[弁理士試験]条約案内(6)
チマタでは、ビリーズ・ブートキャンプという痩身法ビデオが流行っているようですね。自慢じゃぁないですが、私自身は、いまのところ縁がありません。このビデオの流行についての分析を先日聞いたのですが、その分析いわく、
「努力しなければやっぱり痩せないと人々が気がついた」
というのです。
▽ えーっ。本当かな。方法自体に誤りがあれば、ラクな方法だろうと苦労する方法だろうと結果は出ないと思うんだけどな。「弁理」屋ブートキャンプでもやったら受けて、儲かるだろうかと思ったのですが、弁理士試験の勉強なんざ、ハードにすればいいってものでもないわけなんで、夢の印税生活というわけには参らないようです。
■プラスの保護
さて前回までの間に、パリ条約の根幹である内国民待遇、そしてそれを支える優先権制度と独立の原則について眺めてきたわけですが、ここから先は、これらにプラスした保護を求めていく規定になります。
「特許関係条約」の目次あたりを参考に、項目だけ列挙してみますと、
不実施に対する制裁
料金納付の猶予
博覧会出品の保護
などがあり、特許にはさらに、
分割出願
交通機関
製法特許の効力
などについての規定が置かれています。
商標については、規定が様々ですので、別項を起こしたいと思います。意匠については、特別なものはあんまり見当たらないということになっております。
■不実施の制裁
不実施は制裁であって保護でないだろう、というご意見はごもっともですが、まぁ、ちょっとお付き合い下さい。
不実施に対して制裁をかけるのは、例えば特許権についていえば、実施されないような発明に特許権による独占を許してしまうと、単に他者の実施を排除しただけになってしまい、産業の発達を図るはずの法律が逆向きに働いてしまうという弊害を防止するためなわけです。
一方でパリ条約というのは、パリ同盟国間で結ばれた条約で、同盟国全体の産業が発展すればいいのじゃないかと考えたのだろうと思うのですが、こんな規定があります。
□5条A (1) 特許は,特許権者がその特許を取得した国にいずれかの同盟国で製造されたその特許に係る物を輸入する場合にも,効力を失わない。
5条全体からすると、Aが特許、Bが意匠、Cが商標で、それぞれ不実施の場合のことが書かれており、Dでは一転して登録の表示のことが書かれている構造になっていますが、まずは特許に関わる規定を見てみましょう。
この5条A(1)は、どこかの同盟国で製造して(その同盟国の産業発展に寄与し)、特許権のある国ではそこから輸入して販売だけしているという場合も不実施とはいえないよ、という規定です。ある国が販売地域になっていれば、その国で特許権を取っておきたいでしょうが、その国で製造しない場合もあるでしょう。そういう事情がある場合に、特許権を失わせるのは酷じゃないか、というわけです。
では、特許発明に不実施の疑いがあるとき、同盟国はどういう法律を定め得るのでしょうか。それをいうのが残りの5条Aの規定です。
□5条A(2) 各同盟国は,特許に基づく排他的権利の行使から生ずることがある弊害,例えば,実施がされないことを防止するため,実施権の強制的設定について規定する立法措置をとることができる。
(3) (2)に規定する弊害を防止するために実施権の強制的設定では十分でない場合に限り,特許の効力を失わせることについて規定することができる。特許権の消滅又は特許の取消しのための手続は,実施権の最初の強制的設定の日から2年の期間が満了する前には,することができない。
(4) 実施権の強制的設定は,実施されず又は実施が十分でないことを理由としては,特許出願の日から4年の期間又は特許が与えられた日から3年の期間のうちいずれか遅く満了するものが満了する前には,請求することができないものとし,また,特許権者がその不作為につきそれが正当であることを明らかにした場合には,拒絶される。強制的に設定された実施権は,排他的なものであつてはならないものとし,また,企業又は営業の構成部分のうち当該実施権の行使に係るものとともに移転する場合を除くほか,当該実施権に基づく実施権の許諾の形式によつても,移転することができない。
実際のところ、強制実施権(権利者の許諾によらない実施権)が設定されるケースは、我が国にも利用発明の場合のものがあるように(特許法92条)、不実施の場合に限られません。ですが、パリ条約5条A(2)がいう強制的実施権は、不実施を含む排他的権利の行使による弊害の防止です。また同5条A(4)は、「実施がされず、又は実施が十分でないことを理由としては」というわけで、不実施等の場合に制限的に効く規定になっています。こういうところは、短答式の試験で攻めやすいポイントということになります。
少々長くなっちゃいました。続きは次回。
□特許関係条約:
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