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2007年10月19日 (金)

[弁理士試験]条約案内(15)

本日は、私にとっては、現事務所での最終出勤日にあたります。
いい加減、いくつも事務所を渡り歩いてしまうと、いまさら「お別れ」感も少なくて。だって業界がどれだけ狭いかっていうのが分かっちゃったんだもん。どこでもまた会ってしまうしねぇ。嫌でも。

▽ さて、前回は国際公開の手前まで話をもっていきました。今回はその、国際公開です。

■ パンフレット形式
 国際出願は、その優先日から18月経過後に、パンフレット形式で国際公開されます。IB(国際事務局)がします(20条)。
 …話がノッケから逸れて恐縮ですが、受験時代、このパンフレットというのが、私にはよくわかりませんでしたです。ええ。当初は公開される各出願のフロントページだけを綴じたような簡易な印刷物なのかなぁと想像していたのですが、そうではありません。
 そもそも「パンフレット」というのは、(wikipediaの記載ですが)unbound booklet をいうのだそうで。要はカバーもなく、十分に綴じられていないようなものをいうみたいです。
 そして、国際公開のパンフレットは、各出願ごとに作成され、フロントページだけでなく、出願の内容、国際調査報告等、さらには---公開に間に合えば---19条補正とその説明書などが含まれているわけです(R48.2a)。

■ 言語
 えっと。それで、その話はおいておき、言語のことについて。
 PCT/JP (日本国特許庁にしたPCT出願)の場合、出願の言語が「日本語」または「英語」なので気にならないんですが、出願時の言語で公開されるわけでない場合があります。逆にいうと、出願時の言語で公開がされるのは、

  •  フランス語
  •  ロシア語
  •  日本語
  •  ドイツ語
  •  スペイン語
  •  英語
  •  中国語
  •  アラビア語

くらいです(韓国語、ポルトガル語がごく最近入ったはずです)。韓国からくるPCT出願がよく英文であったりするのは、国際公開の言語でないからなんでしょうが、今後は、韓国語が直接やってくる…ことになるのかなぁ。

※ 言語、もっと増えてました。修正しました。

 それはそれとして、私の受験時代には、これらの言語のリストを、その頭文字を取りまして、

フロニドスエ中

(当時、韓国語等は入ってませんでしたから)などと覚えたものです。仮にいま覚えるとすると、もう少し意味をもたせて、

アッポー、フロ中ニドスカエ?

…(やっぱり意味不明か?)。…まぁ、とにかく、このように覚えたとすると、「ス」は「スペイン語」なので注意して下さい。なかなか出てこないんです。

■ 国際公開の効果
 これは一応、基本となる条文をみておきましょう。例外もあるのですが---29条(1)です。

□第29条 国際公開の効果
(1) 指定国における出願人の権利の保護に関する限り、国際出願の国際公開の指定国における効果は、(2)から(4)までの規定に従うことを条件として、審査を経ていない国内出願の強制的な国内公開について当該指定国の国内法令が定める効果と同一とする

 ここでの効果は、DO(指定国)における効果を言っています。つまり、各国移行後(National Phase)での効果を規定しているわけです。その効果とは、指定国において「審査を経ていない国内出願の強制的な国内公開について当該指定国の国内法令が定める効果と同一」です。我が国でいえば、出願公開の効果と同一になるわけです。「審査を経ていない」ですから登録の公報のことではありません。なお、我が国ではさらに国内公表、国内再公表というのをして、公開が万全なものとなるよう期しています。

■ さて、そろそろ駆け足で行かんと…

 次ですが、各国移行です。国際出願の束だったPCT出願を、権利の請求対象国(=DO)ごとに分けていく手続です。一般に、PCTを移行する宣言や、必要な翻訳文を DO へ提出します。この手続が、我が国特許法の184条の4以下に書いてあるわけですよね。
 PCT出願は、これ以降、各国の出願となって各国での処理を受けるフェーズ(National Phase)に移行します。
 あ、で、ですね。PCTにおける重要な意義がこの移行に関してもう一つあります。それは実は、23条なんです。

□第23条 国内手続の繰延べ
(1)指定官庁は,前条に規定する当該期間の満了前に,国際出願の処理又は審査を行つてはならない。
(2)(1)の規定にかかわらず,指定官庁は,出願人の明示の請求により,国際出願の処理又は審査をいつでも行うことができる。

手続を繰り延べさせることができるのですね。例えば chapter I の手続でいえば、国内移行の期限である優先日から30月までは繰り延べになります。この前に審査がされて、

拒絶です。さようなら。

とはならないわけです。ただ、出願人が希望すれば、その明示の請求によって処理が可能です。
 これを受けての規定が我が国の法律にあるんですが、ご存知ですか。
 まぁ、特許の場合は出願審査請求をすればいいわけですが。直接的に、この23条(2)を受けているのは、実用新案法の48条の4第4項です。「国内処理の請求」と呼んでいます。この請求があると、30月経過前でも、登録へ向けた国内処理が開始されるわけです。

 以前は、この期間が chpter I で20月、chapter II で30月と違っていたわけです。そのために、なるべく後まで引き伸ばしたい出願人は、必ず chapter II に入りました。いまとなっては、期間のためだけに chapter II の手続に入る人はいなくなったのです。

 国内移行をしなければどうなるのか。国内移行後のことはPCTには書かれていないのか、について、次回の冒頭でちょっと触れ、次回は chapter II について書いてみたいですね。開業後のゴタゴタであまり時間がとれないかもしれませんが、ちょっと頑張ります

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