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2008年4月25日 (金)

[弁理士試験]吉藤を読む(6)

草津から白根山を経由して新潟へ向かう志賀草津道路(国道292号)に乗っていると、白根山から草津側に殺生ヶ原というところがあります。凄い名前ですが、実際その名の通り、硫化水素ガスが発生する区間が500メートルほどに亘って存在し、虫などの生物もいないわけです。この区間の手前には道路上に立ち止まらないよう求める看板などが立てられています。また車では窓を開けないよう指示がされます。

▽  近ごろ、どうも物騒な自殺をされる方が後を絶たないようですが、キップの装置でも使ってくれればまだしも(いや、それでも自殺はよくないのだが)、必要な量だけつくるという考え方はないようなので、こっちも自衛手段を採らなければならないような気になって参ります。試みに、「実験を安全に行うために」を見てみます。
 この本には、例えばシアンなどについては亜硝酸アミルを15秒かがせ、15秒まつ。これを5回繰り返してシアンを無毒化し、次いで、チオ硫酸塩を与える、というような処置方法が書かれているのです。で、「硫化水素ガス」…

 新鮮な空気のところに移し、安静にする。目に入った時は、大量の水で洗い、のどをうがいする。

そうなのか。無毒化する方法よりも新鮮な空気に触れないとダメなんだ。早く逃げろ、ってことじゃん!

□ 実験を安全に行うために

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5 安全面から見た化学実験の基礎の基礎。

■ 少々外からの空気の臭いに過敏になりつつ、吉藤を読むことを続けましょう。
 先週は、「業として」の話から、少々先走って、専用権・排他権の多少不毛な議論を展開しました。今週は、「例外---二つの型」というところです。
 いうまでもなく原則は「特許権者は、特許発明を業として実施する権利を専有する」なのですが、原則には例外がつきものです。今回の例外は2つの種類に分けて論じられます。
 その一つは「制限的例外」、もう一つは「拡張的例外」です。
 名称から明らかな通り、「制限的例外」は、権利者でありながら、

  • 排他的権利を行使できない場合や、
  • 専用権を行使できない場合

をいいます。吉藤の言葉で言えば、

  1. 他人の実施をそのまま認めざるを得ない場合
  2. 自己の特許発明でありながら自由に実施できない場合

ということです。
 ちょっと分かりやすく整理するために、吉藤の記載を軽ーく飛ばし読みしてみましょう。まず、制限的例外の(1)、他人の実施をそのまま認めざるを得ない場合ですが、

(a)試験又は研究のためにする実施
(b)国際交通機関の運行上必要な物
(c)特許出願時から国内にある物
(d)調剤行為等
(e)法定・裁定実施権者の実施

が列挙されています。
 また、制限的例外の(2)、自己の特許発明でありながら自由に実施できない場合ですが、

利用発明

が挙げられています。もっとも、専用実施権を設定した場合、その設定範囲内では特許権者も実施を制限されるようになりますが、それは「例外」という形で捉えていないということでしょうか。
 さらに拡張的例外のほうですが、こちらは権利の内容を拡張していく型の例外です。吉藤先生は、専ら

「間接侵害」

をここで挙げるのですが、ここへ均等論を持ってきてもよいような気はします。

■ さて、制限的例外の(1)、他人の実施をそのまま認めざるを得ない場合へ戻りまして、(a)試験又は研究のためにする実施を見てみます。吉藤先生は、ここでは注釈において染野啓子教授の「試験・研究における特許発明の実施(I)」AIPPI33巻,3号,2ページ−を引いています。
 受験上は、少なくとも「試験・研究のための実施」に対してなぜ権利が及ばないのか(趣旨)、そして、「ためにする」というのはつまり換言すれば何なのかくらいは理解しておくべきでしょう。
 なお、趣旨は1条につながる趣旨だけでなく、権利者にとって利益になるケースも併せて覚えておくと… むかしの論文試験では有益でした。いまもそうだと思うけど…。

 で、その染野教授の文献ですが、「試験・研究」の例を挙げているわけです。いわく

  • 特許性調査=新規性・進歩性の有無を調べる
  • 機能調査=実施可能性や効果の検証
  • 改良・発展を目的とする試験
  • 経済性調査のための試験=市場との関連における販売可能性を探ること

を列挙します。
 そして、特許性調査、機能調査、改良・発展を目的とする試験については、この例外(特許法69条1項)の趣旨に合致するとして認め、経済性調査の試験は69条1項の趣旨に合致しないとしています。まぁ、発明をAとして、Aは×か(特許性ないんじゃないか)?、Aは○(どの程度のもの)か?、A+αは得られないか、というのを認める意味とでも整理できましょうか。

■ 次の(b)国際交通機関の運行上必要な物というのは、特許法69条2項1号や、パリ条約5条の3ですが、これらは、条文通りの話です。ただ、一次試験(短答式?)で、昔よくありました、「単に日本国内を通過するに過ぎない船舶内で、特許権に係る塩水を飲料水にする装置を使用して、特許権に係る方法を使用し、海水を飲料水に変える行為」というのは、要するに、必要な「物」と述べていることについて拘って、じゃ、方法に特許権があったら? と聞いているようなものです。
 文言的な解釈では確かに方法にはこの規定は及ばないようにも思えるのですが、吉藤先生は、「その装置の使用であるから」問題はないと片づけています。まぁ、正解はそういうことなのでしょう。

■ (c)、(d)についても
それほどの問題にはならないのですが、次に吉藤先生が多くのページを割いているのが「利用発明」です。しかし、今回はこの辺で終わっておきましょう。これをこの先、論じていると、いつまでも終わらないので。

■ その昔、私が中学生の頃のことでしたか、「自殺」というそのもののタイトルの本があって話題になったことがあります。各種自殺の方法を述べている画期的な書籍なのですが、わけても「確実性」に拘り、「一度失敗しても再度チャレンジできるよう」後遺症の残らない自殺方法を推薦していたのが強く記憶に残っています。しかし、この本の本当の趣旨は自殺方法の紹介ではなく、確実な自殺方法を知識として弁えておくことで、「いつでも死ねる」という気になって、日々を力強く生きていけというところにあったのです。それにしては捻くれた本ではありましたが、その趣旨として述べるところには意味があるのではないかと思っています。

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失礼いたします。

投稿: magazinn55 | 2008年4月25日 (金) 06時01分

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