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2008年3月27日 (木)

青い光のはなし

2001年については、その仕上がりに激怒して、キューブリック抜きを条件にしたという2010年まであと2年。どうやら、アーサー・C・クラーク逝去のニュースは本当だったみたいだ。追悼…というわけで、久々に 2001 年(不謹慎か?)を引っ張り出して観てみるか…。

▽ この 2001 年のDVDを購入したのは、随分前のことだけど、いまのところDVDの使い勝手に不満を感じたことがない。そういうあたりで私は発明者としては失格なんだと思うわけだけど、いち利用者としてどうだろう。これ以上長い映画を観たり、あるいは高画質で観たりしたいものだろうか。まぁ、一度観てしまうと戻れなくなるんだろうか。

 

□個人的には、宇宙船が優雅にドッキングする先頭近くのシーンと、ボーマン船長がHALのメモリを抜いていくシーンとが好み。「デイジー・デイジー…」と歌い出すHALが何とも…。
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■ 突然の東芝 HD-DVD 撤退で圧勝の感のあった Blu-ray であるが、ここへきて妙なことが持ち上がった。米国での半導体レーザーの輸入差止め申し立てである。
 この申し立ては、例のITC(International Trade Commision)になされ、先頃ITCが、Inv. No. 337-TA-640 として調査することになったことは、ニュースなどで知られている通り。
 この申し立ての基礎となっている特許権は、米国の特許で、USP 5,252,499 。出願は 1988 年の8月。特許の発行が、1993年10月。クレイム10,12,13,16の侵害が申し立てられているらしいので、ちょっと見てみよう。

10. A method of forming a low resistivity semiconductor from a wide band-gap semiconductor substrate that has a tendency to become compensated when it is doped, comprising selectively doping the semiconductor substrate with an effective amount of dopant to induce acceptable conductivity, together with an effective amount of atomic hydrogen to act as a compensator and block unacceptably high occurrences of other compensators, then removing an effective amount of the added hydrogen to reduce the resistivity of the semiconductor, the hydrogen removed under conditions to limit other movement within the semiconductor.

12. The method of forming the low resistivity semiconductor of claim 10, wherein the hydrogen is removed by heating the semiconductor to an effective temperature for inducing hydrogen movement while the remainder of the semiconductor remains acceptably stable.

13. The method of forming the low resistivity semiconductor of claim 12, wherein the heating for the removal of hydrogen is carried out in vacuo.

16. The method of forming the low resistivity semiconductor of claim 10, wherein the sample is heated in a non-hydrogen ambient, for removal of hydrogen.

 例のごとく拙いながら訳してみる。

10.ドープされたときに補償される傾向を有するワイドバンドギャップ半導体基板から低抵抗半導体を形成する方法であって、以下を含む:
 当該半導体基板に、補償子として作用する適量の原子水素とともに、所定の導電性を引き起こす適量のドーパントを選択的にドープし、他の補償子が不適当に多く存在することを排除する工程、
 半導体内の他の動きを抑制した条件下で、加えられた適量の水素を離脱させて、半導体の抵抗率を低減する工程。

12.請求項10に記載の低抵抗半導体を形成する方法であって、
 水素の動きを促進しつつ他の半導体を十分安定させる温度まで半導体を熱して、水素を除去する。

13.請求項12に記載の低抵抗半導体を形成する方法であって、
 水素除去のための加温は、真空中で行われる。

16.請求項10に記載の低抵抗半導体を形成する方法であって、
 サンプルは水素のない環境下で加温され、水素が除去される。

といったふうか(不適切なところがありましたらご教示下さい)。あるいは訳が不適当なのかも知れないが、「補償される傾向を有する」というのはn型になりやすいというような意味で、「原子水素とともに」とかいうのは、もしやすると水素雰囲気の下でというような意味なのかもしれない。
 製造方法のクレイムだが、それによって製造された物にまで権利は及ぶわけだから、この方法で創られた半導体を使ってレーザーダイオードをつくり、それを米国へ入れようとすれば侵害を構成するというわけだ。

 ITCの手続はたしかディスカバリー制度を使って当事者双方から得た証拠を検討することになる。各社の実際の製法を調査することになるのだろう。しかし申し立ての対象は30社にも及ぶ※。ITCとしては一々各社製品を確認するのだろうか。そうなんだろうなぁ。
 差止めを逃れるには、例えば本件特許権の技術的範囲に属しない製法で得たレーザーダイオードだと判断させればいい。権利失効まで待てば、という考え方もあるだろうが、本件特許は、1995 年改正時点で成立していた権利だから、存続期間は発行から17年、つまり 2010 年の10月までになるはずだ。あと2年半くらい後、ということになる。それはちょっとタイミングとしては遅いような…。
 ※申し立ての対象は、シンガポールのアヴァゴ・テクノロジーズ、台湾のBacol (バコル?)オプトエレクトロニック、マレーシアのドミナント・セミコンダクタ、台湾のエバライト・エレクトロニクス、中国のエクシード・パーサーベランス・エレクトロニック、同じく中国のGuangzhou Hongli オプトエレクトロニック、台湾のハーバテック・インターナショナル、日本の日立製作所、台湾のキングブライト・エレクトロニック、韓国のLGエレクトロニクス、台湾のライトオン・テクノロジー、中国のラッキー・ライト・エレクトロニクス、日本の松下電器工業、イリノイ州のモトローラ、フィンランドのノキア、台湾のオプト・テック、日本のパイオニア、同じく日本のローム、韓国のサムスン、日本の三洋電機、韓国のソウル・セミコンダクタ、日本のシャープ、中国の Shenzhen ユニライト・エレクトロニック、日本のシナノケンシ、同じく日本のソニー、スウェーデンのソニー・エリクソン・モバイル・コミュニケーション、日本のスタンレー電子、同じく日本の東芝、ペンシルバニア州のヴィシェイ(?)・インターテクノロジー、台湾のイエローストーンと30社に及ぶ。

■ 実際のところどうなんだろう。こういう低抵抗半導体はこのクレイムのような水素離脱によってしか創れないんだろうか。いろいろ細かなところが気になるが、詳しい人がいたらぜひ、聞いて見たいものである。

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