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2007年5月 2日 (水)

waffleな はなし

まずはニュースを。KSR-Teleflex の件について、米国最高裁が decision を出した。結局、Teleflex の特許は先行例から見て自明ということになった。アミカス・ブリーフの数に基づいて予測された結論とは反対となった。

http://www.supremecourtus.gov/opinions/06pdf/04-1350.pdf

▽ それでいて最高裁が CAFC のテストについてどのように判じているかという点が最も興味深いわけであるが…

■ 歯切れ悪くない?
 Opinion of the court.の15ページ目、Cの直前に書かれている文言がだいたい要約に当たるのじゃないかと思う。

□In the years since the Court of Customs and Patent Appeals set forth the essence of the TSM test, the Court of Appeals no doubt has applied the test in accord with these principles in many cases. There is no necessary inconsistency between the idea underlying the TSM test and the Graham analysis. But when a court transforms the general principle into a rigid rule that limits the obviousness inquiry, as the Court of Appeals did here, it errs.

(私訳=誤訳あればご指摘下さい)
 特許裁判所がTSMテストの基礎となることがらを示してからしばらくの間、控訴審はこのテストを、その本意に添った形で数多くの事件において適用してきた。そこには、TSMテストとグラハム判決での判断方法との間に齟齬はない。しかし、裁判所がこの一般原則を剛直な規則へと転訛させ、自明性の判断に制限を加えるとき、ここで高裁が行ったように、誤ちを引き起こすことになる。
※ Teaching-Suggestion-Motivationテスト。先行例の組み合わせについては、教示・示唆・動機づけがあるか否かを観点とする、という式の自明性判断基準。

 見解においては多くの過去判決を引いているが、やはりグラハム判決に重きを置いている。この点で、私としては往年の Rich 判事の論文をもう一度精査してから本件判決を噛みしめてみたいと思うので、本件について、ここではニュース程度に留めておく。
 しかし最高裁といえども何という歯切れの悪さであろう。TSMテストを否定も肯定もしていないように見える。要するに、フレキシブルに判断せよとだけ言いたいのだろうか。No Waffle! と言いたくなるが、ある意味ではことほどさように obviousness の判断が難しいということだ。

 まぁ近いうちに、KSR事件にはもう一度触れてみたい。

■ 連休中のつれづれ…
 本日は平日ではあるが、前後を連休に挟まれているせいか、どうも新宿駅での人の動きは緩慢であった。もっとも連休に挟まれているのは日本だけのことである。他国では期限が着々と進んでいるわけである。
 こうした連休のつれづれで思い出すのは、やはり飛び込みの外内案件のことである。連休明けに出勤すると、副所長席あたりで外国事務担当の方が立って何か相談している。

 うっ、嫌な予感がする…

と思いつつ、気づかれないよう、何気ないそぶりで、そーっとその脇をすり抜けようとした、その途端だ。

 「あっ、いいところに」

と副所長。
 なにがじゃ、と思いつつ、嫌な予感が的中しつつあるのを意識し、

 「いやー、ぼく、今日は調子悪くて。出勤したてで済みませんが、帰宅しようかと」

などと私。しかし敵(?)もさるもので、

 「いいよー。これやってからなら。いつ帰っても。」

というわけで、手元にいきなり当日期限の数十ページの翻訳が突っ込まれたりして…。要するに優先期限が切れるギリギリで送られてきた場合、こういうことが起きるわけである。むろん、外国語書面出願をしておいて、後から翻訳を提出することができればそのようにしておく方が、こういう場合ベターである。曲がりなりにも翻訳期間が取れる。ただし---何度か書いた気がするが---過去にはPCTの国内移行の場合が問題だったわけで、大層キビシイ期限を綱渡りした経験は幾度かあって、記憶に残っている。

■ 本来の予定
 さて、本日は、こういう記事を書く予定はなかった。KSR事件という注目トピックが飛び込んできたので、本来の予定が狂ったわけだ。本来は、今日、弁理士一次試験講座の再録をやろうと思っていたのである。要はするに、ブログの哀しさ、古い記事はアクセスしにくいところへ格納されるので---いや、むしろそれをいいことに---古い記事の内容を焼き直して再録してやろうと思っていたのである。
 件の記事は、
http://ntakei.cocolog-nifty.com/pam/2006/03/post_7248.html
にあるので、そのまま参照して頂くとしよう。

ただし、四法対照は件の記事のときより新しくなっておりますので、それだけご注意のほど:

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