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2008年6月16日 (月)

アイの はなし

土曜日の朝、NHKの画面に「緊急地震速報」が流れた。訓練ではない。現実の地震である。当初は被害の状況がよくわからなかったものの、時が経つにつれて大変な状況であることがだんだんとわかってきた。被災された方にはお見舞い申し上げますとともに、一刻も早い復旧をお祈り申し上げます。

▽ 昨今の災害や事件、事故などでは、携帯電話機が様々な態様で関わりあっていることに気がつく。先週の痛ましい事件では犯行予告という、良識から考えて異様な使われ方をしていたし、災害の現場では緊急連絡や、伝言の中継という形で役立てられている。いまや我々の生活に切っても切れないものになりつつある。

Apple Store(Japan)

■ その名は…
 Apple が iPhone という名の携帯電話端末を発売したのは、昨年 2007 年の6月末。今年7月には、これが日本で、Softbank から登場するという。NTT Docomo も取り扱いに立候補していたようだが、結局、Softbank が日本での最初の iPhone 対応キャリアとなった。
 iPhone 自体は、一般的な携帯電話機とあまり変わらない印象があるが、実際には、インタフェースからソフトウエア化されていることにより国際的に変更のいらないインタフェースや、Apple 提供の新サービス(といっても .mac の進化版であるが)、Mobile Me を含め、各種アプリケーションの利用が可能となっていることにより、新機能の導入に際して新らしい端末を必ずしも購入しなくてもよくなるなど、少々パラダイムシフト的な意義を持っているのでは、という分析もある。
 まぁ、そこまでは言いすぎとしても、注目度は高いので、これを機に Softbank への MNP(ナンバーポータビリティ)も促進されそうな、そんな読みはありそうである。

■ ぶつかり合う名前
 最近では商品の数が莫大になっているのとともに、国際的に展開される商品の数が豊富になっているせいか、商品名がぶつかり合うことはよくある。この iPhone も発売当初から、いきなり Cisco Systems の VoIP 製品とぶつかった。考えてみれば、商標調査でもすればすぐにこの製品は目についたと思われ、公表されている経緯からしても、最初っからぶつけて交渉するつもりで商標を選んでるような気も
 ところで、iPhone を日本語で読めば、「アイフォン」であり、これまた日本での登録商標 460472 号等、「アイホン」とぶつかる。この商標は、アイホン株式会社の登録商標である。
 アイホン、この会社はインタフォンを製造している企業で、アイホンのアイは、同社の所在地、愛知県の愛に由来するとみられる。アイホンと変更する前の商号が「愛興高声電話器合資会社」なのである。

■ 結局 Apple は、Cisco との間では、両者がともに互いの商標を自由に使えるという線で合意した。またアイホンとの間では、日本国内と国外とで条件をわけ、国内においては英語表記を「iPhone」、日本語表記では「アイフォーン」とすることとし、国外では両者が互いの商標をそのまま利用することで合意した模様である(2008年3月)。

それはいいが、こんな合意は商標登録の要件とは関係がないだろう。

という話があって、Apple の iPhone 商標が登録される可能性はあるかどうかを見てみると、実をいえば、16類、25類、38類、41類での登録なら既にされているのである(登録 5125678 号)。ただし9類(携帯電話等)での登録はない。ただし、分割になっているものはあり、商標取得戦略は、まだ半ばらしい:商願2008-1814 。
 もっとも後者の出願の指定商品は、28類で、「おもちゃの携帯電話」などを指定している。どういうことだろう。と、思っていたのだが、これがヒントかも知れない:

■ Wikipedia の記載
 Wikipedia で、iPhone を調べてみると、

商標出願2006-86904
【公開日】平成18年(2006)10月12日
【標準文字商標】iPhone
【称呼】アイフォーン
【出願人】 【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド

という記載がある。ところが同出願を IPDL でみてみると、出願人がアイホン株式会社になっているのである。
 推測するに、9類で他人(アイホン株式会社)の既登録商標との関係が問題になったため、出願をアイホン株式会社に譲渡して、登録を目指したのではないだろうか。これは「他人の」商標が問題になっているときの商標独特の出願戦略なのである。
 要するに、アイホン株式会社が出願人であれば、登録要件としてはアイホン株式会社の他の商標が「他人の」商標にならないので、登録され得るのである。
 そして登録後に、権利の譲渡を受けてもよい(一部譲渡で共有になっても問題ない)し、使用許諾を受けるなどしてもよいというわけである。
 この出願には9類(指定商品:携帯電話等)が含まれている。

■ iPhone、私も考えてみたのだけど、おサイフ携帯じゃないんだよねぇ。iPhone ケースに Suica みたいなカードを入れて「一体化」するという(冗談みたいな)話もあるが、モバイル Suica の利便性に慣れてしまうと、これはもう手放しにくい。悩みどころではあるが、ここは自重(?)しておくとしよう。

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