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2007年12月 4日 (火)

共通への統一のはなし

今年の流行語大賞が発表された。大賞は某宮崎県知事の「どげんかせんといかん」というやつで、言われるほど流行したのかどうか、流行に疎い私にはよく分からないのだが(それよりも「そんなの関係ねー」の方がよく聞く気がする)。
 大賞を発表している国民自由社のウェブサイトには、歴代の受賞語が列挙されている。第一回は 1984 年。当時の大賞は「オシンドローム。」あのNHKドラマ「おしん」が流行した年だったわけだ。そのほかは、「鈴虫発言」、「スキゾ・パラノ」、「まるきん、まるび」なんてのもある。だいぶん懐かしいな。そして忘れてるのも多いなぁ。
□ところで自由国民社の「現代用語の基礎知識」は未だ健在みたいですね。

 あれば便利・「現代用語の基礎知識」

   

▽ さて、特許というのは国際的に一つのもので、完全に統一可能だと考える人も少なくないようで、そういう人たちに言わせると、

外国出願の明細書なんてのは、日本の明細書をちょちょっと並べ替えて様式を整えるだけのことさ

ということになるらしい。私の個人的な考えだが、ほんとうに各国ごとに使える権利を確保したいのであれば、各国の状況に応じて、少なくてもクレイムの内容くらいはある程度調整するのが代理人としての役割だろうと思うんだけど…。

■ 三極共通様式
 しかし、「各国明細書は様式が違うだけ説」の支持層は意外に多いということなのか、どうか知らないが、とにかく三極(日米欧)の特許庁では、明細書の様式がバラバラなのを

「どげんかせんといかん」

と思ったらしい。

 おそらく今回ある程度合意された「共通様式」がいちばんよくわかるのは、Annex II の具体例じゃないかと思うのであるが(http://www.jpo.go.jp/torikumi/kokusai/kokusai3/pdf/caf/caf-2-annex2.pdf)、これによると、日本のものはデリミタが墨付きのカッコなのに対して、US,EPC のはカーリーブレース(いわゆる中カッコ)である。デリミタの変換くらいは容易なんだろうけど、残りの文章部分は変換可能なのかというと、それはいまのところ機械翻訳ではかなり無理があるだろうとおもう。
 各国とも誤訳については結構キビシイ場合があるからなぁ。

■ デリミタの中身
 日本語明細書だけを見ると、デリミタの中身の語は、いまのと少々変わっている。いまのが、

【書類名】
【発明の名称】
【技術分野】
【背景技術】
【発明の開示】
 【発明が解決しようとする課題】
 【課題を解決するための手段】
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
【産業上の利用可能性】
【図面の簡単な説明】
【符号の説明】
【配列表フリーテキスト】

というような流れなのに対して、新しいものは、
【発明の開示】
が、
【発明の概要】
になっているし、
【図面の簡単な説明】
の位置が変化している。「課題」や、「手段」は[概要]の下に入るのだとして、【符号の説明】は、もしかしたらなくなってしまうのだろうか。みあたらない。たしかに外国のものではあまり見ないものではあったが(ときおり便利に使えるのだけど)。

■ 先行技術の開示
 さらに(まぁ、このドキュメント自体、確定したものではないのだろうけど)、先行技術文献の開示が、配列表フリーテキストの下、つまり明細書末尾に移動する可能性もあるようだ(Annex Ia : http://www.jpo.go.jp/torikumi/kokusai/kokusai3/pdf/caf/caf-1-annex1-ja.pdf)。
 この先行例開示の方法じたいは、PCT規則5.1(a)(ii)や、WIPO ST.14 を参考にしているらしい(これらの規則は基本的には、なるべく特許のドキュメント中に先行技術のリスト等を入れよ、というだけなんだけどね)。ただ、米国あたりでは今のところIDSは別の書面で求めているわけで、この辺の統一は一体どうなったんだか、事務手続的には要注目かも知れない。

■ ところで、特許事務所では、こういう様式変更の前後はいつでもそれなりに気を使うわけである。例えば特許請求の範囲が、いまの明細書から別の添付物件になる前後では、例えば請求の範囲の補正書の書き方が違う。
 明細書の中に請求の範囲があった頃の出願に対しては、例えば、

[補正対象書類名] 明細書
[補正対象項目名] 特許請求の範囲
[補正方法]    変更

のようになるのだが、これが別書面ということになると、

[補正対象書類名] 特許請求の範囲
[補正対象項目]  全文
[補正方法]    変更

のようになる。なんだそんなこと、と思われるかも知れないが、こういう事務手続の細かいところこそ特許事務の基本なので、それを、「そんなの関係ねー」とは片づけられないわけである。
 それにしても…、今回は段落番号付与/除去マクロを書き換える必要はないかなぁと思っていたのに、そうかぁ、先行技術開示が最後にくるかぁ…。

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