[弁理士試験]条約案内(9)
なんといいますか…。
きょうはニュースが多いんですよ。フラッシュ的に先にお送りして、それから条約案内と参りますか。
・パテントサロンの号外にもございましたが、一応周知まで。
「知的財産権侵害実態調査(中国)結果データ.mdb」なるファイル名がついたトロイの木馬が発見されたというニュース。mdbは、Microsoft Access のファイル形式です。どうも油断なりませんな。詳細は解析中とのことです。ニュースソースは internet watch:
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/09/06/16821.html
・もう一つのニュース。こちらは ipod の件。前から噂だけはありましたが、ipod touch などが発売になりました。多少、容量が少ないのが気になるものの、Wifi 対応。無線LANが繋がれば、ウェブブラウザ Safari が使え、また楽曲が購入可能、価格も16GB版で4万6千円という程度。うーん。買いかなぁ。メール機能がないという話もあるけど、.mac や gmail みたいなウェブメールは使えるだろうし…。
▽ 最後のニュースは、Pavarotti 。ついに逝ってしまったか。
追悼…ということで。いい声の人だったけどなぁ。いつぞやの「題名のない音楽会」(そういえば羽田健太郎もお亡くなりになっていたなぁ)で、ポスト3大テノールとかいう企画をしていたけど、もう誰だったか…。
Pavarotti のベスト盤:
…では、本日の条約案内です。
■周知商標保護
取りあえず6条の2から入りたいんですが−全般的なご注意を先に。以下の規定を見ていくにあたって、パリ条約として「商標」とあるのには、「役務商標(サービス・マーク)」は明示的には入らないのです。サービス・マークの保護は6条の6に置かれている通りです。念のため見ておきますか?
□6条の6 同盟国は,サービス・マークを保護することを約束する。同盟国は,サービス・マークの登録について規定を設けることを要しない。
規定すら、設けるに及ばないといってます。じっさい、我が国でもサービス・マークが保護されるようになったのは、わりと最近になってからのことです(記憶が定かでないけど、重複保護期間の記憶からして平成2年ごろだったかな??)。
□第6条の2 (1)第1文
(1)同盟国は,1の商標が,他の1の商標でこの条約の利益を受ける者の商標としてかつ同一若しくは類似の商品について使用されているものとしてその同盟国において広く認識されているとその権限のある当局が認めるものの複製である場合又は当該他の1の商標と混同を生じさせやすい模倣若しくは翻訳である場合には,その同盟国の法令が許すときは職権をもつて,又は利害関係人の請求により,当該1の商標の登録を拒絶し又は無効とし,及びその使用を禁止することを約束する。
で、従って6条の2でいう、この「商標」にはサービス・マークは入ってません。また、ここでの商標は、登録されているか否かは不問ということになってます。
「複製」、「模倣」、「翻訳」という見慣れない語がありますが、これらは、
- 「複製」:同一性のある再現物
- 「模倣」:近似、主として外観類似
- 「翻訳」:言語置換、主として観念類似
と言われています。なお、「混同」というのは、出所の混同のことです。第2文では要部が該当する場合も含む、ということになってますが、要部というのは、識別力を生じる部分をいうと言われます。
おっと。うっかり忘れるところだった(?)。商標法のご案内をしているときにも言いましたが、商標に関する規定では、マークのことだけでなくて、指定商品のことにも注目が必要なんでした。ここにはあるでしょうか。
あります。「同一若しくは類似の商品について使用されているものとして」というところです。なお、ここでいう「使用」は、「その同盟国」内の使用をいうわけです。
この規定に該当する場合は、登録が拒絶または無効とされ、使用を禁止する、ということになっています。対応する我が国の規定は商標法4条1項10号です。
ただ、除斥の期間を設けることができる場合があって、そのことが(2)、(3)に書かれています。この(2)の期間については、過去の試験での出題実績があるようですね。「少なくとも5年」です。
■国の紋章等の保護
さて、パリ条約を勉強してきて、この6条の3へくると、
ムッキー
と叫びたくなってしまう人はおられませんか。おそらく出題されても1点。そのために、この超長い規定を勉強せねばならないのかぁ? と。
しかしですね。この規定は一度、表かなにかに整理されると、案外大したこと書いてないことがわかります。私が受験生だったころ(かれこれ6年ほど前)、四法対照に記入した表を、若干簡約して参考までに掲げます:
| 国(1)(a) | 政府(1)(b) | 監証印記(2) | |||
| 旗 | 紋 | 記他 | |||
| 通知(3)(a) | 不要 | 要 | |||
| 1925.11.6以降(5) | ○ | × | |||
| 悪意も無効可(7) | ○ | × | ○? | ||
| 商品考慮(2) | × | ○ | |||
| 効力発生前善意取得への適用(1)(c) | 有 | 無 | 有 | ||
| 重複保護なし(b)後段 | × | ○ | × | ||
大してパターンもありませんし、こんな感じでまとめておけば、あとは見通しがラクになるんじゃないかと思います。弁理士試験関係の規定なんて、複雑そうに見えるのは、大概、こういうテーブルに直しちゃうと大したこと言ってないなぁ、ってのが多いもんです。要は見掛け倒し。あとは気力の勝負です。
さて、このテーブルの拡張や使い方については各人にお任せして、6条の3を終わりにしたいのですが、あとひとつだけ。「国の記章」は、連邦国各州の記章なども含みますが、同盟国内の市など地方公共団体のものまでは含まない、ということになってます。この点、過去に出題の実績がありますので、念のために。
またちょっと長くなってきたかな。ここで切って、譲渡とテルケルのことを来週に回しますか。これが終わると、パリ条約もあとちょっとな感じです。
□そういえば、四法対照の新しいのが出てるみたいですね。アマゾンではまだかな?
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