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2007年10月18日 (木)

判例さがしのはなし

ipnext というところのニュースによると、アメリカの Fulbright & Jaworski という法律事務所が英米での特許訴訟件数を調査したとかで、その結果、米英では特許訴訟件数が増加傾向にあることがわかったという(http://www.ipnext.jp/news/index.php?id=2040)。訴訟全体の件数は減少傾向にあって、従って特許訴訟の割合が増えているのだというが、この「訴訟全体の件数」がどちらの国の件数を言っているのかは不明。あるいは、両国を足した数か?

▽ 報告のうちでちょっとおもしろいのは、金融業界の企業の22%が50以上の新規訴訟で被告となっているという。ソフトウエアやビジネスメソッドの特許関連訴訟に巻き込まれたのでは、と分析しているが、なるほど最近では業種に関わらず、静観していられないんだ。

■ 判例さがし
 少し前ならば、電子化された判例データベースというのは、高額な契約を結んで利用するものだった。いまでも弁護士事務所などではそうだろう。
 一方で特許事務所では判決を参照する機会はさほど多くないので、判例データベースへアクセスして云々というのは、ごく稀なことである。しかしながら委員会の仕事として判例を探索しなければならないこともないではなく、そういうときに頼りになるほとんど唯一の存在が、裁判所の判例検索システムである。
 このシステム、具体的な事件番号が分かっていればかなり「使える」システムであるし、全文検索も一応はできるから、例えば進歩性に絡む事件が知りたければ、

「第29条第2項」

とか、

「進歩性」

とか、そういう単語で検索をすることはできる。
 だけれども、全文検索によると、どうしても、ノイズが多くなり、例えば侵害訴訟において、被告側がダメモトで進歩性がないと主張していて、それが判決文の「被告の主張」に書かれていると、それだけで「進歩性」の検索結果に引っ掛かることになる。

 しかたがないので、最終的には一々全部のPDFファイルを開いて、「手めくり」状態で進歩性関係判決を探ることになったりする。

■ パテントビューロのデータベース
 そこへ先日、パテントビューロという会社から、メールで判例データベースの案内があった。

「ふうん」

と、当初はあまり興味もなく、メールにあったリンクを辿ってみると、判例にキーワードが振られていて、キーワード別に検索ができるようになっている。全文検索ではない。予め定められたキーワード候補から、選択的に1ないし複数のキーワードが、各判決文に対して割り当てられている。さらに、キーワード別の判決がすぐに抽出できるように、インタフェースが工夫されているのである。これは使えるかも知れない、と思った。

 このインタフェースというのを具体的に言うと、「職務発明」という大項目キーワードが画面左側に表示されていて、全体で何件、という表示がある。その大項目キーワードの右側には、「業務範囲」、「現在又は過去の職務」、「相当な対価」などの中項目のキーワードが割り当てられた判決がそれぞれ何件何件と表示されている。さらに「相当な対価」について、その右側に「額」と、「算定方法」との小項目キーワードが割り当てられている判決が何件…と表示されている。
 各キーワードはリンクになっており、リンクをクリックすると、そのキーワードを割り当てられた判決の一覧が現れる。一覧には、個々の判決に割り当てられたキーワードの全部がみられるから、判示事項のおおよその見当をつけることができる。

 さらに、このデータベースで面白いのは、審決データベースとのリンクである。

■ 例えば、審決取消訴訟の判決を裁判所のウェブサイトでみたとき、元の審決にあたるには、その番号を控えるなどしておき、特許庁のウェブサイトでさらに審決検索をすることになる。
 しかし、パテントビューロのデータベースでは、審決取消訴訟の判決表示画面に、対応する審決文へのリンクが含められているのである。このリンクをクリックすれば、審決のデータベースから、対応審決が表示されるというわけ。これは案外、役に立つ。

 そう、このパテントビューロには、審決のデータベースもあるのである。
 これまたなかなかよくできていて、例えば商標の審決についても、争われた商標の称呼や、審決の結果などが併せて表示されるので、必要な審決を参照するのが容易だ。

 メールアドレスなどの「登録」をしなくても、無料で、これらのサービスを一応、使うことができる。メールアドレスなどを「登録」すると、さらに注目判決、注目審決のブックマークを保存する機能が使えるようになる。それから、新しい審決や判決が入ると、それを知らせるメールを送信させることができるようになる。
 それで、最初は「登録」が幾らかかるのかと思っていたら、これまた

無料

なのである。どうやら今は「無料キャンペーン期間」であるらしい。

■ これはもしかすると、無料キャンペーン中に、使い勝手の良さに酔ってきたあたりで有料化しようというハナシなのかもしれず、あまり深みに嵌まると、後になって高額の会費を前に、指をくわえてログイン画面を見つめるようなことになりかねないかなぁ、とも思う。思うが、いまのところは無料なんだから、存分に使わせて頂くつもりである。

■ おっとっと。URLを書き忘れるところだった。
 判決データベースが : http://hanrei.jp/
 審決データベースが : http://shinketsu.jp/
である。なお、かなり持ち上げてかいたが、別段、パテントビューロから何かを貰っているわけではない。また、キーワードの精度については、私もまだ、判断がつきかねているところもあるので、その辺については、またいずれ。

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