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2007年12月 3日 (月)

早期××のはなし

忙しいという漢字は、心を亡くす、と書くのだそうだ。同じ造りを持った漢字として、「忘」というのがあって、造作を書く位置によって少々違う意味になるけれども、いずれにしてもあんまり良い意味とは思えない。いや、今日のポストが大幅に遅れたのは実を言えば、忙しさが高じたというわけでもなく、昨夜、ちょっと肩を痛めてしまい、復帰に時間がかかったような次第。今朝、ちょっと療法を施していまごろ復帰したのである。もうちょっと早期に回復してくれればいいのに、わたしももう、若くないということかなぁ(寂しい)。

▽ さて、特許出願人の気持ちとしては、早期に決着をつけてもらえればうれしい、ということがあるので、「早期審査」というのを請求することが時々ある。

■ 早期審査
 この早期審査については、比較的丁寧なガイドラインが作られていて、基本的にはそれを見て手続をすればいい(http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/souki/pdf/v3souki/guideline.pdf)。
 手続をして、あまり断られることはない。ただ、従来技術との対比が必要なケースで、その対比があまりに不十分だと、受け付けてもらえないらしいけれども。ちなみに、明細書の中に書いた「特許文献」を対比の対象としてもまったく構わない。別段新規に調査しなければいけないというものでもないのだ。対比がしっかりしていればそれでいい。

 早期審査については、ユーザも代理人もかなり高く評価していて、

「早期審査…あれは確かに早いねぇ」
「3ヶ月ほどだものねぇ」

などという話をよく耳にする。じっさい、請求から3月もしないうちに拒絶理由通知がくる(むろん、拒絶理由がなければ特許査定がくる)。
 なかなか使える制度なのである。

 しかしながら、疑問と思えるところがないともいえなくて、例えばその最初に素早くきた拒絶理由通知に対し、意見補正を提出した後、なかなか第二次の応答がなかったりする。こっちは、やきもきするわけである。

「まさか、早期審査っていうのはファーストアクションだけの話なのか?」
「もしかして、もう一度早期審査の請求を出さなければ駄目か?」

というわけである。いや、もう一度の早期審査請求は無意味だと思われる。
 まぁ、早期審査をかけていない出願にしてからが、ファーストアクション以降の手続については、2,3ヶ月程度が標準的であることを考えると(さいきん、6ヶ月黙ってたと思ったら、引用文献を総取っ替えしてきたケースがあったケド…)、

「もうちょっと待ってみれば? きっと立派な拒絶理由か拒絶査定がくるよ」

(特許査定ならば、それほど時間がかからないことが多い)と考えておくのが妥当なんだろう。

 さて、これで拒絶査定がされてしまうと、代理人としては喜んで良いものか泣いたものかがよくわからない。審判請求を無理に勧める「悪い代理人」がむかしいたとは聞いたことがあるが、いまどきそんな代理人を抱えている企業さんもいらっしゃらないであろう。とにかく丁寧にコメントを書いて、査定をひっくり返す可能性について書き、あとは必要に応じて請求の要否を判断してもらうほかはない。

■ 早期審理
 で、そうしてめでたく(?)審判を請求するという段階に入ったとき、どういうわけか、早期審理の請求というがされるケースは少ないのだそうである。詳しい統計がでているわけでもないのだが、審査段階では早期審査を請求していながら、審判段階になると早期審理を請求していないものがあるのではないかという意見も耳にした。
 そうなのだ。審判段階に入ったら、今度こそ---先にしてあったとしても---「早期審査の請求」は、効力を持たない。審判では新しく、「早期審理」を請求しなければならない。
 実をいえば、早期審理の請求についても、上記のガイドラインに記載がちゃんとある。基本的に請求の要件としては、

(1)実施関連案件
(2)外国関連案件
(3)大学、TLOなどの出願
(4)個人、中小企業の出願
(5)潜在的侵害の可能性のある出願

となっている。
 特許庁への手数料は無料。
 審判を急ぐ場合は使わない手はない。いまならば請求率も低いと言うから、早期に審理される可能性はかなり高いと思う。

 では、何故に早期審理をかけないのか、というと、私が思うに、それは拒絶査定不服の審判の場合、ふつうは一回くらい補正を入れるので、そうして補正が入れば機械的に前置審査に回るので、それを待っているのじゃないかと。そうとすれば、前置解除の通知が来た時点で早期審理をかければいいようなものだが、そのころには急がせる熱も冷めてしまっている…のかなぁ。

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