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2007年10月 5日 (金)

[弁理士試験]条約案内(13)

先日、ふとしたきっかけで見つけた blog サイトで、商標の話題が採りあげられていたのですが、その著者によると、一般的な語に対して商標権が与えられるのは、いかがなものかと。いわく特定の語を独占使用させる権利を与えるのは云々…という典型的な誤解でした。指定商品・役務の関係をすっ飛ばしているわけですから。

▽ いつかも書きましたが、それと同じように専門外の方々を混乱に陥れているのが、この特許協力条約(PCT)に基づく「国際特許出願」です。入口は「国際特許」なので、まるで全世界で通用する特許権が取れるかのようですが、その手続はいつしか各国ごとに分かれてしまい、結局取得できるのは各国の権利です。「国際特許権」などというものは存在しないわけです。今のところ。

■ RO
 国際特許出願を受け入れてくれる官庁を、RO(受理官庁)というのでした。ちなみに日本の特許庁にPCT出願をした場合、

PCT/JP

というコードがつきますが、これと同様に、受理官庁としての日本国特許庁を、RO/JP と書くことがあります。
 仮にあなたが、短答式の試験用に効率的に勉強をしたい場合、PCTの chapter I の手続を概観して理解したなら、その次には、国際出願法という法律を見ておくべきです。過去の出題の確率としてはPCT chapter II よりも国際出願法の出題の方が問題が絞り込みやすく、しかも出題数もそれなりだからです。この国際出願法というのは、RO/JP の手続を規定したものです。

 さて、ROへ提出する書類の条件を見て参りましょう。具体的にはPCT3条から11条あたりまでです。

 あっと! 忘れないうちに(繰り返しになるかも知れませんが)補足します。PCT条文番号から、対応する規則の番号をだいたい推測する方法があります。それは条文番号を2倍するという方法です。
 細かくいえば、だいたい条文番号で7条くらいまでは、条文番号と同じくらいの番号やその後に対応する規則があります。たとえば、図面(7条)の規則は第7規則(R7と書きますよ)にあります。ところが、9条あたりになると、条文番号を2倍したくらいのところに対応する規則がでてきます。例えば出願人の規定(9条)に対する規則は、R18です。
 そしてそこから先になると、2倍した値よりやや小さい辺りに対応規則がでてきます。例えば日付に関する規定(11条)に対応する規則がR20であるといった具合。こんなのも、条文を引くテクニックの一つなので、ちょっと覚えておくと得になることもあろうかと思います。

 さてと。国際出願には、願書、明細書、請求の範囲、必要な図面、及び要約を含む、ということになっています(3条(2))。このあたりは日本の出願と変わらないね、と思う方が多いでしょうね。そうです。日本がPCTの手続に合わせているのです。
 願書についての記載事項は、弁理士試験の出題事項としてはややマニアックですので(出題されないこともないのですが)、ちょっと端折ります。明細書、請求の範囲も同様。問題は「図面」です。

■PCTにおける図面
 発明の理解に必要とされる図面について、DO(指定官庁−つまり権利を求める国の官庁)が、その提出を要求できるようになっています(7条(2)(ii))。やや実務的な知識ですが、PCTの図面については規則がウルサイです。R11.11 や、R11.13 をご覧になるとわかるかと思います。最近では画像処理関係などでカラー図面を提出したい場合がありますが(日本でも受け付けてくれませんが)、図面代用写真とする場合も白黒にせよ、と言われます(以前、受理官庁に問い合わせたところ、カラーを提出した場合、IBへは送るけれども、取り扱いがどうなるかは保証できないといわれました)---と、こんな下りを書いていたら、先程 PCT News Letter が wipo から届きました。アンゴラが締約国に入ったとか… ---。

 えーと。それはそれとして、図面について、一つPCTで重要な項目が。
 それは、実は14条(2)です。

□14条(2) 国際出願が実際にはその国際出願に含まれていない図面に言及している場合には,受理官庁は,出願人にその旨を通知するものとし,出願人は,所定の期間内にその図面を提出することができる。出願人が所定の期間内にその図面を提出した場合には,受理官庁がその図面を受理した日を国際出願日とする。その他の場合には,その図面への言及は,ないものとみなす。

 忘れられた図面への言及を発見すると、ROは、その旨を通知します。このとき、出願人が図面を提出すると、その提出日が国際出願日になってしまいます。むかしの橋本先生のPCT逐条解説の言を借りれば、

国際出願日が繰り下がる唯一の場合

です(より詳しくは欠落ページがあったときも同様の扱い:R20.2)。ですから、この通知がきたときは無視するに限ります。いや、それ以前に、代理人としてはそういうミスのないようにすべきです。

■国際出願日の認定

 さて、それで出願人の要件については、各自ご覧頂くとして、あとは、11条ですね。
 国際出願日の認定に必要な要件です。11条に列挙のところですが、これ、象徴的な漢字を一字ずつ取って、

人言願意指出明請
(ジン、ゲン、ガン、イ、シ、デ、メイ、セイ)

と覚える方法が一般的かと思います。ただね。これ、再現できなければ意味ありませんから要注意です。特に、最初の「人(ジン)」は、出願人が国際出願をする資格を明らかに欠いていないこと(11条(1)(i))のことで、その後にでてくる「出(デ)」は、出願人の氏名名称など(11条(1)(iii)(c))ですからね。また、「意、指」の「イ、シ」を「意思」と勘違いすると、「少なくとも一の締約国の指定」が落ちます。要は、語呂合わせだけ覚えて安心しないことです。語呂合わせを使う場合の当然の注意ですが。

 なお、11条(2)(b)を見ますと、要件不備の出願について補充を求め、それが補充されたときは、その日を国際出願日と認めるとあります。

じゃあ、図面の補充が「国際出願日が繰り下がる唯一の場合」じゃないじゃん。

とか言わないで下さい要件不備の場合は、国際出願日が認められていないので、繰り下がるもなにもありません。図面の補充の場合、一旦認められた国際出願日が変更されるわけです。こういう条文上の相違をすぐに読み取れるようになると、合格も近いと思うのですが。

ちょいとゆっくり過ぎるかな。次回で、早々にchapter Iを抜けましょうね。とにかく国願法もやらねば。

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