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2007年11月 2日 (金)

[弁理士試験]条約案内(17)+β

「曲名は知らないけれども、誰でも聴いたことのあるクラシック曲」に必ずランクインするんじゃないかと思う曲の一つに、Pump And Circumstances(日本では「威風堂々」という)というのがあります。これ、作曲家がまたマイナーなんですが、「エルガー」という作曲家で、ここまで知っている人でも、エルガーの他の曲を挙げよ、と言われたら困るのでは。かくいう私も「エニグマ」くらいしか知りません。「エニグマ」は、主題に対する複数の変奏からなっていて、各変奏に C.A.E.  だの、 E.D.U. だのといった謎(エニグマ)めいた英文字列のタイトルがついてます。これ実は、家族や知り合いの名前の頭文字だ、というのはあとから判ったという話。

▽ その「威風堂々」をバックに、英国風紳士が歩いていて、その上に、「グラクソ」というクレジットがかぶる---というのが、現グラクソ・スミスクラインの宣伝フィルムにあったと記憶しています。
 ラミブジンなどの逆転写酵素阻害剤などを販売(製品名:ゼフィックス、エピビル)している英国の企業です。逆転写酵素阻害、そうです、HIV の増殖を防ぐ効果をもつ薬ですね。
 今回は、その話とは関係はないのですが…

■ 仮に差し止められたルール
 まったく。毎週毎週書くことを決めている曜日に限って、ニュースが飛び込んでくるんだものなぁ。
 今回のニュースは、USPTO が先頃発表した新ルールに対して、仮差止(preliminary injunction)が出された、というものです。これを受けまして、USPTO のウェブページでは、

 2007 年 10 月 31 日、バージニア州東部地方裁判所が、USPTO によるクレイムと継続に関するルール改正の施行を禁止する仮差止を出しました。したがって、クレイムと継続に関するルールは、2007 年 11 月1日の段階で効力を発生していません。
 USPTO の職員は、今後お知らせのあるまで、2007 年 10 月 31 日のルールの下で特許出願の審査を行います。

などと掲示を出しています。

 差止を求めたのは、冒頭にご紹介した会社、グラクソ・スミスクラインです。これにグラクソ側を指示するアミカス・ブリーフが(AIPLA などから)いくつか出されていました。結論は一昨日。まさにドタキャン状態になりました。

 詳しい判決文は、
http://www.filewrapper.com/PDFs/20071031opiniongrantinginjunction.pdf
にあります。ちょっと面白い判決文ですので、そのうち機会をみて、ご紹介したいですね。

■ 国際出願法
 さて、本題に戻りまして、今回は国際出願法のご案内です。
 初学者の方々ですと、特許協力条約(PCT)と、特許法の 184 条の3以下の規定と、この国際出願法の規定との関係が、

よくわからない

ことになるのじゃないかと思います。分かりにくいと思われる方は、このように考えてはどうでしょう。
 国際特許出願というのは「各国内出願の束」ですから、いつかは各国の出願として各国ごとに引き取られます。この引き取りの手続が、「各国移行手続」というわけです。

Fig071102

 各国移行手続より前の段階にもいくつか手続があります。各国移行前の段階を、国際段階(International Phase)と呼びます。一方、各国移行手続より後の段階の手続。こちらは国内段階(National Phase)と呼びます。
 日本では国内段階の手続として、PCTを利用した国際特許出願を、我が国の普通の特許出願の手続に乗せるために、「国内出願につなげる規定」を設けています。これは、要するに、国際特許出願の「明細書」が、我が国特許法36条の「明細書」と同じものだよ、とかそういう言葉の定義をしたり、外国語でされている出願について日本語に翻訳させる手続を求めたり(我が国は日本語主義ですから)、国際段階で行われた補正を我が国特許法の補正との関係でどのように扱うか、といった規定です。
 PCTでは、あくまでも国際段階の手続を規定します。国内段階に分け入って、アメリカではこう扱いなさい、日本では…とは規定しません。ただ、各国で補正ができるように規定を設けておくべし、などという程度は求めていますが。
 それで、この国内出願につなげる規定、こちらが特許法 184条の3以下の規定になります。この規定を経ると、国内出願と同じ手続規定が使えるようになるわけです。

 そして国際出願法(略して国願法)。これがどうして特許法とは別の法になっているかというと、それは国内段階とは関係のない話だから、です。この国際出願法は、PCTの規定を受けて、我が国特許庁が、受理官庁(RO)等として働く場合を定めたものなのです。

■ 従って、誰のために働くROであるか(国願法2条)、以下、PCTの規定に則していくつかの規則が定められています。例えば出願するべき書類、これはPCTにも同様の規定があるところですね。
例えば、国願法5条を見ましょう。

□国願法5条
 特許庁長官は、国際出願において、その国際出願に含まれていない図面についての記載がされているときは、その旨を出願人に通知しなければならない。
2 特許庁長官は、前項の規定による通知を受けた者が経済産業省令で定める期間内に同項の記載に係る図面を提出したときは、その図面の到達の日を国際出願日として認定しなければならない。

この規定は、

□PCT第14条(2) 国際出願が実際にはその国際出願に含まれていない図面に言及している場合には,受理官庁は,出願人にその旨を通知するものとし,出願人は,所定の期間内にその図面を提出することができる。出願人が所定の期間内にその図面を提出した場合には,受理官庁がその図面を受理した日を国際出願日とする。その他の場合には,その図面への言及は,ないものとみなす。

とあるのに対応しています。
 おっと、で、PCTでは、「受理官庁は」とあるところ、国願法では「特許庁は」ではなくて、「特許庁長官は」になっていますね。受理官庁は実は「特許庁長官」ということになっているんですね。
 そのほか、国際出願法では、我が国の特許庁側が、国際調査機関(ISA)、国際予備機関(IPEA)として働く場合についての規定を備えています。
 この国際出願法については、最近はあまり出題もないようですが、PCTの規定と対比させてざっと学習をされておくといいと思います。

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