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2007年6月18日 (月)

新制度での免除

精神論をブツつもりはないけれども、弁理士試験のように比較的合格率の低い試験---現状とて他試験に比べるとそんなに合格率は高くないんだろう---に合格するためには、「受かりたいなぁ」というような希望的な感情で受験するのではなくて、「受かることにした」という程度に確信をもって攻めていかないと勉強が持続しないと思う。私自身、受験時代はたとえ午前1時に家にたどり着いたとしても、寝入ってしまうまでの時間は基本書を眺めるだけでも眺めていたものである。

▽ そういう観点からすると、いまこの記事を書いてしまうことに多少の躊躇いはあるんだけど…。

■最終バス
 私は、実をいえば、旧試験制度の最終合格組である。
 旧試験制度では、1次試験は「多枝選択式」といい、工業所有権4法+条約の全50問の試験であった。現在の試験との間で、もっとも特徴的な相違は2次試験で、記憶を辿ってみると、ある週の土曜日からその翌週の金曜日まで、合計7日間行われていた。
 いや、毎日行くわけではない。土曜日に特許法、実用新案法のそれぞれ2科目×2問ずつ総計4問の論文を書き、日曜日に意匠法、商標法、条約類の3科目×各2問の総計6問の論文を書く、という試験であった。月曜日からは選択式の試験が始まり、どこかで3科目分だけ出ていって試験を受けるのである。
 私よりも数年前の合格者は、10枚綴りB5の論文用紙に論文を書いたものであるが、私の合格の前年よりいまと同じようなA3ノビよりちょっと大きいくらいの用紙、表ウラ4ページ分に論文を書くように変わった。ちなみにいうと、私の記載量はどの問題も3ページ(A4版になります念のため)±αほどであった。
 合格直後の弁理士法の研修では、講師から

「みなさんは最終バスに間に合った」

と言われた。要は、その翌年から試験制度が変更になって、易化すると言われていたので、その前の制度で合格できた、という意味であったろう。

■免除
 税理士試験などでは、科目ごとに合格すればいいと聞く。例えば合格しなければならない科目がA,B,Cとあるとき、今年はAだけ合格、来年はBに合格…としていけばいいらしい。弁理士試験の場合、この種の「ため込み」が効くのは2次試験の合格時に、翌年の2次が免除になるというだけだ。
 この制度が新・弁理士法では変更になるわけだ。
 閣議決定時の法案が特許庁で見られるわけだけど、国会審議で変更があったとも聞かないので、このまま通過したんだろうと思う。そこで閣議決定時の法律案で見ると、試験免除の条文は第11条である。

□弁理士法11条(閣議決定時の法案、主要変更部分) 
一 短答式による試験に合格した者
    当該短答式による試験に係る合格発表の日から起算して二年を経過する日までに行う短答式による試験
二 論文式による試験において、前条第二項第一号に掲げる科目について審議会等で政令で定めるもの(以下「審議会」という。)が相当と認める成績を得た者
    当該論文式による試験に係る合格発表の日から起算して二年を経過する日までに当該科目について行う論文式による試験
三 論文式による試験において、前条第二項第二号に掲げる科目について審議会が相当と認める成績を得た者
    その後に当該科目について行う論文式による試験
四 学校教育法に基づく大学院の課程を修了した者であって、当該大学院において経済産業省令で定める工業所有権に関する科目の単位を修得したもの
    当該課程を修了した日から起算して二年を経過する日までに前条第一項第一号及び第二号に掲げる科目について行う短答式による試験

(見やすくするため、改行や文字修飾を適宜行った)

 短答式について1,4号、論文について2,3号が変更ないし追加になっている。これによると、4号の工業所有権についての単位を取得した大学院修了者の短答2年免除はちょっと置いておくとして、1号の通り、一度短答に合格すると、翌年と翌々年とは短答を受けなくて済む
 2号でいう、「前条第二項第一号」は必須のことだ。だから、必須科目についての「合格」を得れば、これもその翌年と翌々年とは当該科目を受けなくて済む
 3号は選択のことであり、一度選択に合格すれば、その後の選択試験は免除になる。もっとも、選択科目については、現状も免除者が多いことを考えると、免除を取得する道が一つ多くなったという程度のことだと思う。ただし免除を期待して例えば行政書士試験を受けるなどの必要はなくなるということだろう。
 2号の読み方が今一つ難しいが、特許・実案について「合格」の成績が得られれば、翌年と翌々年は意匠と商標だけ受ければいいってことなんだろうか。それとも必須科目はまとめて合格しなければいけないのか。「当該科目について」とあるので、前者のような気がするが…。

■現状、成績は、「合格」、「Aランク(合格点より5点以内)」、「Bランク(同じく10点以内)」、「Cランク(同じく15点以内)」、「Dランク(同じく20点以内)」、「Eランク(合格点からの点差が20点より大きい)」に分かれているのではないかと思う。特許ならば毎年「合格」がついている、という人にとっては、翌年以降、意匠・商標に注力できるので大分有利だと思う。
 ただし、この制度の開始後2年もすれば、免除組を含めての試験が始まるわけで、新参者は合格が難しくなりそうである(「一発合格です」みたいのを売りにできるようになったりして)。

 まぁ、制度変更直後はいろいろとありますし…、受験生の皆さまは、制度変更前に受かってしまうつもりで、頑張って下さい。

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コメント

>特許・実案について「合格」の成績が得られれば、翌年と翌々年は意匠と商標だけ受ければいいってことなんだろうか。

 条文からはとてもこのようには読めないと思いますが・・・。
 あと、11条1号が誤植です。

投稿: Kaz | 2007年6月18日 (月) 13時30分

あら?
読めないですか? そうか…なぁ…??

タイポは直しました。誤植って…「植えて」ません。ふるい活版印刷みたい。

まぁ、ご指摘、ありがとう。

投稿: ntakei | 2007年6月18日 (月) 23時07分

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