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2008年6月 9日 (月)

陰になったニュース

東京・秋葉原で悲惨な事件が発生して、多数の死傷者が出た。亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げるとともに、負傷された方の早期の回復を願う。こうした凄惨な事件が発生すると、犯行に用いられた物を単純に禁止する方向で対策が採られたかのように思うのであるが、実際のところ何かを禁止しても次の手段が現れるだけのことで、もっと根本のところで解決策が探られる必要があるように感じられる。

▽ こんな事件はもうたくさんなので、今度こそ小手先の対策ではなくて、根本的な解決策を考えて欲しいものである。
 こうも暗い話を聞いてしまうと、少しでも明るい話題がほしくなる。実は、この凄惨な事件報道の陰に隠れてしまったが、昨日は、明るい話題もあった。

■ 明るい話題。それは競泳の話である。競泳のジャパンオープンで北島選手が平泳ぎで世界新記録を達成したのだ。ただ、この話についてはちょっとばかり気掛かりな側面がないとは言えない。それは、水着の問題である。今回、新記録の達成が相次いでいる背景に、スピード・インターナショナル社の水着があるのだ。

■ wikipedia によると
、スピード・インターナショナルは、SPEEDO ブランドの水着を開発している。特に著名なのは、Fastskin と命名された水着で、サメの肌にヒントを得たと言われている。そのうち比較的新しい、Fastskin LZR Racer は、軽量で、撥水性・速乾性にすぐれた繊維を用いたものであるらしく、かつ、縫い目のないのが特徴であるらしい。人が泳ぐ際の流水抵抗がどのように生じるのか、私にはまったくわからないが、縫い目近傍の流体剥離はなにがしかの影響があるだろうというのは想像に難くない。

■ SPEEDO 社については、長年ミズノが製造販売のライセンシーであったのに、ミズノ側の自社ブランドの明確化戦略に伴い、販売等のライセンスが三井物産に移ったものらしい。もっとも、実際の販売は、三井物産から受託したゴールドウインが行う。
 このような状況だから、Fastskin がこのように躍進するのは少しフクザツで、ミズノには頑張ってもらいたい気になる。

■ ところで、そのミズノについて水着の特許出願を検索してみると、時期を絞らないで公開公報を検索したところ、全部で20件そこそこしかないようだった。水着についてはあまり出願がされていないのだろうか。
 東レとの共同出願が多いようだが、そのうち一件のメインクレイムを見ると、

 伸縮性を有する生地からなる水着の表面の少なくとも一部分に、連続的に形成した撥水部を有する連続撥水部分と、撥水部及び非撥水部を断続的に形成した断続撥水部分とが、体長方向に平行なストライプ状に形成された撥水領域を有し、前記断続撥水部分の撥水部と前記連続撥水部分の撥水部とが少なくとも一部分で連結されており、前記撥水領域の面積に占める撥水部の面積の比率が70〜90%である競泳水着において、
 前記撥水部を体長方向に対する左斜め方向及び右斜め方向にも連続的に形成したことを特徴とする競泳水着(特開2006-348398号公報)。

というのがある。このクレイムタイプは、Jepson タイプというやつで、「…において」までがプリアンブルであり、慣例的にはここまでの記載に発明としての特徴はない。そうすると、このクレイムにおいて表現された発明の特徴は実に明快で、「撥水部を体長方向に対する左斜め方向及び右斜め方向にも連続的に形成した」ということである(しかしそうか。撥水部って全面的じゃなくて、部分的なんだな)。

■ 今後、開発競争を行うような話にしては、特許出願件数がずいぶんと少ないのが興味深いが、スピード・インターナショナルについても「ゴーグル」一件の公開公報があるだけであったから、そもそもあまり出願がない分野なんだろうか。Fastskin LZR については「特許出願中」の文字が見えるのだが、あれも日本での出願かどうかわからないしなぁ。

■ 暗いニュースの多い世の中だから、すこしでも明るい話題が増えてくれるといいのだけれど。そういう意味でも、北京オリンピックでの日本選手の活躍には期待してしまう。
 また、今回のような話といい、近ごろでは(これは冬季オリンピックの話だったが)スケートリンクでの氷に関するものだとか、人間の身体的な鍛練だけでなく、各国の技術力の勝負という見方---スポーツの祭典を見る目としては不適当なのかもしれないが---がありそうだ。もっとも日本の選手が、オーストラリア発の英国企業製品を使ってるというのだから、国家間の競技にはなっていないのかも知れないが。

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コメント

あの時、私は現場のすぐ近くにおりまして・・・・・・。

投稿: 某企業弁理士 | 2008年6月10日 (火) 23時05分

コメントありがとうございます。

ご無事でなによりです。
弁理士会のアキバウイングも間近のところなので、同業者に被害があったりしないかとは、ちょっと心配していました。とにかく嫌な事件です。

投稿: ntakei | 2008年6月11日 (水) 02時54分

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