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2007年10月26日 (金)

[弁理士試験]条約案内(16)+α

核の分裂というと、生物の人たちは細胞分裂を思い起こすのかも知れないし、物理屋なら間違いなく原子核の分裂を想起するのでしょう。世の中、「核」と呼ばれるものは多いので、それが「分裂する」と言われても、どの核が分裂したのか分からない。

▽ 夜の NHK ニュースでも報道があったようだけど、ホームズがアウトバーストを起こした、と。ホームズ? シャーロック?? そういえば今日は、MacOS の新しいのが発売されるのか(Sharlock から類推したが、あの機能、まだあるかな?)。

■ アウトバースト
 今日はちょっと寄り道覚悟で…。すみませんね。
 彗星のアウトバーストというのは、光度が急激に増すことを指します。原因は種々言われていて、核の分裂という説があるようですね。wikipedia あたりでも書いてあることですが、彗星というのは、汚れた雪玉のようなもので、この雪玉が太陽の熱で解けて、さらにその解けたのが太陽からの光線だとか太陽風に流されてシッポができるわけです。
 今回アウトバーストを起こしたのは、17P/Holmes という彗星で、23日には17等星程度の明るさだったものが、昨日24日の午後10時ごろから明け方にかけて、3等程度の明るさとなったというんです。
 星の明るさというのは、旧来、肉眼で見える一番明るい星をだいたい1等星とし、一番暗い星を6等星として、その間を適当な間隔で区切って2から5等星を規定したものです。まぁ人間の目というのは---物理学を知っている人ならば、よくあることだと納得頂ける通り---、対数スケールになっているんで、後から光度というものを数量的に規定してみたら、1等星と6等星との差(5等分の差)は、ちょうど100倍程度だったらしい。それならば、1等あたりの差を、100の1/5乗と定義すればよろしい、と、これが最近の規定の方法。そうすると、等級差でいって、17等から3等になるということは、その差14等。つまり比でいって、100の1/5乗が、約2.512なので、39万8100倍(!)程度(まぁ、気楽にいって40万倍)ということになります。

□ Links
アストロアーツ:http://www.astroarts.co.jp/news/2007/10/25p17/index-j.shtml
出身校、成蹊高校の観測所:http://d.hatena.ne.jp/obs-seikei/20071025
 なんか、タイトルを誤入力してしまい、直らないらしいです。

■ 条約案内[本題]
 さて、では、本日のネタ本筋へ参ります。
 特許協力条約(PCT)の Chapter II ですね。
 このチャプターには、
「国際予備審査」
というものが規定されています。この国際予備審査は、明示的に請求されないと行われません(31条(3))。ですから、請求がされないときには Chapter II 所定の手続は行われないわけですね。
 では、その国際予備審査とは一体何か。それは33条に規定されています。

□33条(1)
国際予備審査は,請求の範囲に記載されている発明が新規性を有するもの,進歩性を有するもの(自明のものではないもの)及び産業上の利用可能性を有するものと認められるかどうかの問題についての予備的なかつ拘束力のない見解を示すことを目的とする。

 この「予備的なかつ拘束力のない見解(Preliminary and non-binding opinion)」というのがほとんどすべてを物語っています。要するに各国特許庁の判断を拘束しないわけですから、ここで進歩性有りと認められても、各国特許庁はそれに従う必要はありません。もっとも、自国に審査能力がない場合、この見解を参考にしてもそれは構わないわけです。
 また判断は、新規性、進歩性、産業上の利用可能性についてだけ行われます。それ以外の特許要件については判断の対象外です。
 ところで、ここでいう新規性は、世界主義(どこかの国で公知であれば公知とする考え方)でしょうか。違うのでしょうか。規則(R)64.1 を見てみましょう。

□R64.1 先行技術
a.第33条(2)及び(3)の規定の適用上、世界のいずれかの場所において書面による開示(図面その他の図解を含む。)によつて公衆が利用することができるようにされているすべてのものは、先行技術とする。ただし、公衆が利用することができるようにされたことが基準日前に生じていることを条件とする。
b.(a)の規定の適用上、基準日は、次の日とする。
i.(ii)の規定が適用される場合を除くほか、当該国際予備審査の対象である国際出願の国際出願日
ii.当該国際予備審査の対象である国際出願が先の出願に基づく優先権の有効な主張を伴う場合には、先の出願の日

 何を細かなことを、と言われるかも知れませんが、昔の一次試験で出題された記録があります。もっともルールまで細かに見ている受験生がいま、どれほどいるかと考えると、現在では細かすぎる問題かも知れませんが。
 さて、この国際予備審査の規定ですが、おおまかな規定の流れとして

  • 32条…予備審査機関
  • 33条…審査の内容、
  • 34条…予備審査機関での手続
  • 35条…予備審査報告
  • 36条…報告の送付、翻訳、送達
  • 37条…予備審査請求の取下げ、選択の取下げ
  • 38条…予備審査の秘密保持
  • 39条…選択官庁への出願の写し等の提出(各国移行)
  • 40条…手続の繰り延べ
  • 41条…選択官庁での補正の機会

となっています。既に説明したことと思いますが、国際予備審査の結果を参照して欲しい、という国を、指定国の中から「選択」するのでしたね。選択された国は、「選択国(EO)」となるわけです。

で、この規定の流れをどこかで見ていませんか。そうです。Chapter I の16条から見て下さい。

16条…国際調査機関        :32条…予備審査機関
                  :33条…審査の内容、
17条、19条…国際調査機関での手続:34条…予備審査機関での手続
18条…国際調査報告        :35条…予備審査報告
20条…DOへの送達        :36条…報告の送付、翻訳、送達
                  :37条…取下げ
30条…秘密保持          :38条…予備審査の秘密保持
22条…DOへの各国移行      :39条…EOへの各国移行
23条…手続の繰り延べ       :40条…手続の繰り延べ
26条…DOでの補正の機会     :41条…EOでの補正の機会

 多少、条文の前後はありますが、似た規定が並んでいるわけです。私の記憶では、秘密保持の話はときおり出題されていたと思います。すなわち、「国際出願の」秘密保持については、

国際事務局(IB)及び国際調査機関(ISA)は,国際出願の国際公開が行われる前に,いかなる者又は当局に対しても国際出願が知得されるようにしてはならない。ただし,出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は,この限りでない。(30条(1)より)

というのです。一方、「予備審査の」秘密保持については、

国際事務局(IB)及び国際予備審査機関(IPEA)は,いかなる時においても,いかなる者又は当局(国際予備審査報告の作成の後は,選択官庁を除く。)に対しても…(中略)…知得されるようにしてはならない。ただし,出願人の請求による場合又はその承諾を得た場合は,この限りでない(38条(1)より)。

 異なっているのは、どこか。時期的問題ですね。しかも、38条にはこんなことも書いてあります。IBとIPEAとは、国際予備審査報告の作成の有無及び国際予備審査の請求又は選択の取下げの有無について情報を提供してはいけない、というのです(38条(2))。つまり国際予備審査についてはEOだけがその作成の有無や報告内容を知らされるわけです。出願人の不利益になることを避けたいわけですね。

 冒頭に彗星の話題なんか振ったもんだから、ちょっと長くなりましたね。ここで切ります。

■ しかし、彗星ホームズ君はすごいなぁ。40万倍かぁ。弊所も、これにあやかって大入の状況に…って、あぁ、この彗星の明るさは一時的なものでしかないかぁ…。
 仮に3等ならば都心部でも見えそうなものです。しかも現在の位置はペルセウスのあたり。夜半ごろに天頂付近だから、観る条件としてはなかなかよさそう。なのに今日の東京は生憎の曇り、しかも明日から雨模様ということで、しばらく望めない。そのうちにまた暗くなって、都内では見えにくくなってしまうのでしょうか。あーぁ、ニュースを捉えるのがちょっとばかり遅かったか。
 ただ、国立天文台の記事(http://www.nao.ac.jp/new-info/17P.html)によると、この彗星、過去にも大増光した記録があるとかで、周期は6.88年というので、まぁ、次回以降に期待してもいいか?
 また、つい昨年も、スワン彗星(C/2006 M4)というのがアウトバーストを起こして4等程度の明るさにまでなったらしい。そう考えると、まぁ、そのうちまた観られる現象ではあるのかなぁ。

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