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2007年10月12日 (金)

[弁理士試験]条約案内(14)

虎ノ門駅を特許庁方面へ出た辺りに、以前、教育会館というようなものがありました。しばらく前から

改行!(行政を改める意味か?)」

とでっかく書かれたフェンスが立ってましたが、ようやく中の建物ができあがったようですね。フェンスがなくなってました。最近の、はやりっぽい造りです。

▽ 特許庁までの道行きにあった書店も、この新しい建物の1Fへ移転するのか、看板ができてました。場所柄、知財関係の書籍の多いところでしたが、ちょっと遠くなりそうですね。
 先日、移転前の書店店頭に、「チザイの人」という本が並んでいるのが目に付きました。
まさか、知り合いの変人弁理士が出ていたりしないだろうな
とドキドキしながら中を見てみたら…、なにか大阪の方にできた知財専門の大学院の紹介みたいでした。面白いのかも知れませんが、いまはちょっと忙しいのでパスしておきました。

■ Chapter I の手続(続き)
 さて、前回には Chapter I の手続に入りかけました。
 国際出願においては、出願日の認定がまず第一に重要になります。出願日が認定されますと、国際調査が行われます。実務で経験した方はご存知だと思いますが、この国際調査では、関連する文献が列挙されます。

■ 国際調査
 国際調査は、国際調査機関というところがするのですが、国際調査機関は、どの国の特許庁でも成り得るのではなく、ある条件を満足していなければなりません。この条件については、ある時期、多枝選択式で随分と問われたものです。
 まず、少なくとも最小限資料(R34)を持っていないと話になりません(R36.1、ii)。この最小限資料には最近、韓国の公報も含まれることになったようですね。そして、調査を行うために十分な技術的資格を備えた常勤の従業者を100人以上有すること(R36.1、i)などが条件になります。
 こういう条件(上のほかにも条件があります)を備えていてかつ、総会によって選定された官庁が国際調査機関となるわけです。日本国特許庁は、国際調査機関として選定されています。
 ところで16条には、
単一の国際調査機関が設立されるまでの間に2以上の国際調査機関が存在する場合には,各受理官庁は,(3)(b)に規定する関係取決めに従い,国際出願についての国際調査を管轄することとなる1又は2以上の国際調査機関を特定する。」
とあります(16条(2))。実は、国際調査機関というのは、統一的な見解(どこへ出しても同じ結果)が得られるよう、単一の機関となることが理想とされているのです。

 えーと、それで、ちょっと脱線して国際調査報告で、実際にどのようにして見解が示されるかといいますと、まず、調査不能であるか否かとか、単一性が欠如しているか否かとかいったことのチェックが記載され、発明名称や要約、代表図面などについて出願人が提出したものを承認するかどうかなどといった項目が記載されます。それから文献が列挙されます。列挙される文献は、

「A」:出願された発明と関連するというのではなく、その分野の一般的技術水準を示すと考えられる文献、
「X」:当該文献1つで、発明の新規性や進歩性を否定できると考えられる文献、
「Y」:他の文献との組み合わせで、発明の進歩性を否定できると考えられる文献、

の主に3種類に分けて通知されます(実際にはこの他のタイプもありますが列挙されることは比較的稀です)。
 そしてさらにクレイムごとに、新規性の有無、進歩性の有無、そして産業上の利用可能性の有無が判断されて示されます。そしてその上で、各文献と発明との関係が摘示されます。精度はケースによって区々ですが、初動の審査としては、まずまずのものがあがってきます。

■19条補正
 出願人としては、この国際調査報告に対して19条補正をファイルすることができ、また非公式コメントというものをIB(国際事務局)へ提出できます。これが非公式と呼ばれるのは、PCTや規則に規定がないからです。
 そのほか、予備審査請求をすることもできます。
 実務上、一般的には、「進歩性なし」程度の見解に対してはあまり19条補正をしたりなどしないものです。進歩性の判断は、各国毎に結構区々だからです。

 えーと、初学者向けに念のため書いておきましょうか。PCT19条に規定された補正ってことは、「国際段階(International Phase)」での補正じゃぁないですか。国際段階でした、ということは国際出願を補正しているわけですから、どの国にも補正の影響があり得るってことですよね。こんなのもPCTの手続の良いところ(根っこ---International Phase---で補正すれば、各国ごとに手続をしなくて済む)でもあるわけで…。
 あー、そうか。ついでに、この19条、ふつーの補正と少々違うんで、もう少し詳しく規定をみておきましょうかね。

□第19条(1)
(1) 出願人は,国際調査報告を受け取つた後,所定の期間内に国際事務局に補正書を提出することにより,国際出願の請求の範囲について1回に限り補正をすることができる。出願人は,同時に,補正並びにその補正が明細書及び図面に与えることのある影響につき,規則の定めるところにより簡単な説明書を提出することができる。

 通常、「補正」といいますと、クレイムだけでなくて明細書の補正もできるものですが、ここに書かれている通り、この19条補正においては、クレイムだけ補正ができます。しかも1回こっきり。どうして1回だけか、といいますと、それはこの手続を「ストリームライン化」したいという要請があったのです。懐かしいな、この「ストリームライン化」っていう単語。PCTの論文を書くときには結構必須の単語の一つだったのですが。まぁ、それは措いておいて。
 ストリームライン化の要請、というのは手続を戻らせない、ということです。補正を繰り返させない。だから1回だけです。補正については、指定国内の手続(National Phase)に移行後、行うことができます(28条を参照して下さい)から、べつに手続的に出願人の不利になるわけではありません。

 で、その後に行われるのが国際公開です。が、やっぱりちょっと長くなっちゃったかなぁ。ここで一旦、切りましょうか。あー、そうか。国際調査が作成されない場合みたいのも本当は説明しといた方が…、それはあとからにするか。

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