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2008年2月29日 (金)

[弁理士試験]判例案内(14)

委員会のツメの作業のため、初めて、アキバウイング(日本弁理士会の東京分室)へ行ってきました。最初、案内の地図を見て、「こんなアバウトな地図でわかるわけないんじゃ…」と思いつつ、ダダ広くなった駅構内に目を見張りながら電気街口を出てみると、

あの地図でわからないヤツはいない

と理解しました。

▽ あんな大きなビルの中に構えるとは。しかも近代的な会議室。秋葉原の街を眼下に見下ろしつつ、

あー、秋葉原の街も大分変わったんだなぁ

と感慨も一入。よく考えると、このダイビルのあったあたりは、もしかすると私が昔、HPの電卓を買ったところだったかも。
 …でも弁理士会でしょう? こんな近代的なビルじゃなくて、むかしのラジオデパートの2階みたいなところの方が似合ってやしませんかね。偏見ですか。そうですか。
 今週は、都合により、比較的単純な判例をご紹介していきたいと思います。すみません。

■ 平成5年(ワ)6949号
 商標の事件です。商標にも、出願経過の参酌ということがあるのを知っておいて欲しいだけです。ご存知の方はすっ飛ばして頂いて結構かと。
 エストッペル(estoppel)、つまり禁反言というのは、本来、自分の行為に矛盾した言動など、態度をとることができない、という話です。知財関係の場合は、File Wrapper Estoppel、つまり包袋禁反言という形で現れることが多いのですが、要するに出願中にした主張に反する主張を、侵害訴訟でしてはいかんわけです。そんなような話。
 本件の商標は「KII」という商標で、アルファベット「K」とローマ数字の「II」とでモノグラムにしたものらしいです。権利化のために出願経過においては、これらをくっつけたものではないと事実上主張したと判決ではいうので、権利者側は、どうやらモノグラムであって二つの文字要素をくっつけたわけではないと主張して権利を獲得したみたいですね。
 しかし一旦権利になったら、権利者が豹変しました。判決は言います。

「出願の過程において、モノグラムであって一種の図形よりなる商標であるとし、それを構成する「K」「II」の文字をくっつけたものであることを実質上否定する主張をして、そえrが認められて商標権を取得した者が、本訴訟においては掌を返すように登録商標は外観上「K」と「II」との接合体と看取できると主張して、被告標章はこれに類似する旨主張することは信義誠実の原則に反し許されない」

 「Aなんで、権利下さい」と言っておいて、「わかったAなんだな」として権利を貰った者が、貰った途端に「Aじゃないです。」と言い出したら酷いじゃん、ということです。
 当たり前といえば当たり前ですね。

■ 昭和55年(行ツ)75号
 もう一丁。
 こちらは意匠の事件です。意匠においては、文字というやつは、言語の伝達手段という本来機能を有しているわけで、これに意匠権を設定するというのは、その意味伝達の機能に独占権が設定されたように見えて良くないということで一般的に文字がついていてもそれは意匠を構成しないと考えてきたわけです。
 ただ、文字を装飾的に使うと、模様との区別が曖昧になってきます。それで、あのカップヌードルの文字を思い出して下さい。装飾的になっていますね。それでそれが装飾的な模様であるか否か、これが争われたのが本件です。
 高裁では、「元来は文字であっても模様化が進み言語の伝達手段としての文字本来の機能を失っているとみられるものは、模様としてその創作性を認める余地があることはいうまでもない」としたうえで、本件のカップヌードル(「CUP NOODLE」というちょっと装飾された英文字でした)は、まだ「カップヌードル」と読めるから意味伝達の本来の機能を失ってないから意匠を構成しないと判断しました。
 その上告審が本件です。
 上告理由として「文字自体は創作されるものではないが、文字の表し方、文字の表現方法としてのデザインに創作性があれば、法の保護から除外される理由はない」、可読性によって文字か模様かを区別するのは妥当でなく、創作性の有無を観点とするべきということだったのですが、最高裁は原審を妥当としたのです。
 その後、意匠の審査基準が改正され、

 物品に表された文字、標識は以下のように取り扱う。
(i)物品に表された文字、標識は(ii)に掲げるものを除き意匠を構成するものとして扱う
(ii)物品に表された文字、標識のうち専ら情報伝達のためだけに使用されているものは、模様と認められず意匠を構成しない、ただし図形中に表されていても削除を要しない。

となっています。(ii)には例示があって、

  • 新聞、書籍の文章部分、
  • 成分表示、使用説明など普通の態様で表した文字

となっています。
 カップヌードルなどは、どうなるのか。この基準だと意匠を構成するものと扱われてしまいそうで、最高裁判例に対して矛盾しているかにも思えなくはありませんが、これも判例変更されてたりするんでしょうか。私が知らないだけで。

■ アキバウイング、建物は立派だったのですが、どういうわけか会議室の電子黒板がうまく動かず。結局板書した情報はデジカメ保存してきたりしました。
 そういえば、昨夜、ココロくんが「kokuban.in」というサイトを紹介してきました。黒板にいたずら書きできるというものなのですが、チョークの粉が落ちてきたりとなかなか凝ってます。かなり人気がでているらしく、また私はどうやら昨日は黒板に縁がなかったと見えて、一度いたずら書きができただけでしたが(時間もないんでそれでいいんですが)、いろいろやってみると面白いんでしょうか。

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