての価値があり、生産性が高いもの。
・科学技術の世界や社会一般へ強い影響力があるもの。
・実績、知名度が低くても、将来性を期待できるもの。
・食育推進への貢献度が高いもの。

という話だ。「生産性の高さ」が謳われているので、事業ベースで考える必要があって、これは個人では実際、難しいだろう。なお、JPAA ジャーナルには、応募用紙も(どういうわけか)付いてきているから、興味のある方には差し上げるが(もっとも、上のページからダウンロードできるような気もする)、先に出願を済ませておいたほうがいいだろう(この側面では、私に営業の気持ちはあまりありません、念のため)。そしてこちらも期限は今月末。どなたか、いかが??

■ ところで、wikipedia によると、安藤百福は、1958年にチキンラーメンの商品化に成功とあり、63年には日清食品が2部上場を果たしたとされている。そもそも粗悪品や模造品の懸念から、1959年の1月には、特許出願(特願昭34-1918)がされていて、翌年11月には公告(登録の前段階で、登録前に公衆に知らせ、公衆による審査見直しの機会を担保していた時代の話である)がされている(特公昭35-16975)。商品化成功の後といっても、新規性の問題からは出願後に発売したのだろうと善解するが、それでいいんだよね?? そして、その発明者の名前は、「安藤須磨」とある。れれ、別名??

 ちなみに、そのパテントされたクレイムであるが、

「本文に詳記する如く小麦粉を主材とし之にカン水、塩水、油、生姜汁液、鶏卵等の添加諸材を加えた原料を混練して製麺機等により可及的細薄麺条を形成して蒸熱後冷風供給下に油液の噴霧注加の下に解きほぐし、別に鳥骨スープ等の動植物スープを基体とし之に動植物質調味材及び化学調味材更に香料を添加して濃縮調製した調味液を加混したものを前記麺条群に再び冷風供給下に噴霧注加して浸透保有させ之を折損せぬ程度に予備乾燥し該味付麺条群を動植物性の高温油液中にて瞬間揚処理を行うと共に油切り乾燥することを特徴とする即席ラーメンの製造法」

というものになっている。発明の本質は、最後の「高温油液中での瞬間揚処理」にあるのであるが、このクレイムである。これで権利行使がかなったわけだから、ある意味で牧歌的な時代といえるのかなぁ。

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